先週の鈴鹿から1週間経って、AUTOSPORT増刊、F1速報と、速報誌が出揃いましたね。
昔は速報誌だけでも、カバンに入らない大きさのGPX、特徴の無いAS+F、そして当時としては
最先端のデジカメ画像を使ってグラビア写真は汚いけど発売日は1日早い、F1PRIXですか。
ちなみに、昔からF1速報派ですw
こんなに種類があったのに、いまとなってはレース雑誌を扱うのはイデアとソニーマガジン社のみ。
F1ブームの下火、そして出版不況と叫ばれてますけど、本、雑誌って有益だと思うんですけどね。
いまは、iphoneのアプリやPDFでの配信等、新しいスタイルでの情報の販売も模索してます。
これは、Yahooニュースと新聞社の関係にも言えますが、ネットの情報はタダという考え方、
非常に危険だし、間違っていますよね。有益な情報には対価を払うべきだと思います。
が、対価を払うべき価値の無い情報で強制的に視聴料を持っていく団体も困りものですがw
さて、いつも、わたしはF1ネタを書く時は、雑誌やネットで他の人の記事やブログを読む前に、
自分が感じた事を書きたいので、レース直後に書くようにしています。
ですから、速報誌も買って、いろいろレポート等を読んでしまった今回は、もう書かなくても
良いかって思ったんですが、今回は素晴らしいレースだったし、何よりも書きたいですw
そんなわけで、超長文になる予定なので、お暇のある方だけお付き合い下さい!
まず、鈴鹿の事を書く前に、今回のレースウィークに火曜日でしたか、F1ジャーナリストの
西山平夫さんが逝去されました。
わたしは雑誌マニアなので結構記事を読んでましたし、佐藤琢磨ファンなら1冊は手元に
置いておきたい『君が代が聴きたい・佐藤琢磨とホンダF1の戦いを追って』も好きな1冊です。
久々に本棚から取り出して読んでみましたが、独身時代のタバコを吸って一人暮らししてた
タバコ臭い部屋の臭いが染み付いた1冊ですw
これを読むと、04年当時のBARはホンダの顔が見えてたんだなって思うし、佐藤琢磨も
ホントに惜しいところまで手が届きかけていたんですよね。
07年、08年と、何故ホンダは、あんなに情けない事になってしまったのか・・・。
と、うだうだ書き始めると長いので、
以前のブログを紹介して気分を落ち着けますw
たぶん、いまでもLOTUSのチームシャツを着て茂木のINDYや、琢磨はレースには出ない
鈴鹿の日本GPへ駆けつけてしまうようなファンの方は、この04年のインパクトが忘れられない
ファンって事で良いっすよね?w
もし04年の活躍を知らない、そして覚えてない方が居ましたら、ぜひ購入を!!!
そうすれば、バトンとウェバーの事を好きではない、わたしの気持ちが理解できると思いますw
そして結果的に、琢磨はF1で君が代を流す事が出来ませんでしたが(これからの可能性も
無くはないですが・・・)、きっとバトンは可夢偉に託されたと見て良いでしょう。
そんな、いつかは聞きたい『君が代』の前に、まずは鈴鹿を振り返ってみましょう。
今回のレースで可夢偉は、なぜヘアピンで、あれだけのオーバーテイクが可能だったのか?
まず、雑誌の対談記事で、ハンガリーGPでシューマッハに幅寄せされたバリチェロの件に意見を
求められた時に『あの原因はハンドルが効く状態で並びかけたバリチェロにも責任がある』
って言ったんですよね。ステアリングが効く状態で並べば、誰だってブロックしてくるって事です。
で、『自分ならステアリングの効かなくなる、ブレーキ開始後に並びかけるから心配ない』って。
これは何を言っているかといえば、タイヤの摩擦円の話だと思います。
摩擦円とは何ぞや!!!という人は、
コチラをどうぞ。
もう少し優しく分かりやすいのは、
コチラです。
っていうか、下の方は三菱自動車のサイトなんですが、意外と分かりやすくて良いですね!
こういうのって、意外と分かり辛いんですよね。これはオススメです。
摩擦円とは、タイヤの性能をブレーキングに割り振ると旋回に使う事が出来ないという事です。
曲がるか、止まるか、どちらも中途半端になるか。
F1ドライバーは制動する時には、全力でブレーキングしているので、曲がる余力が無いんです。
メリハリのある運転だからこその弱点とでも言いましょうかw
これは、わたし達レベルでも重要な事なので、意識して置くと、きっと良い事があります!
