ABS・TRC・VSC・・・etc.
事故を減らすべく様々なデバイス満載の車は,基本的に歓迎だ。誰だって事故を起こしたくは無いだろう。
でも・・・・なのである。
制御デバイス満載の車では,【限界域を察知する能力】と【限界域でのコントロール能力】が育たないのではないかと思うのである。
先日,
岩岳への車中でMと・・・
小生:「(車が)ケツを振ったらカウンター当てられる?」
M:「頭ではわかるけれども,とっさには無理です。」
Mは特別運転が下手ではないし,運動能力は人並み以上だ。
でも,カウンターが当てられないのも無理はない。
彼が車に乗り始めたころ,車には当たり前のように各種デバイスが装備されていたのである。タイヤが滑るって感覚は,モータースポーツでもないかぎり経験できないはず。
“カウンターステア”なんて,小生のような雪国に住んでる爺には(どこまでコントロールできるか別にして 笑)特別な技術ではない。
小生が車に乗り始めた時代,まだ車体を安定させるデバイスは存在しなかった。雪が降り,特に上りでアクセルを踏む必要に迫られりゃぁ,タイヤが滑ってケツを振るのはあたりまえだった。
タイヤだって当時のは性能が低いから大変である。
開ければ滑り出す,閉じれば失速して坂を登れない。こういう時は,アクセルペダルを細かく踏んだり放したりしたもんだ。ポンピングブレーキならぬポンピングアクセルだ。
最大限のトラクションを引き出すために,空転させたりグリップさせたりを繰り返すのである。
“セナ足”というのがあったが,あれの凄く精度の低い(笑)ことをやってたのである。
当時の職業ドライバーになると,そりゃぁ凄い方がいらっしゃった・・・・
80年代後半,白馬村から栂池スキー場への雪道をタクシーに乗ったことがある。ドライバーは(もう生きちゃぁいないだろうな 笑)けっこう年配の方。国道からの上り連続ヘアピンカーブ・・・
「お客さんどちらから?」
なんて営業トークをしながら,カウンターあてて登っていったのには驚いた。車の鼻先が進行方向じゃないイン側に向いてるのにコーナーをクリアしていく。あんな経験は,後にも先にも無い。
毎年冬になるとこんな環境で運転してきたんだから,そのうちに雪道でなら滑り出す限界がわかる(ドライ路面では出来ませぬ ((+_+)) あしからず)ようになっちゃうもんである。
だからこんなこともできるのだ。Mとの会話の続き…
糸魚川から白馬への登りで・・・・
小生:「滑るとすぐに制御かかるのよ・・・ほらね。(といって制御がかかるような運転をする)」
M:「うわっ,止めてください! わざわざそんなことするの!」
大丈夫だってば。
破綻するまでの無茶はしてないんだから。鐘炎の制御って早く入り過ぎなのである。
昨今,若い子の雪道ドライビングを見てると,心配になることがある。
「オイオイ,そんなスピードでコーナーに入ってって,クリアできるんかい?」
車が制御してるから大丈夫なんだろうが,もし制御しきれない速度域でコーナーに飛び込めば大きな事故になるのは間違いない。
制御が無いから低い速度で滑り出し,なんとかコントロールしようと悪戦苦闘の上,軽い接触。
制御されてるとは知らずに運転しててスピードがあがり,コントロール不能になったときは既に相当な速度で大事故。
どっちがいいのだろうか。
基本的に制御デバイスは賛成である。でも技術の進歩が人間の退化につながるのはいかがなものか?
よりより進歩を。ドライバーを育てる車が開発されることを。ドライビングの楽しさを味わえる車を。そういう発展を心より願うのである。
Posted at 2017/01/25 17:57:41 | |
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