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スパグラのブログ一覧

2017年05月28日 イイね!

BMWディーラー企画のトークショー

BMWディーラー企画のトークショーBMWの地元ディーラーで、自動車評論家の五味康隆氏のトークショーを聞いてきた。テーマはMモデルのことで、レーサーの経歴と自動車評論の仕事などの自己紹介の後、Mの歴史や長所、重量バランスと走りの関係、タイヤ・足回り・ボディ剛性(というより弾性)と動力性能・乗り心地の関係などを、開催中のニュル24時間耐久の話を織り交ぜながら、Mに限らずBMW車全体の魅力に至るまで、初々しい女性MCとの楽しいやり取りの中で聞くことができた。

五味さんはとても気さくな方で、楽しいトークショー終了後も、質問やサインや写真を快く受けて下さった(もっと良い服を着てくるのだった(汗。

もともと自転車競技から乗り物のスポーツに入った方だけあって、車両感覚が優れて鋭敏(たとえばタイヤの右端、真ん中、左端のどこに問題があるか、またボディのどこがよじれているかわかる)なので、それがドライビングのセンスにつながると同時に、評論の言葉にも困ることがないと聞いて驚いた。だからその鋭い感覚が求められて、某メーカーの車両開発協力もしているそうだ。数値化できない感覚をギリギリまで追究して車というモノに具現する。これこそ本来のアートだと思った。
Posted at 2017/05/28 22:37:48 | コメント(13) | トラックバック(0) | BMWというクルマ | クルマ
2014年01月12日 イイね!

BMWの軽快な重厚感

BMWの軽快な重厚感2006年の夏、初めてBMWのディーラーに入った。カタログだけもらうつもりだった。ところが、その日のうちに320iツーリングを契約することになってしまった。昔から漠然と憧れていたメーカーの車だったから、試乗もしなかった。数週間後に実車が到着した。とても嬉しくて、炎天下の屋上駐車場に停められていた初めての外車に乗り込んだり、写真を撮ったりした。けれども、本当に驚いたのは、納車された車を走らせた後のことだった。このクルマは、全然違う、と。

私はBMWの魅力をいう時、「軽快な重厚感」という言葉を時々使う。それは、320iツーリングの後に乗った120iカブリオレ、そして今乗っている523iセダンのそれぞれに当てはまる。これらは皆、各シリーズのほぼベース・グレードの車だ。だから、BMWの軽快な重厚感という矛盾したような言葉は、重くて固くて非力な車をスポーティに仕立て上げるBMWの技術、と言い換えることもできる。

しかし、車にとって、重さはデメリット以外の何ものでもないような気もする。それで、最初にあえてそのメリットとデメリットを考えてみた。



重い車のメリットとデメリット

 車は一度動き出せば慣性力を持つ。重い車ほどこの慣性力が大きい。そのため、加減速やコーナリング等、車のあらゆる挙動変化が鈍く緩やかになる。
 そのメリットとしては、まず乗り心地が向上する。また、高速直線走行時に安定性がある。空気抵抗にも強い。さらに衝突時の衝撃が少なく、安全性が高い。また、重い車はタイヤのグリップ力(トラクション)が大きい。そして重い物を載せた時の影響を受けにくい。
 デメリットは、機敏な走りのためには、この慣性力や重力をコントロールできる大きなパワーや、強いボディと足回りが必要なこと、そして燃費の悪さだ。




最も重い車に乗りたければトラックが一番だが、もちろんBMWはトラックではないし、その重さには理由があると思う。それを、次にBMWが「ドイツ車であること」、「剛性が高いこと」の二つの点で考えたい。



ドイツ車であること

 ドイツ車は、速度無制限区間を含むアウトバーンを、高速で走ることを前提に設計されている。したがって、高速走行時の安定性が、直進時のみならず、コーナリング時やブレーキング時でも高い。また、それゆえ安全性の基準も世界トップレベルたらざるを得ない。
(この点については、是非M5.Alpinaさんの「アウトバーンとドイツ車」をお読みください。)

