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去年の11月27日は、ドイツからはるばるディーラーに送られてきた私のボクスターを初めて見た日だった。その一週間後の納車から、早くも一年になろうとしている。先日は、少し早めの一年点検を終えてきた。

慣らし運転を早く終らせたくて、最初の二週間は3,000kmも走ったものの、その後はペース上昇をぐっと抑え、現在は12,700km弱と、何とか一ヶ月千kmくらいのペースに落ちついてきた。定番の伊豆・箱根も、近場で行きやすい筑波山も一度ずつしか走っていない。それ以上の遠出もほとんどなかった。もちろん通勤にも使っていない。

それでもこんな距離になった理由の一つには、近所の公園に行ったり、その周囲を走っていたこともある。しかも我が家の場合は、車二台を連ねて行って帰ってくる。妻の車には犬を乗せている。公園に着くと、私だけ駐車場をパスして周回を始める。犬と彼女が公園内を一周し終える頃に、私も車を降りて一緒に休憩する。時間が取れる日は大抵これをやる。なんと無駄で地味な楽しみだ。

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オープン・カーなので、可能な限りは幌を下げて走る。日射しが嬉しい季節が最適なのだ。気温が低くても、シート・ヒーターと足元から吹き上げる温風で暑すぎるくらいだ。窓は立てたままだが、路面や周囲の雑音だけ弱まるので、エンジンと排気の音がちょうど良く入ってくる。

シート位置は、一番下から１ノッチだけ上げ、最前から少し後ろに下げ、背もたれは少し後ろに倒している。ハンドルは最も引いて下げる。結局はこの姿勢が私には一番しっくりするのだ。クラッチは少し遠めだが、扱い慣れるとそれほど苦でもない。心の中は安全確認で一杯でも、リラックスした運転スタイルがオープン・カーには向いている。

それから、MT車はそんなに速くないとわかった。効率的に素早く加速することもできるが、かなり忙しくて正確な動作が必要になる。けれどもハイ・ギヤードな割にトルクが太いボクスターGTSは、２速～４速のどれでも固定でそこそこ走れてしまう。頭の中は計算で一杯でも、やっぱりゆとりの運転操作が向いているのだ。

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この車に乗っていて、最近特に感じるのは、強めの加減速時にもコーナリング時にも、前後左右のどこにも振られないことだ。それでいて乗り心地はとても良い。だから走り全体の雰囲気が良い。これが「MR」というものの本質で、それを最もピュアに実現した車の一つが、ボクスターGTSなのだろうと思う。そういう車は外見通りに「カッコイイ」のだ。こんなことが、少しずつでも走って感じられれば、とても贅沢な楽しみだ。