
F30POSTに
F30の写真やカタログが公開されている。カタログは本国仕様のもので、実際には各国ディーラーによって、詳細はさまざまに異なると注意書きがある。それは承知の上で、今の時点で、この新型3シリーズのスペックを確認してみたい。まずはサイズから。
[サイズ] ※( )内はE90
全長×全幅×全高:
4,624×1,811×1,429mm (4,540×1,800×1,425mm)
ホイールベース: 2,810mm (2,760mm)
トレッド(前/後): 1,531/1,572mm (1,505/1,535mm)
E90と比べてみると、全長で84mm、全幅で11mm、全高で4mm大きくなっている。目立つ全長の増加のうち、ホイールベースが50mmを占めているので、車内の広さと車の動きにゆとりをもたらすことだろう。それは前後のトレッド幅がそれぞれ26mm、37mmと増えていることからも想像できる。5シリーズの乗り味に近づいたに違いない。
次はF30の3種類のガソリンエンジンの比較。
[320i]
車重: 1,500kg
馬力: 184ps/5,000rpm
トルク: 270Nm(27.5kgfm)/1,250-4,500rpm
P/Wレシオ: 8.15kg/ps
加速: 7.6sec(0-100km/h)
燃費: 6.0-6.2l/100km = 16.7-16.1km/l
[328i]
車重: 1,530kg
馬力: 245ps/5,000-6,500rpm
トルク: 350Nm(35.7kgfm)/1,250-4,800rpm
P/Wレシオ: 6.24kg/ps
加速: 5.9sec(0-100km/h)
燃費: 6.3l/100km = 15.9km/l
[335i]
車重: 1,595kg
馬力: 306ps/5,800-6,000rpm
トルク: 400Nm(40.8kgfm)/1,200-5,000rpm
P/Wレシオ: 5.21kg/ps
加速: 5.5sec(0-100km/h)
燃費: 7.2l/100km = 13.9km/l
この320iと328iは、同じエンジンだ。320iの方は、コンピュータ制御で性能を落としてある。欧州には排気量ではなく、パワーの大きさで課税する国もある(ドイツでは排気量とCO2排出量で課税)ので、このやり方も頷けなくはない。しかし日本では、この二種類のエンジンを載せた車に対して、さまざまなオプション装備の有無を加え、数百万円もの価格差の設定で差を付けるかもしれない。
あるいは、日本ではこの320iが「323i」という名前で販売される可能性もある。というのは、これと同じエンジンが523iに搭載されたからだ(すでにBMW Japanのサイトは書き換えられた)。その場合、日本の「320i」には、新型1シリーズで搭載された1.6Lターボエンジン(170PS)が載せられることになるだろう。なお、このエンジンを積んだ日本の「120i」は、本国では「118i」と呼ばれている。
(※ 10/24追記 … かたや、Z4の「sDrive23i」は、この同じ2Lターボ・エンジン(N20B20A)を積んで「20i」に置き換えられ、24万円値下げされた。上記「523i」と全く同じエンジンなのに、異なる名称・価格変更である。新型の「320i」には、このエンジンが積まれる可能性も出てきたことになる。ちなみに、この2Lターボエンジン搭載車のマフラーは、4気筒であってもツインである。)
さて、次は三種類のBMWライン。なお、写真にはオプション装備が含まれている。
[モダン・ライン]

17インチまたは18インチアロイ・ホイール
フロントおよびリアのサテン・アルミニウムの専用デザイン
11本のサテン・アルミニウムのキドニー・グリル
サテン・アルミニウムのテールパイプ・トリム
ライン名入りのエントリー・シル
ダーク・オイスターのスポーツ・レザー・ステアリング・ホイール
ダーク・オイスター・パネルの速度計および回転計
ブリーズ・クロス/レザー・コンビネーション・シート
パール・インテリア・トリム(パール・グロス・クロームのアクセント入り)
インテリア・イルミネーション(調光機能付き)とサイド・ライト
オートマチック・エアー・コンディショナーとカー・ラジオ周囲のクローム・トリム
パール・グロス・クローム・トリムのダーク・オイスター色のキー
[スポーツ・ライン]