話を戻して、こんなインタビューからも可夢偉は、いまのF1は抜けないっていう固定観念が
無いという事が伝わってきます。エアロの効く速度域で抜けないなら、低速コーナーで
ブレーキングを始めてラインを変えられない状態になってから、並びかければ良いじゃん的な。
結構、ライコネンの考えに近いですね。好きですよ、そんなスタイル。
次にマシンに目を向けてみましょう。
実はマシン的にも、今年はトラブルも多く直線も遅くてイマイチなマシンって印象ですが、
中低速に限って見ると、あのザウバーのマシンは昨年のBMW時代に、ハイドフェルドが鈴鹿の
セクター1でヴェッテルを超える最速タイムを出してるんです。
でも、最高速よりもダウンフォース側へ振ったセッティングでセクター3が遅くて、ラップタイムは
平凡だったんですけどね。
で、今年の決勝で、タイヤ交換したハミルトンに追いかけられた際、やっぱりメインストレートで
あっけなく抜かれましたよね。なので、Fダクトがあるとはいえ、やっぱり高速の西コースは捨てた
中低速のスタビリティが良いマシンに仕上げていたんだと思います。
たぶん、最初からヘアピン狙い。
F1って速度が何kmの時にダウンフォースが何kgって感じでエアロの設定をするんですが、
機能も限っていて作動範囲が狭くトップチームと比べると効きの悪いFダクトでカバーして
我慢できるギリギリまで、重いエアロを積んでたんだと思います。
で、最後は周りのドライバーは周回数を走ってタレたプライム(ハード側)に対して、可夢偉は
交換したてのフレッシュなオプション(ソフト側)なので、全車のラップタイムが見れる公式の
バーニーアプリを見ながら観戦してましたが、のこり10周で34秒台で走ってたのはRedBull、
アロンソ、バトン、可夢偉だけでした。あとは、36秒台だったので、もちろんヘアピンでは、
インタビューで語っていた、前の車がブレーキング開始してから、ブレーキを遅らせて並びかける
という事が、余裕だったんだと思います。
まあ、同じチームのハイドフェルドへのオーバーテイクは、明らかにタイム差見てニックが譲って
いるように見えましたけどね。
このストラテジーの難しさは、レース序盤に周囲がフレッシュなオプションを履いてるときに、
自分だけが プライムでスタートしなければならない事なんです。
周囲が勢いある時に自分もタイムを狙っていけば、長い周回数走るプライムにダメージあたえる
走りになってしまっては何の意味も無いですから。
ただ、単に長い周回数を稼いでも、最後にオプションへ交換しても目標車に届く位置ぐらいの
ポジションをキープできない状態では、このストラテジーの意味が無いですからね。
耐えた上で、安定してロングでタイムを出す必要があります。
そして今シーズン、他に同じストラテジーを成功させたのはバトンだけですよね。
まあ、昨シーズンの走りを見ても分かるようにバトンもタイヤマネージメント巧いですからね。
なので、そのタイヤマネージメント力は、いまのF1の中ではトップクラスだと思います。
ヴェッテル並みに、BSとのタイヤミーティングも長いらしいですからね。
浜島さんにタイヤの事で聞きに来るのは、ミハエル、ヴェッテル、可夢偉ぐらいだとか。
そんな事からも、今回の走りは偶然とかマグレって事ではなく、可夢偉とザウバーチームが
狙って作り上げたレースだと思います。
あんな、ちゃらい関西人ですけど、相当に賢い子なんでしょうね。
そのように考えると、鈴鹿の結果はザウバーならではの、いまある道具を使い切って、
出したベストな成績といえるでしょうね。戦略通りに走る、とてつもなく難しい事です。
それがマシンの戦闘力も、トップレベルには足元にも及ばないんですから尚更です。
そしてF1速報見て思い出しましたが、04年の琢磨には鈴鹿で4位でも、がっかりしたんですね。
母国GPで表彰台が見えただけに・・・。
その原因の1つは、BARというイギリスのチームに、日本人嫌いなイギリス人代表が居て、
イギリス人ドライバーのバトンが居た。
そのような状況で、チームの戦略面でバトンにプライオリティを握られていたと言う事です。
BARの琢磨にはプライオリティは無かった。けど来期のザウバーは可夢偉にプライオリティがある。
これは、大きい違いです。チーム力を考えても、いきなり来年聞けるとは思えません。
しかし来年はエアロのレギュレーションも大きく変わります。
そしてタイヤも14年間支えたブリジストンからピレリへと変更になります。
こんな大きくレギュレーションが変わる年は、ザウバーみたいなチームにもチャンスが。。。
今年、中盤から上向いたザウバーをテクニカル面で支える、TDのジェームス・キーがセンターで
可夢偉のドライビングにあわせたマシンが作られるんです。 これはヤバイと思いませんか?
ルノーへ移籍してセカンドドライバーになるぐらいなら、ザウバー残留でしょ!!!
過大な期待は、受けるショックも大きくなりますが・・・
西山さんの本のタイトルを借ります。
来年、F1の舞台で
君が代が聴きたい!!!