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オートバイオグラフィーは日本ではガソリンSC仕様でしか選べませんが、本国ではエンジンに関係なく選べるオプション．


レンジローバーのレザーは英国スコットランドのブリッジ・オブ・ウィアー社(Bridge of Weir)のもの．他の自動車メーカーではジャガー、アストン･マーティン、ボルボ（フォードグループの名残？）、マクラーレンなどが採用しているそうです．


オートバイオグラフィーに使われるのはセミアニリンレザー．通常グレードではオックスフォードレザーで、どちらもナッパレザー相当と考えていいようです．

JLRがあえてナッパと呼ばないのは、ハイランドブルという非常に毛の長いスコットランドの品種を使い、英国で生産するプライド故でしょうか．この毛の長さのおかげで虫刺されやキズのないレザーになるのだそうな．

自動車用のレザーは銀面（表皮）にウレタン塗装やコーティングを施して耐久性を確保しています．これに対してアニリンレザーは染料などによる染色で仕上げたレザーのことで、これだとレザーの表皮そのままの風合いが生かせますが、耐久性に劣ります．これにごく薄く塗装やコーティングを施し、耐久性とバランスさせたものがセミアニリンレザーです．

ナッパかセミアニリンかという比較ではなく、ナッパはレザーのグレードで、レザーの処理の違いがアニリン、セミアニリン、それ以外というのが正しい理解のようです．

通常のレザーとセミアニリンは全然違います．縫い目の上がセミアニリン、下は...？


身体と接する部分(上)には細かい毛孔や皮膚の肌理が見えます．これに対してサイドの部分(下)はそれらがほぼなく、さらにはエンボスが施されています．


肌触りもこの2つのレザーは全く違い、セミアニリンレザーは非常に薄くて柔らかく、押すとまるで人の肌のようにこまかいシワが寄ります．これに対してサイド部分はやや厚みがあり、より強度、耐久性を重視していることが伺えます．縫ってある部分のシワの入り具合で厚さがよくわかりますね．

通常、原皮は塩漬け保存されており、その塩分を落とすために水で洗浄をするそうです．ちなみにアルピナのラバリナ・レザーだとアルプスのミネラルウォーターで洗うらしいです．

しかしブリッジオブウィアーでは地元産出のレザーを使うため、チルド保存された原皮を使います．このため塩分を落とす洗浄が要らず、より本来の風合いを保てるのだそうです．


このブリッジ・オブ・ウィアーのレザー、ドイツ車とは香りが全然違うのですが、処理工程の違いのせいかもしれません．

取説を入れるケースもシートと同じ香りがします．こういうのにいちいち感動してます．



このクルマの一番の価値は内装、特にこのセミアニリンレザーなのでは、と思います．総張り替えとなるとぶっちゃけ一大事です．それこそエンジン換装の方が安いでしょ？、と思うくらい（汗）．

薄くて柔らかく耐久性は劣ると思いますが、なんとかいい状態を保っていきたいです．