剛性が高いこと

 ボディとサスペンションの強さが、エンジン・パワーとその伝達力の強さよりも勝っている。いわゆる「シャシーが速い」ということだ。剛性が高ければ、ボディのよじれが減少し、タイヤやサスペンションの本来の性能が引き出され、車の直進安定性やコーナリング性能が上がる。その結果、ドライバーの意思と車の動きが即座に一致して、運転が上手になったような感覚になる。また、ボディ自体の振動が減り、乗り心地が向上する。それは、巌に乗って自在に動き回っているかのような、ダイレクトな移動感覚を生む。




これで、BMWの「重さ」というマイナス・イメージが、少しは「重厚感」というプラス・イメージに変ってきたかもしれない。けれども、剛性の高いドイツ車のメーカーはBMWに限ったことではない。それで、次にBMWのセールス・ポイントである「FR(後輪駆動)であること」、「前後重量比が50:50であること」の二つの点から、BMWの魅力を考えたい。



FR(後輪駆動)であること

 路面からの反発を最初に受ける前輪が操舵専用となるため、ハンドリングや乗り心地が向上する。そして発進時に車重を受け止める後輪が駆動専用となるため、路面に余すところなく力を伝える。また、縦置きエンジンからギア、およびドライブシャフトを結ぶ直線構造が、シャシーの剛性を縦方向に高めると同時に、事故時にはエンジンが乗員に接触することなく車両中央部を抜けやすい。

前後重量比が50:50であること

 四つのタイヤ接地面積とそれぞれの加重がほぼ等しくなるため、各タイヤから路面に伝え、あるいは伝えられる力の制御が容易になる。コーナーリング時には前・後輪が受ける力が均等になる。このように前後左右の荷重移動が自然になるので、走る、曲がる、止まるという基本的挙動のすべてが向上する。




さて、ここまで「BMWの軽快な重厚感」について考えてきたが、車重1.5トン前後もある320iや120iを150psほどで、あるいは1.8トン近くもある523iを204psのパワーで動かして、なお「重厚」だけれど「軽快」でもある、と感じられる理由があるとしたら、それは、高いボディ剛性やFR車ならではの機構と適切な重量配分がもたらす、優れたハンドリングやエンジン・フィール、そしてダイレクトな移動感覚を、たとえ小さなパワーの車でも、むしろハッキリと体感できるからではないか。それが「重くて固くて非力な車をスポーティに仕立て上げるBMWの技術」だと思うのである。

最後に、私はここまでBMWが世界に誇る大パワーのエンジンについてはあえて触れなかった。どんなに重いボディでも、それを補って余りあるエンジンを積んでいれば、BMWはとても軽快な車だ、と感じることができるからだ。M5やM3を出すまでもない。最近の4気筒ターボのフル・スペック版を載せたF30-328iのボディや足回りとエンジン・パワーの組み合わせで十分だ。

けれども私には、パワーと剛性と重量のバランスの妙味を感受する気持ちがあってこそ、「BMWの軽快な重厚感」という深い味わいがわかるのではないか、と思う。たとえばそれは、やや重めのハンドルの微細な手応えの中に、人馬一体感をもたらすBMWの大きな魅力が秘められている、と気付くかどうかの違いとなって現れるのだ。

Posted at 2014/01/12 04:57:36 | コメント(43) | トラックバック(1) | BMWというクルマ | クルマ
2013年10月09日 イイね!

