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2012年10月23日 イイね!

同じエンジンを載せた対極の車~Z4-23iと523i

同じエンジンを載せた対極の車~Z4-23iと523i 私のリビングには結構大きな1/18スケールの三台のミニカーが並んでいる。今の愛車と同じ5シリーズセダンとその前に乗っていた120iカブリオレ、そしてリトラクタブル・ハードトップを持った現行型のZ4だ。

BMWに乗るようになってから、私は興味がある車は、まずミニカーを買うようになった。このZ4-23iの実車が発売になったのは2009年5月のことで、私が120iカブリオレの実車を手に入れたのは、その半年ほど前だった。

だから、もしもZ4-23iの発売がもう少し早かったら、私は120iカブリオレではなく、こっちを買っていたかもしれない…などと、ミニカーをいじりながら思ったものだった。

Z4-23iが120iカブリオレに勝っている点は、何をおいてもその直6エンジンだ。逆に、120iカブリオレが勝る点は、それが4シーターであることだ。エンジンは我慢ができても、リアに人や愛犬を乗せるスペースがあるかないかの違いは大きい。その考えは間違ってはいなかったと、今でも思っている。

ところが私はこの2月に、最後の直6エンジンを載せた523iに乗り換えてしまった。もしもBMWが、まだこれからも直6エンジンの車を販売し続けたならば、また、もしも直6の125iカブリオレにでも乗っていたら(そんなグレードは日本にはなかったが)、それほど早く乗り換えることはなかったと思う。

赤カブ望さんから聞いた言葉も同じだったので、私は少し驚くと同時に納得もした。彼はつい最近、120iカブリオレからZ4-23iに乗り換えたのだ。そして偶然なことに、私の523iも彼のZ4-23iも、N52B25A型という2.5L直6エンジンを載せていたのである。

結局、120iカブリオレに乗っていた私たちはそれぞれ、同じエンジンを載せた対極の車に乗り換えたこととなった。そして私は上に書いたような事情で、Z4-23iにはとても興味があるのだ。それで早速試乗させていただいた。

             *       *       *       *       *


ところで、私は以前この車の試乗記を書いたことがある。今、改めてそれを読み直してみて、その時の感想が、今もなおあまり変っていないと思った。それは、トルコンATらしくない6速ATのスムーズさ、排気音の演出効果、それらがあいまったダイレクトな運転感覚のリアリティ、着座位置の低いシート上の包まれ感、2シーターならではの贅沢な居住空間、そして何よりもオープン・カーであることの素晴らしさ、などだ。

今回は、赤カブ望さんのZ4と私の523iを、それぞれ運転席と助手席を交代しながら走らせた(通称「カーグラごっこ」)。その感想は、笑いながら言った赤カブ望さんの言葉に良く表れていると思った。

「乗り比べてみて、この二台は微妙に何かが違うと思った。その何かがよくわからなかったけれど、後でやっと気付いた。Z4は屋根が開いていたんですね。」

私もその通りだと思った。そして、オープンカーとセダンの違いを指摘した、このトボケたような言葉の裏側には、むしろこの二台の意外なほどの共通点の指摘が含まれているところが興味深く感じられた。それは、エンジンが同じだということだけにはとどまらない、パワー感覚と操縦感覚ではないかと、私は思う。同時にそれは、私たちがすでに知っていた「BMW」のことではないか、とも。


※ この記事は、【第3話】2人で乗るからZ4にしたんだよ(^^)/について書いています。





※ 10/27追記 …
記事の二台の車の主要諸元を、系統ごとに対照表にした。なお、諸元は実車のオプション等を考慮したものである。

モデル名 Z4-23i (E89) 523i (F10)
エンジン 直列6気筒DOHC自然吸気(N52B25A)
総排気量 2,496cc
内径/行程 82.0mm / 78.8mm
圧 縮 比 11.0 : 1
最大出力 204ps(150kW)/6,300rpm
最大トルク 25.5kgm(250Nm)/2,750-3,000rpm
駆動方式 FR
ボディタイプ 2ドアオープン 4ドアセダン
乗車定員 2名 5名
全長×全幅×全高 4,250×1,790×1,290mm 4,920×1,860×1,470mm
ホイールベース 2,495mm 2,970mm
トレッド 1,510mm(前) / 1,560mm(後) 1,600mm(前) / 1,625mm(後)
サスペンション(前) ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式 ダブル・ウィッシュボーン式
サスペンション(後) セントラル・アーム式 インテグラル・アーム式
タ イ ヤ 225/45R17 (前後共通) 245/40R19(前) / 275/35R19(後)
車両車重 1,500kg 1,790kg
P/Wレシオ 7.35kg/ps 8.77kg/ps
加 速 7.3sec (0-100km/h) 8.7sec (同左)
最高速度 239km/h (0-100km/h) 236km/h (同左)
タンク容量 55L 60L
燃 費 11.4km/l 11.2km/l
価 格 523万円 610万円

エンジンと駆動方式以外は、この二台はあらゆる点で異なっている。とりわけ、523iの「全長×全幅×全高」と「ホイールベース」の大きさは、コーナリングを始めとする敏捷な動きにとっては、コンパクトでスポーティなZ4-23iに比べ、大変な不利となるはずである。けれども実際には、想像以上にその差が少なかったのは、おそらく523i独特のサスペンション方式や、インテグレーテッド・アクティブ・ステアリング(四輪操舵)などの電子制御の助けによるのではないかと思う。

