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2012年06月26日 イイね!

F10 523iのインプレッション ~ (4) 足回りについて

F10 523iのインプレッション ~ (4) 足回りについて 私がF10-523iを選んだ大きな理由の一つに、コスト・パフォーマンスの高さがある。このことについては、以前、E90-325iの価格と比較した記事を書いて「価格の逆転現象」と呼んだことがある。

実際に523iを購入して以来、日々味わっている5シリーズ固有の上質さへの満足感の中には、この「お買い得感」が強くある。車に乗るたびに「良い買い物をしたなぁ」という気持ちになれる。それは「523i」というグレード以外の車からは、決して得られないものだ。

F10-523iの足回りのインプレッションを、こんな「せせこましい」事から書き始めた理由は、それほどまでに、この車が、今まで乗ってきた1シリーズや3シリーズとは画期的に異なって、素晴らしいからだ。「そりゃ高い5シリーズなんだから当たり前だろ」という考えを、その「お買い得感」は封じ込めることができる。

さて、タイトル画像は、F10-523iのエンジン・ルームと、かつて私が乗っていたE91-320iのそれを、上下に並べたものだ。これらを見比べると、赤丸で囲んだ、フロント・タイヤを支える足の付け根(アッパー・マウント)の形状や位置、またそれを支えるバーの取り付け方が、それぞれ異なっているのがわかる。523iは赤丸が中央・前方寄りで、320iの方は外側・後方寄りにある。それにともなってか、支えのバーも、523iが前方向きなのに対して、320iは後方向きとなっている。これらの違いは、フロント・サスペンションの仕組みの違いによるものだ。320iはストラット式、523iはダブル・ウィッシュボーン式であり、それは現行F10から初めて5シリーズにも採用されたものだ。

右の画像は、5シリーズの「ダブルウィッシュ・ボーン式」フロント・サスペンションである。ホイールの支えとダンパー(コイル式バネと共に車輪の振動を抑えるもの)を直結する「ストラット式」に対して、この「ダブル・ウィッシュボーン式」の長所は、横方向からダンパーが押される力を受けにくいため、スムーズなコーナリングが可能となることや、荒れた路面での接地性が良くなることである。
短所は、高いコストと、エンジン・ルームを圧迫する大きさだ。タイトル画像のように、大きな設置スペースが必要となるため、相応に大柄なボディが条件となる。
なお、リアには従来通りのマルチリンク式サスペンションが用いられている。

             *       *       *       *       *

F10を運転してみて、たぶん誰でも最初に驚くのは、乗り心地の滑らかさだと思う。上品と言うか、風格があると言うか、とにかく素晴らしく高級な感じなのだ。妻はそれを「絹ごし豆腐みたい」だと言っている。もちろん「絹ごし」であっても、「豆腐」の味、つまりBMWらしい「ダイレクトな操縦感覚」が薄ければ、それは美味しい豆腐とは言えないだろう。

よく評論家が「厚い絨毯の上を走っているような」と喩えるが、ことBMWのような車にとっては、それは必ずしも良いことではない。私自身、厚いオブラートにくるまれたような、「ダイレクト感」とは逆の、どこか「遠くて間接的」な感じを覚えていた。けれども、F10に慣れ、色々な走行場面の体験が増えるにつれて、少しずつ、それが「洗練されたダイレクト感」だとわかってきた。奥行きが深かったのだ。

最後にF10-523iの「お買い得感」をもう一つ挙げたい。5・6・7シリーズは、従来からBMW最大のDingolfing(ディンゴルフィング)工場で作られているが、F10の5シリーズからは、7シリーズと設計構造や構成部品まで共有化されたことによって、同じライン上での生産が可能となった。その結果、各シリーズの生産効率、そして5シリーズの品質とその基準が高められたのである。
Posted at 2012/06/26 21:45:41 | コメント(19) | トラックバック(0) | F10/11 5シリーズ | クルマ
2012年06月06日 イイね!

BMWのエンジン~バルブトロニックとダブルVANOSについて

BMWのエンジン~バルブトロニックとダブルVANOSについて自慢にもならない話だが、私は2006年夏に納車された、自分の320iツーリングのステアリングを握った時が、初めてのBMW運転体験だった。契約時も含めて、それまで試乗したことさえなかったのだ。その時、全身で感じた色々な驚きや感動の中でも、その2リッター直列4気筒のエンジン・パワーの感じられ方は、今も鮮やかに蘇ってくる。
その前まで乗っていた車が、国産の3.5リッターV型6気筒のSUVで、245ps35kgmもあったのに、320iツーリングの150ps20.4kgmの方が、劣るどころか逆にスムーズで力強く感じられたのだから、その驚きと感動はなおさらだった。

※ タイトル画像はカーセンサー・ネット「自動車なんでも用語集」の「バルブトロニック」を元に加工。
赤丸で囲った部分にバルブトロニックの中枢が、青丸部分にはダブルVANOSの中枢がある。