17インチまたは18インチアロイ・ホイール
フロントおよびリアのハイグロス・ブラックの専用デザイン
8本のハイグロス・ブラックのキドニー・グリル
ハイグロス・ブラックのサイド・ミラー・カバー(オプション)
ライン名入りのエントリー・シル
ブラック・クロームのテールパイプ・トリム
スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール(赤いステッチ入り)
トラック・クロス・スポーツ・シート(運転席および助手席)
ハイグロス・ブラックのインテリア・トリム(赤いアクセント入り)
赤いアクセント入りの速度計および回転計
インテリア・イルミネーション(調光機能付き)
オートマチック・エアー・コンディショナーとカー・ラジオ周囲のクローム・トリム
赤いトリムのキー
[ラグジュアリー・ライン]

17インチまたは18インチアロイ・ホイール
フロントおよびリアのクロームの専用デザイン
11本のハイグロス・クロームのキドニー・グリル
クロームのドア側面トリムおよびテールパイプ・トリム
ライン名入りのエントリー・シル
スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール
ムーブ・クロス・シート
ファインライン・アンソラジット・インテリア・トリム(パール・グロス・クロームのアクセント入り)
インテリア・イルミネーション(調光機能付き)とサイド・ライト
センター・コンソール部およびオートマチック・エアー・コンディショナーとカー・ラジオ周囲の専用クローム・トリム
パール・グロス・クローム・トリムの専用クロームのキー
新型1シリーズと同じように、これら三つのラインはあくまでもオプションである。つまり、今までのM-SportやHi-Lineのようなオプション・パッケージの、デザイン部分を特化したようなものだ。したがって、どのラインでもない、ノーマルの3シリーズという選択肢もあるわけで、実質は4種類あることになる。いや、M-Sportの写真もすでに公開されているので、5種類ということになるだろうか。
何のラインやオプションも選ばないと、このようなデザインとなる。

しかし、ノーマルの3シリーズも決して悪いというわけではないと思う。
さて次に、本国では設定可能な、新型3シリーズに用意された、最先端のオプションを見る。ただし、ここに書いてあるものがすべてではなく、私の目にとまったものを挙げただけである。
[安全装備系]
アクティブ・プロテクション ※1
※1 アクティブ・プロテクション
ニューBMW3シリーズ・セダンでは、すべての安全装備が、完全に補完しあうようにデザインされています。乗員保護に優れた、6つのエア・バッグの標準装備に加え、このオプションのアクティブ・プロテクション機能は、前席シートベルトを危険時に引き締め、自動的に開いた窓やサンルーフのガラスを閉じます。「ポスト-クラッシュiBrake」は、衝突後に車を自動的に停止させることで、玉突き衝突を防止あるいは軽減します。
[運転補助系]
アクティブ・クルーズ・コントロール(前進・停止機能と衝突警告付き)
ヘッドアップ・ディスプレイ(フルカラー) ※1
ブレーキ機能付きクルーズ・コントロール
ハイビーム・アシスタント
レーン・チェンジ・ウォーニング
レーン・デパーチャ・ウォーニング(衝突警告を含む)
パーク・アシスタント
パーク・ディスタンス・コントロール(PDC)、フロント&リア、またはリアのみ
リア・ビュー・カメラ(PDCに連動)
追越禁止情報付き速度制限情報(速度制限および追越禁止検出、ナビゲーション・システムに連動)
サラウンド・ビュー(リア・ビュー・カメラに連動)
※1 フルカラーBMWヘッドアップ・ディスプレイ

