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スパグラのブログ一覧

2018年08月30日 イイね!

B8型 Audi A4アバントのショートインプレッション

B8型 Audi A4アバントのショートインプレッションケイマンGT4のドライブレコーダーにリヤカメラ増設するため、ディーラーに一泊入庫となった。代車として用意されたのが、このAudi A4 アバントだ。

車検証には「平成21年9月」(2009/9)とあったので、先代のB8系の前期型ということになるだろうか。フロントフェンダーには「S line」のロゴが貼ってある。距離は2万キロ台。

ディーラーを出る時に「普通の車ですよ~」と言われた。「ポルシェに比べて」という前置きが省かれているのだろう。
実際走り出してみると、フワッとした乗り心地と軽い動き方に「なるほど、普通だよなぁ」と思った。

けれども、やはり「普通」では終わらなかった。最初に感じたのはフロントの引っ張り感だ。それで改めて車内を見渡すと、助手席正面には「quattro」の文字が誇らかに輝いているではないか。

実は私は、エンジン縦置きのクワトロを運転するのは初めてだった。だから私が感じたのは、フロントが引っ張っている感覚だけではなくて、同時にリヤも押し出している、独特な走行感覚だったのだ。

ひとことで言えば走りの安定感ということになるが、やはり四輪それぞれが独自に生み出すトラクションは、直進時やコーナリング時はもちろん、車線をふと変える時にも、独特に堅実で俊敏な走行感覚を生み出すものだ、と感心した。それは四足で地面をつかんでは蹴り出して走る動物のようだ…と思っていたら、quattroのエンブレムにはGecko(ゲッコー)というヤモリが使われていると知って驚いた。

これを知って、その魅力の虜になってしまうと、Audiのクワトロからはなかなか離れられないと思った。しかも、低回転時から35.7kgmものトルクを発する、2L4気筒直噴ターボエンジン(TFSI:Turbo Fuel Stratified Injection)と、7速Sトロニック(DSG:Direct-Shift Gearbox)の連携も素晴らしく、211psで1,730kgものボディを動かしているとは思えない軽快さだ。

1,730kgというのは車検証記載値で、前後重量比は930kg:800kg≒54:46だから、いくぶんフロントが重いがそう悪いわけではない。むしろ、そのちょっとしたアンバランスをクワトロで押さえ込んで走る感覚が面白かった。

それで思い出したのが、911ターボSの走りの独特さだった。もちろん、RRベースの四駆だからリヤの方がずっと重いし、パワーもボディも全然違う。けれども、地をつかんで這いずり回るヤモリ(Gecko)ような感覚は、極めて濃厚で強烈な911ターボSの味を薄めたもののように感じる。

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Audiの仕組みを色々調べていると、しばしばスバルのことが出てきた。そもそも、私のポルシェディーラーの親会社はスバルなのだ。そしてポルシェとAudiの親和性は言うまでもない。

ポルシェの水平対向エンジンはスバルに通じ、スバルの四駆はのAudiに通じる。そんな遠いような近いような、人と機械の結びつきや対話、感覚がとても面白いと思った。だがしかし、BMWで得られるものをAudiに求めるのは難しいとも思った。結局は、どちらも悪くないのだ。
Posted at 2018/08/30 03:21:52 | コメント(11) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2016年12月18日 イイね!

BMW i8のインプレッション

BMW i8のインプレッションお友達のbogeyman_hさんから、東京出張のついでに会いしましょう、とお誘いを受けた。お台場のBMWで待ち合わせた後、そこにしかないような珍らしい車を続けて何台か試乗することができたが、中でもi8は想像よりずっと良く、すっかり驚いてしまった。

実は私は、二千万円の超高値や、スーパーカー然とした雰囲気のために、最初からこの車に興味を持てなかった。

さらに、えてして褒め殺しの自動車評論はともかく、時々上がるブログの試乗記をざっと読んでも、どちらかと言えば、案外大したことはない、というインプレが多かった気がする。それで私もついうっかり、1.5Lの3気筒ターボを積むこの車のパワーは231ps程度だが、カーボン製で軽いから超高値だけど速い、というくらいに誤って思い込んでいた。けれども実際はまったく違っていた。

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この店では、試乗前には車の周りをグルッと一周して傷がないことを確かめる儀式がある。傷というよりも、ボディライン自体をしげしげと観察することになるので中々面白いのだが、特に造型が凝っているi8の場合は、あまりの格好良さに感動してしまった。これから乗り込んで走ろうと思って見るのと、ショーの展示車を眺めるのとでは全然違う。