「だからBMWのエンジンは凄い、何でかっていうと…って記事を書いているんだよ」と妻に話したら、
「そんなこと言ったら前の車が気の毒よ」と言われてしまった。確かに400kgも重いSUVの走りと比べるのは不適切かもしれない。けれども、アクセル・ペダルの踏み方にリニアに反応する、BMWのエンジン・フィールの不思議な魅力は、一体どこから生れているのだろう。

といっても、私はもともと車の仕組みに詳しくないので、BMWのカタログに「バルブトロニック」とか「ダブルVANOS」とか書いてあって、それがエンジンの部品の何とかだという説明を、今まで何度か目にしても、全然頭に入ってこなかった。せいぜい、「バルトロ・エンジン」という言葉のイメージはどちらかというと悪くて、だから「ガラガラ」補機がうるさい、非バルトロの昔が懐かしいらしい、程度の知識しかなかったのだ。

最近になって、その意味がようやくわかってきた。ごく短く書くと、「バルブトロニック」も「ダブルVANOS」も、バルブ(吸排気の弁)を自由に動かす仕組みで、前者は開ける量を、後者は開け閉めのタイミングを、アイドリングから高回転までの状況に応じて、連続的に調節するものだ。これらの技術によって、BMWのエンジンは、ハイ・パワーと低燃費を同時に得たのだった。

「バルブトロニック」は2001年の3シリーズE46から、「ダブルVANOS」は1996年のE36M3(「シングルVANOS」は1992年の5シリーズE34)から採用されている。前者は連続可変では世界初、後者はアルファ・ロメオがすでに1980年代から量産していた技術だ。

それから調べていて面白かったのは、「バルブトロニック」は、いわば「アクセルベタ踏み状態」のようなもの、ということだ。ふつうは、アクセルの踏み具合に応じてスロットル・バルブ(吸気側の元栓のような大きい弁)が開くことで、増えた吸気量に応じて、エンジン回転数も上がる。ところが、低中回転時は弁の開きが少ないので、細いストローでジュースを吸うような抵抗が生まれてしまい、エンジンで発生すべきパワーの3割も失われるという。これが「ポンピング・ロス」と呼ばれているものだ。

その代表例が、アクセル・ペダルから足を離すだけで発生する「エンジン・ブレーキ」だ。ご存じの通り、エンブレがかからないのは、アクセルベタ踏みの時だけなので、BMWはスロットル・バルブを取り払ってしまった。常識を覆したこのアイデアに、世界のエンジニアは驚愕したらしい(とは言っても、エンブレと非常時のためのスロットル・バルブは残してある)。

私たちの足は、ロスのない豊富な吸気が保証された、4気筒なら8つの吸気バルブ、6気筒なら12のバルブの開き加減を直接操作することで、リニアなエンジン・フィールを楽しんでいるのだ…なんてことを走りながら想像すると、ちょっと面白い。

VANOSのイメトレの方は、アイドリング時には「吸気バルブが遅めに開いて、じつに滑らかな回転だなぁ」。中回転域では「バルブの開きがずいぶん早くなった…さすがのトルクと低燃費、そしてクリーンな排ガスだ。EGR!EGR!」。高回転域では「逆にちょっと遅めに開くから、ハイ・パワーが出るんだよね!」…こんな想像をすると、さらに運転が楽しくなる(のか?)。
ちなみに「ダブル」VANOSなので、排気バルブのタイミングも変えられている。

こんな話をディーラーのサービス担当A氏と話して盛り上がっていたら、それを横で聞いていた、トップ・セールスで私の担当Y氏が、「そのバルトロもVANOSも僕が発明したんですよ!」と主張してやまないので、彼の名誉のために、これを補記しておく。

             *       *       *       *       *

YouTubeによる「バルブトロニック」の解説映像はこちら(英語、4分41秒)。
「ダブルVANOS」の解説映像はこちら(英語、5分54秒)。

BMWの「バルブトロニック」(ダブルVANOSを含む)は、日本のウィキペディアでは「可変バルブ機構」という項目中の「1カム・タイプ(レバー比・カム形状可変型)」すなわち「バルブリフト連続可変・位相可変型(タイミング可変・リフト可変)」として説明されている(なお、ここで「BMWの直列6気筒のガソリン直噴ツインターボエンジンでは、インジェクターが邪魔になり採用されなかった」とあるのはN54型エンジンのことで、現行のN55型では「バルブトロニック」が用いられている)

しかしこれらの説明は、英語版ウィキペディアの方が、さらに詳しく、新しい。
「バルブトロニック」はこちら、「ダブルVANOS」はこちら

根拠資料が不明ということらしく、内容が大幅に削除されてしまいました…。

Posted at 2012/06/06 00:43:47 | コメント(22) | トラックバック(1) | BMWというクルマ | クルマ

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「[整備] #ケイマン 2024/7/12:12ヶ月法定点検:走行距離 9,593km https://minkara.carview.co.jp/userid/224462/car/2612759/7865831/note.aspx
何シテル?   07/14 02:42
Porsche Cayman GT4に乗っています。他にBMW320dツーリング(G21)が妻の車です。 ハンドルネームの「スパグラ」は、初めてのBMW車...
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