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2015年10月09日 イイね!

MRのBoxster GTSから見たRRの911 Carrera S

MRのBoxster GTSから見たRRの911 Carrera SBoxster GTSのMRらしさとは何か、ということが気になっていた。9年前のBMW初体験以来ずっとFRに乗ってきたので、FRとの違いからそれを考えてきた。

たとえばフロントにエンジンがないからハンドリングがクイックで正確だとか、重いエンジンが車の中央部にあるから剛性感が高いとか、重量バランスが少しリヤ・ヘビー(46:54)だから後輪の働きが良いがタイヤが減りやすいとか。

そんな中で同時に気になっていたのが、他ならぬPorscheのRRだった。FRとは逆の方向、つまりRRとの違いからMRらしさがわかるのではないか、と。
今回、運良く911 Carrera Sをゆっくり試乗するチャンスがあったので、まずは比較は後回しにして、ほとんど初めてのRRの感想から書く。

             *       *       *       *       *

最初に驚いたのは、エンジン音が後ろの、しかも遠くから響いてきたことだった。たとえて言えば、それは真後ろを走る別のスポーツ・カーの爆音と響きのようだった。そして広い道に出てみれば、45kgmのトルクと400ps(なんて実は中々は出せないが)の強大なパワーが路面を蹴飛ばすような走り方と、同時に一瞬重さがフッと消えるステアリングの感覚にも驚いた。

後でろいろ考えてみても、この車の特徴は、結局はこの二つ――リヤから響き続けるエンジン音と路面を蹴飛ばすような走りに尽きると思った。

たとえば、ちょっとした坂を登る時にでも、そんなRRらしさはいっそう強く感じられる。これは車好きにはたまらない「萌え」要素で、峠のヒル・クライムなどでは相当な威力を発揮するだろう。

また、そんな豪快な加速であっと言う間にスピードに乗った後でも、リヤに集中したトラクションは、タイヤが一瞬鳴くほど路面を蹴ってさらに車を加速する。尻の先から響き続ける爆音の量や質の変化が、逆にドライバーへアクセル開度の変化を伝えてくれる。

多少の距離や時間を軽く吹き飛ばしてしまうような走りには、こんな壮快感もあったのか、と今さら驚いた。何時間並んでも繰り返し乗りたくなる遊園地のアトラクションのようなもので、走ること自体が目的になり得ると思った。



911 Carrera SからBoxster GTSに乗り換えてみると、ダイナミックなパワフル感はCarreraに劣るものの、コンパクト感や軽快感はBoxsterの方が勝っていると感じた。長さで10センチ短く、重さで90kg軽いせいもある(逆に言えば大差という程ではない)が、それはもっぱら、重たいエンジンが車の中心部にあるMRのメリットではないかと思う。

たとえば、少しスピードを保ったままクルッと路地を曲がった時には、Carreraはどこか(たぶんリヤ方向)に重さが残る感じがあるが、Boxsterはクイックで安定感がある。

乗り心地もBoxster GTSの方が良かった。911 Carrera SのPASM(アクティブ・サスペンション)は案外柔らかく意外な揺れ、特にピッチングを感じた。それでいて路面からの突き上げはBoxsterより強かったのだ。ちなみに幅はいくらか異なるものの、両車は同じ20インチを履いている。

周知の通り、Carreraのリヤはマルチリンク・サスペンションが使われていて、よくBoxster/Caymanとの差別化の象徴のように言われるが、大きくリヤ・ヘビー(38:62)のRRには必要かつ装着スペースがあるから採用されたのだと思った。それでもあの乗り心地なのだから。

それから不思議と911 Carrera Sの方がハンドルが重く、また、滑らかでねっとりした感じがあった。Boxster GTSの方が軽くクイックで精細度が高い。逆に言えば遊びが少なく、ややセンシティブでさえある。別の表現をするなら、Carreraの方が上質感があって、私は以前BMWの5シリーズに乗り換えた時の優雅な感触さえ思い出した。

ボディ前半部の機構的にはCarreraとBoxster/Caymanは似ているはずなので、この違いは味付けの差ではないかと思う。そしてその理由は、フロントのトラクションが抜けやすいRR特有の挙動への対策ではないだろうか。



この記事の最初に、911 Carrera Sの特徴は、リヤから響き続けるエンジン音と路面を蹴飛ばすような走りの二つに尽きると書いたが、私はこの車で市街地から郊外の一般道や高速道路をちょっと元気に走ったに過ぎないので、もしもサーキット場や峠を攻めるように走ったら、その特徴はさらに大きくまたは新たな相貌を伴って現れると思う。

たとえば、街中の路地程度の低速コーナリングでは、リヤ方向に残る重さのネガしか感じられない挙動が、サーキット場や広い峠道なら、リヤにトラクションが残りやすいRRならではの、積極的なアクセル操作を用いた中高速コーナリングに様変わりすると思う。スキーで言えば、ターンのたびに雪面を押し出して加速するカービング・スキーのようなものかもしれない。

ただし、そういう走りを実現するには、それなりの状況と判断力とテクニックを要する。特に、リヤの強力な駆動力を、時々接地感が薄まるフロントのステアリング操作で制御しながら、車を安定して走らせる緊張感には、独特の匂いが伴う。

こんなことをしていたら、次の瞬間に何が起こるかわからない(991のSくらいなら実際は大したことは起こらない…と思う)、という警戒心を抱え込んで走るのは、なかなかスリリングな体験だ。
911 Carrera Sの魅力は不安定さの中にあり、それこそがこんな「じゃじゃ馬」を乗りこなす醍醐味なのだろう。

             *       *       *       *       *

改めて、Boxster GTSのMRらしさとは何か。
それはやはり、FRとの違いとほぼ似ながらも、RRとの違いから少し詳しくなったようだ。

一瞬接地感が消えるようなRRほど極端ではなく、適度な重みを持って、ハンドリングがクイックで正確だ。そして、エンジンが車の中央にあるための剛性感や軽快感、安定感は、やはりMR固有の魅力だった。少しリヤ・ヘビーの重量バランスは、前後のサスペンションを効率的に生かした快適な乗り心地と挙動の安定感を保ちつつ、リヤのトラクションを効率的に生み出している。
そしてその奥の方には、…スリリングなRRの挙動が見え隠れしている。

Posted at 2015/10/09 22:21:16 | コメント(17) | トラックバック(0) | ポルシェ・カレラ | クルマ

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