えー……
うちの赤ター坊…
また不動車になりましたww
クラッチペダルが戻ってこなくなり、
ギアが入らず自走不能。
クラッチマスターシリンダーだったら
サクッと直るやろーと思ってますが…
何かどうやらミッション下ろしてバラすとかいう話に…?((( ;゚Д゚)))
夏見 正隆 『スクランブル イーグルは泣いている』 (2000, 2008)
はい、珍しく国産品です。
元は『僕はイーグル』というタイトルのシリーズ。
それを加筆・改題したもの。
航空自衛隊のイーグル(F15戦闘機)パイロットのお話。
長編シリーズの1作目、…というか1冊目。
1冊1冊が独立したものではなく、一つのストーリーがずっと続いていく。
著者が最も描きたいであろうメインテーマは
射てない自衛隊 。
「自衛隊は軍隊ではなく平和憲法に基づいて専守防衛云々…」というのは今更ここで説明する必要は無いと思いますが、
それ故の現場と中央の水と油 相容れない思惑を、現場パイロット・管制・基地司令・防衛省官僚・防衛省参事官等、多くの視点から、大袈裟なくらい強烈に描いている。
憲法上、領空侵犯機に対して威嚇射撃は出来る事になっているが、これ一つ取ってみても、
実力行使をしたい現場に対し、「選挙前のこの大事な時期に、自衛隊が他国機を射ったなんてマスコミや野党に騒がれたら大問題だ」とか「銃弾が民家に落ちたらどうする」、「武力を使わず平和的に穏便に最大限の対処をしたまえ」等々…
結局、スクランブル機は “相手が明らかな敵対行動を見せない限り、何も手出しできない、痴漢されて泣き寝入りしている女子高生と同じ” という現実。
航空学校出(高卒)のパイロットは現場主義が多く、防大出のエリートは政治志向が強い、だの、
「自衛官の仕事は我慢すること、耐えること」だの、
損失した戦闘機の補充で一機あたり数億円の “キックバック” が防衛大臣の懐に入るだの。
フィクションということになっていますが、実際ほぼこうなんだろうなというのは想像に難くない。
この国の裏表を色々と考えさせられる。
「シビリアンコントロール」といえばカッコはいいが要は、現場の事情を全く理解せず、己の保身と所属政党の利益しか考えないド素人に上からあーだこーだ命令され逆らえない。
そら尖閣も竹島も盗られて当然やで。
月刀(がとう)、楽縁台(らくえんだい)、猿ヶ京(さるがきょう)、雑上掛(ぞうがみかけ)、魚水屋(うおみずや)、等々、
登場人物の名前が「そんなんあるかよ( ̄▽ ̄;)」っていう “濃い” 名字ばかりなのは、厨二病的なネタ成分もあるのかもしれないけど、
それでキャラの個性を強力に印象付けるテクニックであると同時に、たぶん
フィクション性を高める安全策なのだろう。扱うテーマがタブー性を含むだけに。
『スクランブル 要撃のフェアリィ』 (2001, 2008)
↑の第2巻。
1巻の「イーグル~」では、F15に憧れて飛行訓練生になり、いよいよ数日後に配属になるという
風谷修 を中心に話が進み、彼が主人公なのかと思いきや…
その風谷と出会って人生観が変わり、キャリアOLから転身してパイロットを目指す
漆沢美佐緒 が第2の主人公。
訓練課程を終えた漆沢は風谷を追って小松へ赴任。
その日、風谷は二機編隊長資格を取得した後初めての、編隊長としてのアラート待機。
その夜に、国籍不明機が領空に侵入、風谷はスクランブルする。
が、その国籍不明機スホーイ24はテロ組織〈亜細亜のあけぼの〉を名乗り、民間旅客機と風谷編隊2機を撃墜。
そこまでが1巻。
この2巻では風谷はずっと入院していてほぼ出番無しw
完全に漆沢が主役を張る展開。
まだハッキリと描かれてはいないが、漆沢の祖父は旧日本軍でエースパイロットだった事を匂わせる描写があり、
