先週末訪問した煉瓦を巡る旅の顛末、その2です。
旧下野煉化製造会社煉瓦窯の後は、歩いて10分ほどの「新井家ふるさと記念館」に向かいます。途中には「浸水時避難地区」という看板がありました。後ほど伺いましたが、その付近は入り江のように川が入り込んで来ていて、そこから舟で煉瓦の材料になる粘土や川砂が運び込まれていたそうです。
道沿いの神社。ちょうど光線が良い具合でした。
もう一枚。
「新井家ふるさと記念館」は私設の施設。玄関にお邪魔するとご当主がいらして、以降、母屋→煉瓦+漆喰蔵外部→煉瓦蔵外部→煉瓦蔵内部と付きっきりでご説明を頂けました。
ここでは蚕の養殖を含め、栃木最大の製糸場があったそうです。また煉瓦製造会社の経営にも参加されていたそうで、前回ブログで書いた内容はほとんどがこちらで話を伺った内容です。
←下部が煉瓦、上部が漆喰塗りの蔵。完成した絹糸を収蔵していたそうです。
蔵の煉瓦のクローズアップ・・・積み方がバラバラですね。初期に建てられたこの蔵では、煉瓦職人さんの経験も浅く、積み方もこうなったとのこと。煉瓦の生産を始めた頃に起きた濃尾地震によって、煉瓦造の建物も被害を受けたことから、半ば風評被害的に売行きが低迷したそうです。その時余剰在庫となった煉瓦を使って建てたそうです。
2つめのこちらの蔵は、1階は繭の保存、2階では養蚕、地下は桑の葉の貯蔵に使っていた煉瓦蔵です。外装は積み方こそイギリス積みで統一されていますが、煉瓦は形も色もまちまちです。C級品を使って、職人さんのトレーニングも兼ねて作られたそうです。
煉瓦の内側。なかなかの迫力ですね。キレイに整っているより、風合いとしてはこちらの方が趣があるかも知れません。それでも関東大震災では屋根瓦は落ちたものの、蔵自体はしっかりと耐えたとのこと。ただし、出荷した生糸が横浜で被災し全て失われたとか・・・ご自身が親御さんから聞いたファミリーヒストリーを、直接伺うのはとても貴重な体験でした。
製糸の一番最初、お湯に繭を漬けて糸を引き出す工程で使われたシンクです。手前から古い順に並んでいます・・・一番手前は煉瓦と同じ粘土で焼かれた陶器のようにも見えますね。
関東には(たぶん他の地方にも)絹生産と煉瓦の関連が見られる所はありますが、ここほどその両者が接近している所は、ないのではないかと思います。たっぷりと2時間以上、様々なお話を伺うことが出来ました。これほど丁寧にご案内頂けるなんてなかなかないことです・・・ご当主はDIYがお好きのようで、様々な仕掛けでパネル展示やモニター展示などもあり、大変興味深く、楽しい時間を過ごさせていただきました。
Posted at 2017/11/12 20:03:20 | |
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