派手なガルウィング(正しくはバタフライ)のドアは上に開くので、回り込む必要がなくて乗り込みやすかった。開け閉めも軽くて簡単だ。尻を車内に向けて落とすと、太ももがサイドシルに柔らかく当たり、それよりも低いシートの上に、腰がスルッと滑り込んで収まった。案外座りやすい上に気持ちいい。

とても低いシートに座って、包まれ感のある車内から前方の眺めはポルシェに似ていた。眼下の低いボンネットが先端に向ってなだらかに落ちていき、その左右の端が盛り上がっているのが「ヤル気」を起こさせる。見切りもいい。インテリアの先端的なデザインよりも、そうやって前方を眺め回した感じだけで、この車が紛れもない「スポーツカー」であることがすぐにわかった。

走らせてみると、そこにまた、独特に不思議な感じがあった。ひとことで言えば「軽い」のだが、同じ「i」が付く「i3」と似た感覚で、いつのまにか停車から移動に変わっているような加速の仕方だ。これが0回転から最大トルクを発するモーター固有の挙動なのだが、その他にも、自分がいかにも固い殻の中にいるかのような、濃密な剛体感があり、その二つがあいまって、その独特な乗車感を作り出しているのだと思う。実際は1,510kgと、911カレラよりも50kgくらい重いのだから。

前の記事に書いたことだが、ポルシェは、特に最近のモデルは概して壮大で重厚だ。981ボクスターもそうだが、911カレラは特にそうだ。それに比べると、i8はとても軽快なので、シートからの眺めは似ていても、乗り味はだいぶ違う。足回りも良くて、固いボディとのマッチングも素晴らしい。しかも驚いたことに、踏み込んで強く加速すると、RRの911カレラのようにウィリーまでしてみせたのだ。

「あーこんな動きもあるんですね。この車は後ろにエンジンを積んでいるから。でもモーターで走る時はFFですね(笑」などと隣でbogeyman_hさんが言う。i8の仕組みを良くわかっていない私の頭は「リヤ?FF?」と軽い混乱を覚えた。けれども、ハンドルを握って車を走らせている自分の身体の中からは、ジワーッと不思議な快感が込み上げてくる。こんなことはずいぶん久しぶりだ。



後で調べてみたら、パワーは231psどころではない。エンジンの他に131ps、25.5kgmを発するモーターのパワーを加えて、362ps、58.1kgmもの力があるではないか。そしてボディは上の写真のように、乗員周囲がカーボン、それ以外にアルミ合金が使われた、まるでオープンカーのように低重心のMRではないか。フロントのモーターによって重量配分は50:50というBMWの基本も押さえられている。これらが一体となって、走りの中で巧みに前後のトラクションを生み出すことで、あの独特な乗り味を作り出していたのだった。

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「良い車」と「欲しい車」という二分法で言えば、i8は明らかに「欲しい車」だ。私にとって、それが981ボクスターや911カレラを超える魅力がある車だとは、まったく思っていなかった。けれども幸か不幸か、手が出ないほど高値である上に、マンション住まいで充電設備を造れない駐車場では「i」の付く車は維持できない。さらに言えば、モーターを使う車は、まだ発展途上だとも思う。

けれども、こんな魅力的な車が体験できるだけでも面白い。このお店―「BMW GROUP Tokyo Bay」の試乗時には、今所有している車や、付き合いのあるディーラー名などは全然聞かれなかった。免許を見せて、住所氏名を書き込んで保証関係の誓約書にサインするだけだ。車の未来も捨てたものじゃない、という明るいビジョンを体験したい人には、是非試乗をお勧めしたいと思う。

※ この記事は、東京出張~プチオフ~東京観光について書いています。
関連情報URL : http://www.bmw-i.jp/BMW-i8/
Posted at 2016/12/18 20:47:48 | コメント(13) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2015年06月05日 イイね!