新型M3/M4のエンジン、ギアの予想とALPINA B3/D3との比較

新型M3/M4のエンジン、ギアの予想とALPINA B3/D3との比較ようやく日本でも、F32というコード・ネームを持つ「4シリーズ」がデビューを果たし、そろそろ試乗車も出てきたようだ。そしていよいよ、待望の新しいMモデル、F80(M3=セダン)やF82(M4=クーペ)デビューの足音も聞こえてきている。

そこで今回は、まだ詳細は不明なものの、BMWのプレス・リリース等の情報をもとに、このM3/M4のエンジン、ギアを予想し、それを最新のALPINA B3/D3と比較してみたい。

最初に、新しいMモデル(F80/82)に搭載されると噂されている、3L直列6気筒ツイン・ターボ・エンジンの出力特性(dyno)グラフを、これまでのM3(E90/92)の4LV8NAエンジン、そしてALPINA B3/D3BiTurboの3L直6ツイン・ターボ・エンジンと並べて比べる。



新しいMモデルのエンジン(赤ライン)は、1Lもダウン・サイジングされながらも、これまでのMモデルのエンジン(緑ライン)に比べて、大幅に上回るトルクと、やや上回るパワーを持つ。また、ガソリン・エンジンのB3BiTurbo(青ライン)に比べると、トルクで若干劣り、パワーで若干勝る(ここはM5とB5の関係に似ている)。さらに、ディーゼルのD3BiTurbo(オレンジ・ライン。これまでの2L直4から3L直6へと大型化された)は、700Nmもの強大なトルクによって、4,000回転までの間なら上記すべてのエンジンを上回るパワーを誇る。

なお、ここで新しいMモデルのエンジンは、最高トルク575Nm[1,750-5,250rpm]、最高出力316kW[5,250-7,200rpm]と仮定してグラフを描いた。その根拠は、BMW A.G.のプレゼンで示された左の図によるものだ。

実際は細かな数値では異なることになると思われるが、そう大きくずれてはいないと思う。

次は、これらのパワーが、実際にどのような車の動きとなって現れるか、ということを比べてみる。



このグラフは、上記各車のエンジンに組み合わされるギア(Mモデルは7速DCT、ALPINAは8速AT)の違いによる、1速~3速まで(D3のみ5速まで)のそれぞれのギアの最高出力と速度の関係を表したものだ。上の出力特性グラフと比べてみると、M3/M4の赤ラインが、B3の青ラインを上回るパフォーマンスを示していることがわかる。その理由は、次の表のように、7速M-DCTのトータル・ギア比が、ALPINAの8速ATよりも、クロス・レシオであるためだ。
(しかし新型M3/M4でギア比が変更される可能性もある。これについては記事末尾の追記参照)

BMW M3/M4 : 7速M-DCT
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.780 3.056 2.153 1.678 1.390 1.203 1.0
ファイナル比 3.154
トータル比 15.076 9.639 6.791 5.292 4.384 3.794 3.154
ALPINA B3/D3 : 8速AT
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.714 3.143 2.106 1.667 1.285 1.0 0.839 0.667
ファイナル比 2.813
トータル比 13.261 8.841 5.924 4.689 3.615 2.813 2.360 1.876

最後に、上のグラフを単純化して、アクセルを目一杯踏み込み続けた場合(そういえば、最近話題のローンチ・コントロールを使えば、まさにこのようなイメージで加速していくと思う)の、各ギアのつながり具合を比較したグラフを見てみる。



E90/92M3(緑ライン)の段差が目立つのに対して、F80/82-M3/M4(赤ライン)の方は、つながりが実にスムーズでロスがない。それは8段ものギアを持つF30/B3BiTurbo(青ライン)をも上回っているが、ここにも、Mモデルに装備された7速M-DCTのクロス・レシオと、新しいMモデルのエンジンの特徴的な、高回転型のフラット・パワーが功を奏していると思う。1,500kgを下回ると噂されている、かつてない軽量なボディとあいまって、目が覚めるような鮮やかな加速が目に浮かぶようだ。

