ちょっと暑さがマシになってきたと思ったら、今度は雨ばっか。
そんな全開全閉みたいな天気要らんねん。パーシャルでヨロ。(´Д`)
例によって、お盆休みの間は本に触れていないので3冊のみ。
代わりにDVDを纏めて見てました。
LS・ホーカー 『プリズン・ガール』 (2015)
原題『THE DROWNING GAME』
ペティは18年間、父親と二人きりで暮らし、軍人のように銃器の扱いと対人戦術を叩き込まれて育った。
その父が突然亡くなり、耳を疑うような遺言が告げられる。
父に代わり、気色の悪い遺言執行人がペティの生活を支配するというのだ。
このままでは囚人のように一生を過ごす羽目になる。
ペティは隠されていた父の遺品を奪い、町からの逃亡を図る。父が本当は何者なのか知るために。
王道のボーイミーツガール冒険物語。ただし、ガールの方が強い(笑)。
訳者後書きにもあるけども、最近(と言っても10年とかのスパン?) “強いヒロイン” 像が多いようで、時代ですかね。
実際そうだと思うしねー(何)。
3歳の時から父親による監禁同然の生活を送り、父以外の人間とほぼ接触を持ったことの無いペティが、父という枷が無くなり自由を夢見た矢先、父の友人という男による今まで以上に自由を奪われる未来を示される。
過去の事や身内の事を訊いても何も答えなかったこともあり、ペティの中に父への不信感が芽生える。
世間知らずでクルマの運転すらできないペティの、町からの脱出に付き合わされるのは、成り行きで巻き込まれる青年デッカー。悪態をつきながらも、危なっかしいペティの謎めいた魅力に惹かれる。
町の外まで送ってオサラバするつもりだったのに、自分も追われていると知って、二人は運命共同体に。
ペティの父の真意は?
執拗に追ってくる遺言執行人は何故そこまで固執するのか?
正直、シナリオはあまり意外性は無く、だいたい先が予想できてしまう。
逆に言えば、安心して読めるとも言えるか(笑)。
スワガーやグレイマンとまではいかなくても、女版のそーいう感じを期待してたけど、そこまではいかず。
まぁ、ハタチ前後のキャラでそれをやるのも無理か。
「で、あのキャラそのあとどうなってんの」みたいな伏線回収が中途半端で終わっている所もあり、ちょっとまとめ方が雑な感じはするが、スカッと安心な王道ストーリーで難しく考えなくて良いのはコレはコレでOK。
もうちょっと二人イチャついても良かったんじゃない?w
ケイト・クイン 『戦場のアリス』 (2017)
原題『THE ALICE NETWORK』
1947年、戦時中に行方不明になった従姉妹を探すシャーリーは、ロンドンの薄汚れた住宅を訪ねる。
現れたのは、潰れた指でルガーを振り回す酔いどれの中年女。その女イヴは元スパイだった。
一次大戦中、若きイヴは無垢な容姿と度胸を買われ、ドイツ占領下のフランス北部へ潜入する。
そこでは、凄腕のスパイ “アリス” が無数の情報源を統括していた。
二次大戦後の1947年(作中の “現在” )と、一次大戦中の1915年( “過去” )を、19歳のアメリカ娘シャーリーと50代のイギリス女性イヴという二人のヒロインによって交互に語られる構成。ふたつの物語はやがて交錯し、二人が復讐を果たすクライマックスへと向かう。
アリスことルイーズ・ド・ベティニ、副官のレオニー・ヴァン・ホウテ、ハンドラー(というかスカウト官)のセシル・エルマー・キャメロン大尉 等、実在の人物が登場し、多くの史実もほぼそのまま描かれる。
が、物語を語るヒロイン達や二人の共通の敵となるルネという商人等は架空の人物であり、
史実・事実の土台の上に展開されるフィクションの塩梅が抜群に良い。
(歴史モノに於いてのこういう手法は大好き)
そして…
みんカラ的にも萌えポイントがありまして。
作中の “現在” (1947年)で主人公達が移動の足にするのが…
ラゴンダ・LG6。
これだけでもロマンだ(笑)。
これのリアシートでカー○ックスしちゃうし(爆)
マイクル・コナリー 『チェイシング・リリー』 (2002)
原題『Chasing The Dime』
「リリーはいるか?」引っ越してきたばかりのピアスのもとに、間違い電話が次々にかかってきた。
ナノテク学者でベンチャー企業の代表も務めるピアスが興味を持って調べてみると、リリーはネット上に広告を出している評判のエスコート嬢だった。
彼女が失踪していることをしったピアスは行方を捜し始める。だが、物騒な男達の手荒な警告が襲った。
邦題と原題は似ているが、作中での意味はかなり変わってくる。
原題にあるダイムとは10セント硬貨の事で、作中では「いずれダイムのサイズに収まるであろうコンピュータを我々が作る」という、主人公の会社のスローガンのようなもの。
「今は俺がダイムを追っているが、いずれダイムが俺を追うようになる」と、要の特許を取得すれば潮目が変わる、という意味で呟かれる。