ホンダ・S660の試乗インプレッション

ホンダ・S660の試乗インプレッション先週の新型ロードスターに続いて、今週はホンダのS660に試乗してきた。車は「α」という高い方のグレードで、白ボディに黒幌の6MTだ。私の車と似ているところが多くて、おのずと気持ちも前のめりになってしまう。
そしてやはりこの車も、試乗前の予想を上回る素晴らしさだった。ちょっと混んだ街中の道でも、シフト・レバーを動かしたりペダルを踏み込んだりしている間に、どんどん楽しい気持ちになってきた。

言うまでもなく、この車は「軽」の「MR」だ。同じコンセプトのビートに乗ったこともない私が、今回の試乗で一番確かめたかったのは、そのパワー感と操縦感覚だった。

1速で店の敷地から道に出て、グッとアクセルを踏み込んだら、軽い加速感とともにエンジンが高い音に変っていく…と思った時には、メーターの針はもう7,000回転を超えていて、驚いて2速に上げた。本当に吹け上がりの速い、エンジンを回して乗る車なのだ。そういえばこのエンジンはターボだったが、そんなことはすっかり忘れていた。

路肩に停まっている車を避けようと軽くステアリングを切ったら、予期の倍ほども素早い反応にも驚いた。しかもこの車は小さいので、スイスイとメダカが泳ぐように、一車線の幅の中を走り抜ける。この感覚は初めてだ…いや、ずっと昔の自分の軽自動車が似ていたかもしれないが、もっとずっと鈍くて重かったに違いない。

調子に乗ってきたので、3速から2速に落として左折しながらアクセルをあおってみたら、クイッと軽く、しかもややオーバー気味に曲がると同時に「キュキュッ!」とタイヤが鳴った。おお、この程度の操作でこんな挙動を見せるのか、とちょっと感動した。

補修の跡やマンホールの蓋で凹凸の路面を走っても面白い。そこに踏み入って行く前輪、後輪の順を感じさせずに、ボディ全体が同時にポコッと上下する感じは、重いエンジンがミッドシップに置かれたMRの特徴だと思う。ボディ剛性は高く、足回りの固さも適度で、緩さは感じられない。

以前、展示車を見た時から、スポーティなステアリング・ホイールや、ホールド感の高いシートに感心していたが、実際に運転してみて、この車が「軽自動車」だというイメージはまったく湧いてこなかった。
確かに、太い枠に囲まれたフロント・ウィンドウは小ぶりだし、頭上後方のフレームまでのゆとりも少ない。けれども、クラッチまで操る足元は十分に広いし、ショート・レバーのシフト・ワークも楽におこなえる。ドアを閉じた時の「ドスッ」と低い響きは伊達ではない。
要するにこの車は、たまたま日本の「軽自動車」という枠に収められた、本物の小型スポーツ・カーなのだ。
             *       *       *       *       *

乗り込む前に、小さなショルダー・バッグを肩から外したが、適当な置き場が見当たらなかった。セールス氏はボンネット内の幌ケースを使おうとしてくれたが、私はそれよりも、幌の方をその本来の場所に収めてもらい(つまり車をオープンにして)、バッグは自分の車に置いてきた。こんなことが、この車の「立ち位置」をよく表していると思う。

その意味で、「普通乗用車」(しかも案外3ナンバーサイズ)の新型ロードスターは優れて実用的だ。大人二人で泊まりがけのドライブに出かけられるし、広めの室内は疲れも少ないだろう。家族構成によっては、これ一台あれば十分だ。

けれども、S660の小型で先鋭的なスタイルのボディは、物は運べないけれど屋根は取り払えて、ちょっと尖った設定のMRの走りは、この上なく楽しい。さらに「軽自動車」だからこそセカンド・カーとしても維持しやすい。逆にセカンド・カーを先にこれと決めてしまえば、ファースト・カー選びの自由が広がるとも言える…いや本当は、この車一台だけで通すのが一番格好良い、日本が誇る“世界のHONDA”への殉じ方かもしれない。
Posted at 2015/06/05 22:00:56 | コメント(8) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2015年05月30日 イイね!

新型マツダ・ロードスターの試乗インプレッション

新型マツダ・ロードスターの試乗インプレッション運良く新型ロードスターを試乗できた。車は黒のスペシャル・パッケージのMTだ。セールス氏の同乗で、試乗コースをオープンとクローズで、計二周させてもらえた。

結論から書くと、素晴らしい車だった。買うなら、レザー・パッケージを選んだ上に、純正アクセサリをフル装備しても惜しくないと思った。

何よりもボディの剛性感が高かったのには驚いた。足回りがよく働いていて、フワフワした感じなど全然ないのに、路面の凹凸は悠然といなして走り抜け、強めのブレーキでも姿勢が乱れないのに感心していると「これが軽量ボディの特徴です」と、整備出身の若いセールス女史がにこやかに付け加えた。