また、「車両重量」の290kgもの差は、「P/Wレシオ」・「加速」・「最高速度」の全ての点で、Z4-23iの優位性の要因となっている。ところが、やはり想像以上に差が少なく感じられたのは、おそらく523iの8速ATとZ4-23iの6速ATの違いのためではないかと思う。そこで、次に両車のギア比を見る。

モデル名 Z4-23i (E89) 523i (F10)
ギア方式 6速AT 8速AT
変速比 1~4 4.171/2.340/1.521/1.143 4.714/3.143/2.106/1.667
変速比 5~8 0.867/0.691/-NA-/-NA- 1.285/1.000/0.839/0.667
ファイナル・ギア比 3.727 3.385
トータル・ギア比 1~4 15.55/8.721/5.669/4.260 15.96/10.64/7.129/5.643
トータル・ギア比 5~8 3.231/2.575/-NA-/-NA- 4.350/3.385/2.840/2.258

「トータル・ギア比」とは、各段の「変速比」に「ファイナル・ギア比」(最終減速比)を掛けた数値である。これを見ると、Z4-23iの3速と523iの4速がほぼ同じこと、したがって、523iがコーナリング時などに常用するギアが1段多いことがわかる。これを、ギアと速度のグラフで見ると次のようになる。




50km/h、あるいは100km/hの時に使えるギアの数と、それぞれの回転数を見比べると、8速ATを持つ523iの方が、より高い回転数を維持しやすい(特に2・3速)、つまり重いボディを動かすパワーを出しやすくなっているのがわかる。もちろんそれは、両車のアクセルの踏み方やその学習、DDCのモード、パドルなどでの手動シフトによって変化するものだし、いくら小刻みな多段ギアでも、広くて緩やかな道なら、P/Wレシオの差には勝てない。





※ RANちゃんさんからのコメントにより、10/30追記 …
8速ATを装備した車両は、ファイナル・ギア比の違いによって、以下のように、A~Fの6グループに分類できる。グループAが最もギア比が低い=ワイド・レシオの車両であり、グループFが最もギア比が高い=クロス・レシオの車両である。

グループA(2.813)=320d、ActiveHybrid3、550i、650i、750i
グループB(2.929)=523d、ActiveHybrid5、ActiveHybrid7
グループC(3.077)=116i/120i、535i、740i、X3-20d、Z4-20i(N20版)
グループD(3.154)=320i/328i、X1-20/28i、X5-35i/50i/35d、X6-35i/50i
グループE(3.231)=523i/528i(N20版)、640i
グループF(3.385)=523i/528i(N52版)、X3-20i/28i/35i

一般には、パワーのある車ほどギア比が低い、ワイド・レシオとなり、逆にパワーのない車ほど、ギア比が高い、クロス・レシオとなる。ワイド・レシオの特徴は、燃費が良いこと、最高速が上がることである。それに対してクロス・レシオは、加速が良くなるが、燃費的には不利である。

そのことを念頭において、各グループに属する車両やエンジンの特徴を見ると、なかなか興味深い。燃費重視で推力にモーターを併用し、かつハイ・パワーのActiveHybridモデルは、ワイド寄りである。また、4,000~5,000回転までしか使用しないディーゼル・モデルもワイド寄りとなる。低回転トルクの太さも有利に働くだろう。一方、同じエンジンでも、車重があるモデルのギア比は、回してパワーを稼ぐためにクロス寄りとなる。また、4WDかつ多量の搭載物が予想されるXシリーズもクロス寄りである。

そのような中では、直6=N52版の523i/528iが最もクロス・レシオのグループFに属していることは、エンジンを回し切って、スポーティに走りたい私には、なかなか嬉しい発見だった。細かなアップ・ダウンやコーナーが続く山道で、6速ATのZ4-23iの走りに対して、523iがそれほど遜色がなかった理由は、こんなところにもあった。

次に、A~Fそれぞれのグループごとの、1~8速のトータル・ギア比(各段ギア比とファイナル・ギア比の積)を表にして示す。

グループ A B C D E F
ギア ギア比 2.813 2.929 3.077 3.154 3.231 3.385
1 4.714 13.260 13.807 14.505 14.868 15.231 15.957
2 3.143 8.841 9.206 9.671 9.913 10.155 10.639
3 2.106 5.924 6.168 6.480 6.642 6.804 7.129
4 1.667 4.689 4.883 5.129 5.258 5.386 5.643
5 1.285 3.615 3.764 3.954 4.053 4.152 4.350
6 1 2.813 2.929 3.077 3.154 3.231 3.385
7 0.839 2.360 2.457 2.582 2.646 2.711 2.840
8 0.667 1.876 1.954 2.052 2.104 2.155 2.258

ギア比の差が最も大きいグループAとグループFを比べると、たとえば、クロス・レシオのグループFの4速「5.643」は、ワイド・レシオのグループAの3速「5.924」に近い。つまり、8速AT装備車両の間でも、各速ギアの意義がだいぶ違うのだ。「直6の523iの4速はパワフルだなぁ」なんて思っても、それは他の車両の3速並なのだから、当然の結果だ、ということにもなる。もちろん、それだけに燃費はあまり良くない。
Posted at 2012/10/23 22:53:35 | コメント(22) | トラックバック(1) | BMWというクルマ | クルマ

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