が、この邦題と表紙絵だと全然物語の印象が変わるw
出版社の戦略が色濃く見えて面白いっちゃ面白い。( ̄▽ ̄;)
全編、主人公ピアスの視点のみから語られ、時系列もストレートに進むのでサクサク読んでいけるが、
それ故に、散りばめられた細かい伏線を見落としやすい。
それ故に、個人的には黒幕が意外な人物だった。
色々読んできましたが、予測を外れた所から黒幕が出てきた作品は久しぶり。
まぁ、お手軽に読んでたからだとも思いますが。( ̄▽ ̄;)
集中して読んでたらまた違ったかもしれないけど。
でも意外な展開になる方が読んでて楽しい。
なので、個人的には印象に残る作品になったし、
「2回読まなきゃ」と思う。
中古80円で買った本としてはガッツリ元取れてコスパ良しw
主人公が致命的な罠に誘導されていく過程や、ピアスをリリー失踪の最有力容疑者と見て粘着質に追ってくる刑事など、
緊迫感を煽りながらもサクサク読めるという辺り、書き手の上手さを感じる。
『機動戦士ガンダムUC -ユニコーン-』
盆休みを利用して全巻一気レンタル。
原作小説を読破していますが、映像版で足し引きされた部分はどないなもんだ、と。
人間ドラマの部分が少し省かれた要素があるものの、
戦闘描写については大盤振る舞いの大サービス(笑)。
トータルして見れば概ね原作に忠実な良作。
しかし、最大のマイナス部分は
(前々から愚痴ってますが)マハディ・ガーベイというキャラを消してしまった事で、元々マハディのものだった “ジオン再興の執着” が娘のロニに移しかえられて、ロニがただの狂気キャラになってしまってるのがなんとも残念。
元々は父と自分の想いの間で葛藤しつつ、更にそこにバナージが関わり、親離れのキッカケを得て一皮剥ける、というようなエピソードだったのにねー…
リディに撃ち抜かれる結果は同じでも、小説版でのロニは最後に救われていた。
アンジェロの過去も省いちゃうんだ…と。( ̄▽ ̄;)
これだけ見てたらアンジェロがフロンタルに寄せる異常なまでのリスペクトの根拠がわからないままだよね。
逆に戦闘面に関しては登場モビルスーツの種類が大幅に増えて、古くからのファンには(;´Д`)ハァハァ間違いなし。
一年戦争~グリプス戦役(Z)~第一次ネオジオン戦争(ZZ)~第二次ネオジオン戦争(CCA)の登場MSがMSVまで含めて盛りだくさん。
特に4巻でのトリントン基地攻防は前半のハイライト。
最新機に混じって、ドワッジ、ガルス、イフリート、ザクⅠから、ジュアッグ、ゾゴックなんていう超マニアック機体まで。
対する連邦側はバイアランがエース機として活躍。
コレはあかんでww おっさん(;´Д`)ハァハァやでw
宇宙の戦闘では、ガザ、ガゾウム、ザクⅢ、ズサ、バウ、ドライセンとZZの機体が多く、
ドラッツェ、ゲルググ、ギラドーガ、ヤクトドーガと、とにかくジオン系の機体がオールスター状態。
連邦?知りませんねww (・ε・`)
でも最後のネオ・ジオングはねぇ…失敗だと思うなぁ。
“フロンタルが主導してサイコフィールドを形成する” 事の視覚的説得力(あの後光輪みたいなサイコフレームね)を求めた結果(と、ガンプラ市場を考えた大人の事情)だとは思うけど、あの一連の部分だけUCという作品の雰囲気から浮いてるやん。
あそこだけGガンダムになっとるがな。
あのフロンタルvsバナージのラストシーンは小説でも難解な部分でしたが、映像化するとやっぱり予想通り結局あの “2001年宇宙の旅” にしかならんよなw
小説版ではあの後のコロニーレーザーのくだりなんか有ったかな?と、ハッキリ覚えてないけどフロンタルとの精神バトルが最後だったように思う。
映像版ではフロンタルがやけにあっさり引き下がって「え?何がしたかったん?( ゚д゚)」になってしまっているのが残念。機体も勝手に腐るしw
「結局フル・フロンタルとは何者だったのか?」という事に関しては、
ワタクシ個人の理解では “体はクローン、そこに本人の意思が宿った” と見ています。
「器である」というのは本当で、「人々の総意を受ける」というのも本当で、でもそこに当初の予定に有ったのか無かったのか、シャア本人の意思も含まれた、と。
でも、ストーリーの構成上、フロンタルは主役にはなれないんですよね。
メインアクターはバナージ/ミネバ/リディ/マリーダ。
フロンタルは、脇役でありながら、しかし脇役で居ることを許されないキャラ。だから最後の “退場シーン” があんなチグハグな事になる。
最後になりましたが、
UCはファーストガンダム世代にも是非観て欲しいですね。
作中にチラホラ1stへのオマージュ台詞が出てきますし、バナージとジンネマンが救援を求めて二人で砂漠を歩むシーンは、アムロとランバラルのエピソードを彷彿とさせる。
ZZの荒筋を知っていないと面白さ減の嫌いはありますが、宇宙世紀の正統正史と言える作品です。