また、F30/D3BiTurbo(オレンジ・ライン)に目を移すと、140km/hほどまでの間に、5段ものギアを使っている。その速度域では、緑ライン(E90/92-M3)などは、まだ3速で加速を続けている間だ。このことは、トルクフルなディーゼル・エンジンと、ワイド・レシオな8速ATとの、抜群の相性の良さを表しているようだ。実は、ALPINAの8速ATのファイナル比は、どのようなモデルのどのようなエンジンでも、「2.813」が採用されている(F10-D5Turboのみ2.471とさらにワイド)が、それは、このような場合のみならず、優雅な乗り味を売りとするALPINA車全般の、スポーツ性と日用性の両立志向の現れではないかと思う。



※ この記事は、どれだけ違うのでしょう…M3/M4のエンジンとALPINA B3Biturboについて書いています。この記事の作成にあたり、RANちゃんさんから貴重なデータの提供を頂きました(というか検証を頼まれたw)。記して感謝申し上げます。




※ 10/10追記 …
現行型のF10-M5に装備されている7速M-DCTは、ファイナル・ギア比はE90/92-M3と同じ「3.154」だが、1~7速それぞれのギア比は少しずつ違っていて、全般にワイド・レシオである。新しいF80/82-M3/M4のセールス・ポイントには、高出力化と同時に低燃費化が挙げられている。そのため、このM5に採用されている、ワイドなギア比が用いられる可能性もある。その場合は、上記本文中に挙げたギア比の表は、次のようになる。

BMW M3/M4 : 7速M-DCT (M5 Ver.)
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.806 2.593 1.701 1.277 1.0 0.844 0.671
ファイナル比 3.154
トータル比 15.158 8.178 5.365 4.027 3.154 2.662 2.116
ALPINA B3/D3 : 8速AT
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.714 3.143 2.106 1.667 1.285 1.0 0.839 0.667
ファイナル比 2.813
トータル比 13.261 8.841 5.924 4.689 3.615 2.813 2.360 1.876

これに応じて、上記本文中に挙げた二つのグラフも、次のように変わる。


M3/M4がB3/D3よりもクロス気味、つまりギア比の数値が大きいのは、上の表やグラフからわかるとおり、1速のみである。それ以外の2~7速の各ギアは、B3/D3よりもさらにワイド寄りとなる。その結果、上のグラフ中のF80/82-M3/M4(赤ライン)は、特に1速から2速へのシフト・アップ時の段差が目立つようになる。しかし、やはり2速以上ではスムーズにつながっていく。運動効率と燃費率のバランスが取れた設定と言えるかもしれない。




※ 10/14追記 …
前回、10/10の追記で、現行型のF10-M5に装備されている7速M-DCTと同じギア比の場合を示した。けれどもその後、RANちゃんさんとのコメントやメールのやり取りの中で、さらに適切と予想されるギア設定の可能性に思い至ったので、ここでそれを説明したい。それは、E92-335i等に搭載されている7速DCTの設定である。ギア比の表は次のようなものだ。比較のために、やはりALPINAB3/D3の8速ATも併記する。

BMW E82-135i / E92-335i / E89-Z4 35is : 7速DCT
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.780 3.056 2.153 1.678 1.390 1.203 1.000
ファイナル比 2.563
トータル比 12.251 7.833 5.518 4.301 3.563 3.083 2.563
ALPINA B3/D3 : 8速AT
ギア 1 2 3 4 5 6 7 8
ギア比 4.714 3.143 2.106 1.667 1.285 1.000 0.839 0.667
ファイナル比 2.813
トータル比 13.261 8.841 5.924 4.689 3.615 2.813 2.360 1.876

この表の、特にトータル比を見比べれば、E92-335i等のギア比は、むしろB3/D3のギア比よりもワイド寄りであることがわかる。かろうじて6速、7速の2段だけがクロス気味となっている。それでも、このE92-335i等のギア比は、新型M3/M4には向いていると思われる。その理由を述べるために、次にギア単体のグラフをいくつか挙げる。