あなたの視線をいつでも路面に。このオプションは、マルチカラーTFT液晶を用いて、さまざまな情報をドライバーの視界にダイレクトに映し出します。表示される情報には、現在速度や速度制限、さらに追越が可能か、またはナビゲーションの指示によるか、というような事柄が含まれます。その都度色分けされた表示が、異なる種類の走行情報の読み取りさえも容易にします。BMWヘッドアップ・ディスプレイは、あなたの視線をいつでも路面前方に向け、ドライブをより安全でよりリラックスにすることを保証します。
[トランスミッション、足回り系]
8速スポーツ・オートマチック・トランスミッション(パドル・シフト、クイック・シフトと電子式スポーツ・ギア・セレクター)
アダプティブ・サスペンション ※1
M-Sportサスペンション
バリアブル・スポーツ・ステアリング(サーボトロニック付き) ※2
※1 アダプティブ・サスペンション
あなたのドライビング・スタイルと路面状況の両方に適応する、電子制御のダンパーです。その作動特性は、ドライビング・エクスペリエンス・コントロール(DEC)ボタンによって調整することができます。オプションのアダプティブ・サスペンションもまた、ニューBMW3シリーズ・セダンの快い乗り心地を損ねることなく、車高を10ミリ下げます。DECボタンのスポーツ、またはスポーツ・プラス・モードを選択することで、より引き締まったサスペンション・セッティングも可能となります。
※2 バリアブル・スポーツ・ステアリング
走行速度とは関係なく、ステアリングの操作量に応じて、ステアリングの切れ角を可変的に変化させるシステムです。これにはサーボトロニック機能が含まれ、極めて急なステアリング操作が必要になった時に発生する、ステアリングの不自然な動きを減少させます。駐車や複雑な車両移動はもちろん、ヘアピン・カーブや急なコーナーでの、俊敏なスポーツ走行の快適さを高めます。わずかなステアリング操作だけで、正確さと方向安定性が得られます。
[照明および視界系]
ライト・パッケージ(フロントおよびリアおよびドアのアンビエント・ライト、周辺ライト、フットウェル・ライト、LEDバニティ・ミラー、LEDリーディング・ライト、LEDラゲッジ・コンパートメント・ライト)
[iDrive系]
ラジオ・プロフェッショナル、6.5インチ・カラー・モニター、ダイレクト・メニュー・コントロール・ボタン付きiDriveコントローラ、CDドライブ、MP3デコーダ
(これらは全車標準装備)
ラジオ・プロフェッショナル付きCD/DVDドライブ、USBおよびBluetoothインターフェイス、黒パネルの8.8インチ高解像度カラー・モニター、ブックマーク機能、3Dマップ、衛星画像および矢印表示、地図およびオーディオファイル用12GBハードディスク
(こちらはオプション)
[メーカー・オプション・パッケージ] ※本国のパッケージで、日本とは異なる。
コンフォート・パッケージ
2ゾーン・コントロールのオートマチック・エアー・コンディショナー
ライト・パッケージ
ストレージ・コンパートメント・パッケージおよび折りたたみ後席ヘッド・レスト
ドライビング・コンフォート・パッケージ
ブレーキ機能付きクルーズ・コントロール
サーボトロニック
前席アームレストのUSBインターフェイス付きハンズフリー・システム
パーク・アシスタント・パッケージ
リア・ビュー・カメラ、前後PDC、パーク・アシスタント
ヴィジビリティ・パッケージ
自動防眩ルーム・ミラー
ヘッドライト洗浄装置
レイン・センサー
LEDデイ・ライト付きキセノン・ヘッドライト
アダプティブ・ヘッドライト
対向車保護用ハイ・ビーム・アシスタント
過去の例から見て、本国では選択可能なこれらのオプションのすべてが、日本でも選べるとは限らない。また、日本では320iでも標準装備だったり、あるいは335iのような上級グレードの車には、最初から豊富なオプションが装備されるだろう。さらに、日本専用のさまざまなパッケージが用意されることになるだろう。
今頃は、BMW Japanの社内で、どのようなエンジンを搭載した、どのような名前の3シリーズに、どのような装備を加えて、どのような価格で販売し、どのようなオプション・パッケージを用意し、そして、どのように、1シリーズや5シリーズと差別化するのか、真剣に検討されていることだろう。あるいは、すでに方針はほぼ固まっているのかもしれない。
いずれにせよ、それが私たちユーザの夢を育ててくれるものであることを、切に願うばかりである。
3シリーズこそが、世界の中での日本のBMWのシェアを支える柱であり、日本のBMWの裾野を広げる大きなチャンスなのだから。
※ 10/18夜、オプション装備とその説明を追記。
※ 10/19、ドイツの自動車税の課税方式について誤りがあったのを訂正。