以前、先代のNC型ロードスターに三週間ほど乗った。五年で六万キロ走った車と、百キロしか走っていない新車の比較は酷というものだが、その差の大きさは、年式や走行距離を超えた、小型軽量化されたボディに詰め込まれた、最新技術の結晶だと確信した。

クローズで走ると、幌車とは思えない静かさだった。先代と違って、頭上には拳一つの余裕があって、まるで高剛性のスポーツ・クーペに変身したようだ。これなら9スピーカのBoseを奢って、好きな曲を楽しみながらの長距離ドライブも快適だろう。


    *       *       *


この車には「適度」という言葉が合うと思った。ドライビング・ポジション合わせも、ステアリングの重さも、ショート・シフトやクラッチの軽さも、エンジンやマフラーの音も、足回りの固さも、そしてその価格まで、みな「適度」なのだ。

それはもちろん、7,000回転で131psを発する1.5Lのエンジンと、わずか1トンの車重の組み合わせにも言える。速すぎず、遅すぎないのだ。そして、剛性感の高い、安定したシャシーを持っている。誰もが気軽に、爽快なオープン・ドライブを、安全に満喫できる。素晴らしい車だと思う。

私のボクスターGTSも2シーター・オープンという所は全く同じだが、この「適度」という所では、ずいぶん異なっている。と言うより、それは良くも悪くも「過剰」という所に特徴がある、全く別種の車なのだろう。

でも、もしもこのロードスターを買うなら、Boseと赤いステッチのアルカンターラ内装は欲しいかな。それから、少し太めで固いタイヤを履かせて、中高速時のステアリング・フィールを改善したいな…そんな事を想いながら、真新しいインクの匂うカタログを手繰った。




※ 5/31、6/1追記 … いただいたコメントへのレスで補足した、その他のインプレは以下の通り。

・ NDの高回転型エンジンは、まだおろしたてなのに、スーッと7,000回転まで素直に伸び上がった。良く回しながら走り込んでいけば、さらに気持ち良く、パワフルに育つに違いない。
・ クラッチのストロークはNCより深かったと感じたが、踏み込みやすかった。ボクスターは下方向に深くてちょっと大変だが、NDは前方向に深いので楽だった。ミート・ポイントも割と奥寄りなので、つなげやすい。よく設計されていると思う。
・ NCよりも明らかにフライホイールが軽くて、吹け上りが鋭いし、落ちも速い。だから回転数合わせはまごまごしていると難しい。結構とがった設定だ。
・ クイッと曲がると結構ロールするが、それが楽しい。だからシートはちょっと滑りやすい標準のクロスよりも、レザー・タイプの方が良いかもしれない(と思ったがレザーの方が滑るという説もあり真偽不明(汗)。
・ ブレーキの効きが良くて、ピッチングも少ない。だからちょっと速度が上がっても安心感がある。この辺はBMWに勝るとも劣らない感じがある。
・ 風を適度に巻き込むが、ちょうど良い感じだ。ウィンド・ディフレクターがあんなに小さいのに不思議だ。サイド・ウィンドウの開け閉てで、風の入りを調整しやすい。

考えてみれば、BMWやPorscheは、こんな小さなエンジンとパワーを持った、スタンダードなオープン・スポーツは造らないだろう。その意味では、相変わらず世界で唯一無二の車だと思う。
日本人はラッキーだ。
Posted at 2015/05/31 01:41:41 | コメント(19) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2015年01月11日 イイね!

マツダ・ロードスターのインプレッション

マツダ・ロードスターのインプレッション年末の渋滞した街中で軽く追突された。かすり傷のバンパーやクシャッと凹んだナンバー・プレートを付けたまま年を越し、先週半ばになってようやく修理入庫した。代車にはカレラを要求したがさすがにかなわず、マニュアルのマツダ・ロードスターが来た。2010年夏登録で、6万キロ以上走って良い貫禄が出てきた、黒い色のボディとソフトトップの5MT車だ。

造りたてのボクスターGTSから走り込んだレンタカーへの乗り換えだから、どうしたって埃っぽい古さばかりが目立つし、実際に走り出してみても、あちこちからガタピシと軋む音が聞こえてきて気が滅入ったが、そんな思いを抱え込みながら走って五日が過ぎた。今ももちろん、早く直って戻ってこないかと、愛車が恋しくなるばかりだが、結果的には、このロードスターを知ることができてとても良かったと思う。

