
この日曜日に、お友達の
RANちゃんさん、
mashowさんと連れだって、
ポルシェセンター浦和に行き、運良くケイマンとボクスターを試乗することができた。簡単なものだけれど、両車の比較インプレを書いてみたい。
※ タイトル画像は試乗したボクスターS。たまたま、私が持っている
ミニカーのRS60スパイダーと似た配色の車だったのには驚いた。
◆ケイマンの大きな音
最初にケイマンに乗った。エンジンをかけると「バン!」と大きなスタート音がその気にさせる(ただ、ハンドルを大きく切って転回する時に「ガッ、ガッ」と小さな音と振動があったが何だったのだろう?)。
広い道に出てアクセルを踏み込むと、グーッと加速していく。回転数が上がると、とても大きなエンジンやマフラーの音が後ろから室内に響きわたる。本当に大きな音だ。きっと車外にも大きく響き渡っているに違いない。たまにポルシェに乗るたびに思うのだが、音が人を振り返らせる。なかなか迷惑な車かもしれない。
後で納得したのだが、ケイマンのエンジンはリア・ガラスの内側、いわば車内にある。それに対して、ボクスターのエンジンは幌の向こうにあるのだった。
◆程良いパワーの扱いやすさ
けれども、踏み込みの割には加速感はそう大きくはない。むしろ、車が重々しく感じられる。少し速度を上げられる道に来たので、全開を試してみたけれど、それほどとも思えないパワーの出方なので、ややがっかりする(私はSならぬノーマルで十分だと思っていた)と同時に、このパワーならではの扱いやすさがあるのだろうと思った。
◆ケイマンの意外な「重々しさ」の理由
そもそも今回の試乗では、ケイマンの「重々しさ」を感じた。ハンドルも、アクセルの付きも、ブレーキも、車の動きも、すべて重い。とりわけ、最近の私は、116iの軽さに感心していたので、P/Wレシオではまったく有利なはずのケイマンに重さを感じたのは意外だった。
しかし、たぶんそれは逆なのだと思う。つまり、116iの操作系や動きの方が軽過ぎるのだ。重い方が好きだった自分の感覚の基準がずれてきているのを感じる。そして、いくらか力を必要とする操作系の方が、微細なコントロールが容易だということを、この車は教えてくれているようだ。
◆通常は「エコプロ・モード」
直進安定性、ステアリングの反応の敏感さは素晴らしい。ブレーキもとてもよく効く。試乗車はPASMとスポーツ・クロノを装備した車だったので、ノーマル→スポーツ→スポーツプラスの順に、モードを変えていったが、スポーツから上の方が、アクセルも足もキビキビと気持ちがいい。聞けば、ポルシェのノーマルは、BMWで言う所のエコプロに当たるらしいので、スポーツ以上でなければ、その真価は出ないということだ。
◆ケイマンならではの剛性の高さ
それでも乗り心地は十分に良くて、スポーツプラスでさえ、固すぎとは感じなかった。おそらくケイマンならではの剛性の高さが、しっかりと足回りを働かせているのではないかと思う。というのは、ボクスターSの方が、やや固さを感じたからだった(試乗車はどちらも19インチホイールを履いていた)。この点は、サーキット場や峠を攻めることで、よりハッキリするかもしれない。
* * * * *
◆トルクにゆとりのあるボクスターS
次にボクスターSに乗った。やはりエンジンの大きさの差(*1)はハッキリとわかり、ゆるゆると路地を走る時でも、トルクにゆとりのある車は楽に動く。広い道に出れば、ちょっとアクセルを踏むだけで、前車までの間の少しの距離を簡単に詰めることができる。BMWでたとえれば、N55の3L直6ターボのような感じだ。
しかしもちろん、この車のエンジンは水平対向の6気筒NAだ。速度を上げられる道では、爽快なエンジンや排気音と共に、高回転までリニアにパワーを吐き出しながらグングン加速していく。実に素晴らしい。
◆PDKの鋭さ
PDKはさすがツイン・クラッチの2ペダルMTだけあって、ギアの切り替わりがとても鋭い。シフト・アップと同時にボディがグン!と前に押し出される感覚はBMWのM5以来だ。それにシフト・ダウン時のブリッピングも素晴らしい。「バゥン!…バゥン!」と激しいけれど滑らかなエンジン音と共に、車が速度を落としていく。これが病みつきで、減速のたびに無意味にブリッピング音を響かせたくなる。
◆走行中でも開閉可能な幌
さて、ボクスターは何といっても屋根が開く。小雨混じりの日だったが、信号が青に切り替わってから、オープンにした。走り出せば小雨くらいなら車内は濡れない。そして50km/hまでなら走行中でも幌を動かせるのだ。
◆オープン・カーであることの意味
実は、前車が4シーターのオープン・カーだった私は、2シーターのオープンにはあまり期待していなかったし、そもそも運転に集中して前方ばかりを見ている間は、屋根のあるなしに大きな関心は向けられないものだ。だから私は、より剛性の高いケイマンに興味があった。
ところが、瞬時と言いたくなるほど敏速に屋根を開け、暗い車内に雨雲に覆われた空の薄ぼんやりした明りが満ちると、不思議と心が一気に晴れ渡った。これはいい。2シーターの、このボクスターの幌の開閉の速さが良い。まるで窓を開くような気軽さで、屋根を開けられると思った。
◆ケイマンかボクスターか/ノーマルかSか
そんなわけで、試乗前はケイマンのノーマルかな、と思っていた私だったが、試乗後には、選択肢はボクスターのSしかないと思うようになった。すっかり変わってしまったのだった。
それから、試乗車のボクスターSは左ハンドルだった。よく外車は左ハンドルが良いと言われるが、ペダルの少ないPDKの場合は、さほど問題ないと思われたのだが、実際に運転してみると、ブレーキ・ペダルの位置がちょうど真ん中にあって、踏みやすかったように思う。
*1 … ボクスターSの最大パワーは
232kW(315ps)/6,700rpm、最大トルクは360Nm(36.7kgm)/4,500-5,800rpmだ。対するケイマンは
202kW(275ps)/7,400rpm、最大トルクは290Nm(29.6kgm)/4,500-6,500rpmとなる。

ブログ一覧 |
ポルシェ・ケイマン | クルマ
Posted at
2014/06/10 01:06:10