まず、この記事で最初に仮定したE92-M3のグラフを見てみる。この車に積まれているV8NAのエンジンの特徴は、何と言っても高回転型であることだ。レッド・ゾーンを含むタコメータの上限は9,000回転もあり、それだけエンジンを回すことで、速度計の上限330km/hに向かって加速していくのだ。ところが、ターボでトルクを稼ぐ新型M3/M4のエンジンはこれほど回せない。その上限は、やはりN55エンジンと同じ8,000回転(グラフの横赤ライン参照)か、それを少し上回る程度だろう。だとすれば、最高の7速を使っても330km/hには届かない。つまり、高回転域が不足しているのである。



次に、この記事の追記で仮定した、F10-M5のグラフを見る。この車にV8ターボのエンジンが搭載されていて、レッド・ゾーンを含むタコメータの上限は8,000回転に抑えられている。先ほどのE92-M3に比べれば、ターボの強力なトルクを生かしながら、ワイドの寄りのギア比によって、ゆとりを持って最高速に達するばかりでなく、6速と7速はオーバー・ドライブまで持ち、高速かつ低燃費の走行さえ可能である。けれども、そのゆとりは680Nmもの強大なトルクを前提とするものである。



500~600Nmほどのトルクを持つ新型M3/M4には、上のF10-M5よりも少々クロス寄りのギア設定とすることで、トルクを生かした加速性能と高回転域でのゆとりとの両方が欲しいところだ。ところで、このE92-335i等の速度計の上限は280km/hだ(グラフの縦赤ライン参照)。このグラフは、新型M3/M4に向けて、その上限を330km/hまで上げてある。その結果、このギア比によって7速7,000回転でちょうど330km/hに達することとなり、この車のスポーツ性が最大限に発揮できると考えられるのである。



最後に、新型M3/M4に、このギア比が採用された場合の、各車のエンジンに組み合わされるギアの違いによる、1速~7速または8速までの、それぞれのギアの最高出力と速度の関係を表したグラフを挙げる。この場合、それまでのグラフと違って、新型M3/M4の初期加速はD3はむろん、B3にも及ばない。しかしパワーが勝る分、徐々にその差を詰めていくように見える。また、ギアのつながり方はやはりスムーズだ。これに1,500kgを切ると言われている軽量なボディの差が加われば、その差はもっと縮まるか、あるいは逆転も十分に考えられるだろう。

Posted at 2013/10/09 02:58:20 | コメント(18) | トラックバック(0) | BMWというクルマ | クルマ
2013年06月30日 イイね!

BMWとピュア・オーディオ

BMWとピュア・オーディオそういうわけで、最近は車の新しい記事やお友達のブログを訪問もさぼって、暇があれば自宅オーディオに夢中になっている。

スピーカやアンプを一新して最初に気付いた変化は、音楽のリズム感だった。たとえば、ロック・ギターのカッティングがはっきりして、ごく短かな休符まで聞こえるようになると、ボーカルがジャスト・タイミングで入って来ていたり、ドラムやベースがピタリとそろっていることが身体でわかるようになって、ふと気付くと自分もリズムを取っていたりする。

それで逆に、今まではあいまいなリズムを聴いていたのだとわかった。もちろん、それでも音楽はじゅうぶん楽しかった。ただ、四六時中聴いていたいとか、聴けば身体が動いてしまうとかいうほどの楽しさではなかった。この変化は何かに似ている、と少し考えて思い出したのが、BMWだった。

アクセルを踏むと動き出す、ハンドルを切ると曲がる、ブレーキを踏むと減速して停まる。そんなことは自動車にとって当たり前のことなのに、BMWはそこが他の車とちょっとずつ違う。その違いが、結局は、いつまでも運転し続けていたいという思いになって身体に残る。

最近のCDは、音源をリマスタしたり、それを高品質のディスクに丁寧に焼き込んだりしている。そういう新しいバージョンのCDは、それまで聞こえなかった楽器の音やボーカルの声がわかるようになったとか、バンドの立ち位置がハッキリして奥行き感や広がり感も強まったなどとレビューされている。