何よりもMTにすっかり自信が付いた。もちろんボクスターでの約一か月の練習が下地になってはいるが、ロードスターの5MTにはすぐに慣れて、乗って二日目には、二十数年前の運転感覚をすっかり取り戻した気になれた。それほどに、この車のMTは扱いやすく、操作が楽しい。また右ハンドルの国産車ならではの、右手側のウィンカー・レバーと左手側のシフト・レバー操作もやりやすい。左側通行の日本では、やはりこのレイアウトが一番だ。

ロードスターのクラッチは、ボクスターに比べて踏みしろが浅くて扱いやすい。もちろん半クラッチも十分できる幅はあるものの、ON/OFF感覚でクラッチを切ったりつないだりできる易しさは、私のような人間にはありがたく感じられた。またクラッチの使いやすさには、クラッチを切った時のエンジン回転の下がりにくさのせいもある。エンジンとクラッチの間には重い円盤(フライホイール)が付いていて、慣性で回転のエネルギーを貯め込むので、それが重いほどギヤの回転合わせにゆとりが生じる。逆に、軽いフライホイールは、吹け上りが素早い代わりに回転落ちも早いので、回転合わせのタイミング取りがシビアになるし、エンストもしやすい。ボクスターがまさにそれだった。

それから、エンジンとギヤが使い込まれているせいか、ギヤのロー(一速)が使いやすい。ギクシャクせず、中高回転まで回してもうるさくないので、駐車場内などはローのまま気楽に走り回れる。そしてセコンド、サード、トップと、走行速度に応じたギヤに切り替えながら走ると、このわずか1,110kgの車重と170ps、19.3kgmのパワーの優れたバランスが、とてもよくわかる。程良い加速感の割には過度なスピードに達しにくいので、日本の道路や交通法規の中で比較的安全にスポーティな走りが楽しめると思った。

また、シフトレバーにエンジンとギヤの噛み合った感触がよく伝わってくるのも面白い。結構古びているせいか、ギヤ・チェンジを終えた後のレバーが、結構盛大に振動するばかりか、アクセルに応じて軽く前後に動くほどだ。それが、いかにもギヤを使って車を動かしているという実感を醸し出している。ちなみに、MRレイアウトのためにギヤとワイヤーでつながっているボクスターのシフトレバーには、こういうダイレクトな感触はないので、それはBMWと同じようにFRらしい長所と言える。

全体に、このロードスターという車は、小型軽量の車を運転することの楽しさが、とてもよくわかると思う。着座位置も低いが、ショルダー・ラインも低いので、身体が車の外や路面にとても近く感じられて、座ったままオートバイ(ソリと言ってもいいかもしれない)に乗っているような気分になる。もちろん小回りも得意で、グィッと右回りなんかしていると、タイヤと路面がこすれあう細かな振動や音が、すぐドア越しに感じられる。こういう感覚は、私が知っている他の車にはないものだ。とにかく、楽しい。それに、何だか気軽だ。ただの「良い車」ではなく「欲しい車」だと言える。

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ポルシェのボクスターやBMWのZ4(Z3)が、このマツダ・ロードスターの世界的な成功の影響から造られたのは有名な話だが、私はこれまでロードスターに興味を持ちつつも、なかなか試乗の機会を得られない間に、ボクスターのしかもGTSなどという高価な車を買ってしまった。こんなにロードスターが面白い車だったら、こっちを買った方が良かったかな、とちょっと思うくらいだが、それは深く考えないようにする。

けれども、ボクスターが手本とした車の末裔に乗れたことによって、逆に、ボクスターの楽しみ方と、それが他ならぬポルシェの車であることのオリジナリティに対して、改めて目が開かれた思いがする。とりわけ、繰り返しになるが、いくらか気遅れしていたMT車を操る楽しさの原点が、すっかり身体に取り戻せたことはとても大きな収穫だった。この素晴らしいロードスターに負けないように、自在にボクスターGTSを操れるようになりたい、と思った。
Posted at 2015/01/11 22:56:42 | コメント(36) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ

プロフィール

「[整備] #ケイマン 2024/7/12:12ヶ月法定点検:走行距離 9,593km https://minkara.carview.co.jp/userid/224462/car/2612759/7865831/note.aspx
何シテル?   07/14 02:42
Porsche Cayman GT4に乗っています。他にBMW320dツーリング(G21)が妻の車です。 ハンドルネームの「スパグラ」は、初めてのBMW車...
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