その遺伝的才能で漆沢は時折
ニュータイプ的な閃きを見せる。
事実上、本作の主人公は風谷ではなく漆沢か。
物語の方は、
1巻にも増して多くの組織の “ドロドロした内情” を強烈に描く。
警察、報道、エネルギー、ゼネコン。
いかにこの国が腐った利己主義の集合体かというのをこれでもかと描く。
しかし最もエグい利己主義を発揮するのは隣の大国。
作中での尖閣諸島を巡る茶番劇(海保船に発砲させるよう仕向けた挑発行為を映像記録し、海保からの一方的な砲撃に見せて編集して国際世論に発表する)は決して大袈裟ではなく、あの国ならやるよねという説得力を持つ。
その場面でもまた、海上保安庁と海上自衛隊の、指揮系統の違いや行使できる権限等のもどかしさ(或いは愚かしさ)、更にそこに絡んでくる “高等な政治判断” が分かりやすく学べます(笑)。
マジでクソw
そしていよいよ終盤では、漆沢がスホーイ24と遭遇。
手練れのテロ組織パイロットに対し、本人も無自覚の “祖父の血” の閃きでなんとか生き延びる漆沢。
以下、続刊!(笑)
※2/26付けで防衛相から(尖閣への中国公船の侵入・上陸に関して)自衛隊にも警察法の解釈を適用し、海上警備行動が発令されれば相手艦船への “危害射撃” を許可する旨の発言があり、ほんのちょびっとだけ進歩したかのように見えるが、その前提条件の “海上警備行動” を発令するのに相変わらずのんべんだらりの閣議決定が必要な時点で即応性は皆無で実質無意味の発言。
パトリック・ジュースキント 『香水 ある人殺しの物語』 (1985)
イーグルの続きも気になるんですが、
あんまり続けて同じ世界に浸かってるとしんどいので、
ガラッと景色を変えて、中世ヨーロッパへの旅(笑)。
18世紀のパリ。
異常とも言える図抜けて鋭い嗅覚を持つ少年グルヌイユ。
その鼻は世に溢れるあらゆる匂いを嗅ぎ分け、記憶する。
当然の事として、香水調合師として天才的な才能を発揮するが、富にも名誉にも興味が無く、元来人嫌いであるグルヌイユは山に籠って世捨て人となる。
自分の心の中の “匂い蔵” で香りの想い出に浸る日々を過ごしていた彼だが、
ある時、自分自身に匂い=体臭が無い事に気付きパニックになる。
自分の “体臭” を作る為、再び街へ降り、香水職人の店に潜り込むグルヌイユ。
自分用の “体臭香水” を作り、それ1つで周囲の人間の自分への態度が変わることに気付いた彼は、人嫌いは変わらずとも、“匂い” で人を手玉に取る手段を学んだ。
そして、人間そのものの匂いを抽出する方法が無いかと考えた。
まず、非常に読みやすいシンプルな作りの小説。
章ごとに丁寧に起承転結で纏められていて、ややこしい伏線といったモノも無い。
また、基本的に、 “抜きん出た能力を持つ主人公” による「俺TSUEeee!」な王道ストーリーなので、その点でも安心して読み進められる(笑)。
が、後半、体臭がテーマになった所から、これまた人類の永遠のテーマ “アイデンティティ” の探求、問い掛けになっていき、これもある意味安心して読み進められる。
作中でグルヌイユは遂に行き着いた “究極の香水” を纏い、街中の群衆を恍惚のトランス状態に陥らせ、その効果に満足する一方で、
所詮その力は借り物であり、自分自身には何も無いと改めて痛感するグルヌイユ。
…なんかねぇ、「スーパーカーに乗ってるから偉い」とか「アルファイヤーに乗ってるから強い」とか、結局同じダヨネー(笑)。
Posted at 2021/02/28 11:00:36 | |
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