そんなところも、BMWは似ていると思う。路面の凹凸から不快感を取り去った情報を、リアル・タイムでステアリングに伝えてくる。アップ・ダウンの強めな道でも、四輪がしっかりと路面をつかみ、コーナーの複雑な形を一定速のままで、思い通りにトレースして抜ける。風景の中で車と身が一体になる。

BMWに色々なシリーズがあるように、ピュア・オーディオにも色々なメーカや機種があって、それぞれ個性的な音作りをしている。個性という意味では、車だってBMWに限らず、他のドイツ車、他の外車や国産車も、それぞれ独特なこだわりを持って造られている。

そんな中でも、私のオーディオ・システムは、あまりBGMであることを好まないようだ。しっかりスピーカと向き合い、その刺激的でリアルな音を全身で味わえ、と求められているような気がする。

Posted at 2013/06/30 22:48:15 | コメント(18) | トラックバック(0) | BMWというクルマ | クルマ
2013年03月31日 イイね!

コンパルソリー・フィギュアと車

コンパルソリー・フィギュアと車しばらく無言で、天城トンネルから海に続く道を走っていた。

「何か考えてる?」と妻が言った。
「いや、ちょっと丁寧に運転してただけだよ。なんで?」
「ふうん…コンパルソリーみたい、って思ったから」

後で聞くと仕事のことで思い詰めていたと感じたらしい。

「コン?パラソル?」
「フィギュア・スケートで片足ずつ綺麗な8の字を描いたりする。昔の規定種目」
「あー、そういうのか。そんなもんかな」

私は少し嬉しくなった。緩い下りカーブが連続する道を、ギア・チェンジとブレーキングとハンドル操作の組み合わせで、できるだけスムーズに走る練習をしていたからだ。結局、それが二泊三日の伊豆ドライブで、一番心に残る言葉になった。

峠なら攻める。コーナーなら加速して突っ込む。強いブレーキングとエンブレの高回転を併用してアウトからインに入り、クリッピング・ポイントでタイヤが横方向の力を目一杯に受け止めている感触を全身に感じながら、次のベタ踏みを待つ瞬間を楽しむ。

けれども、私程度の技量でそんな運転ばかりしていたら、ラゲッジの豆腐はグズグズに壊れ(物のたとえです)、ダッシュボードに置いたコップの水ばかりか、助手席の妻までどこかに飛び散ってしまうに違いない。実際、天城越えの翌日の爽快な西伊豆スカイラインでは、妻の判定はさんざんなものだった。

道路は車線の真ん中を走る。交差点は停止線で停まる。右折は路上の表示どおりに曲がる。周囲の状況を確かめて、ハンドルはすばやく切る。てきぱきと加減速して、いたずらに車間を開けたり詰めたりしない。右足はアクセルとブレーキの間をいつも往復している。

楽しかった伊豆ドライブから戻って、改めてそんなことを意識しながら、いつもの街の道を走っている。BMWの美しさは動く姿の中にこそある。


※ 3/31午後追記 … フォト・ギャラリーに旅行の写真を載せた
また、ペットと泊まれる露天風呂付きペンションを、お勧めスポット( 一泊目二泊目 )で紹介した。よろしかったらどうぞ。


Posted at 2013/03/31 02:54:53 | コメント(18) | トラックバック(0) | BMWというクルマ | クルマ

プロフィール

「[整備] #ケイマン 2024/7/12:12ヶ月法定点検:走行距離 9,593km https://minkara.carview.co.jp/userid/224462/car/2612759/7865831/note.aspx
何シテル?   07/14 02:42
Porsche Cayman GT4に乗っています。他にBMW320dツーリング(G21)が妻の車です。 ハンドルネームの「スパグラ」は、初めてのBMW車...
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