クソ暑さも少しマシになってきた…かも?
ちょっとここ最近、プラモに手を出したり毎月ポンポン服を買ってたりしてますが、
そろそろちょっと財布の紐を引き締めてクルマのメンテ貯金せねばと思いました。( ̄▽ ̄;)
とりあえずクラッチ&MTマウントの部品は既に揃ってるんですけどね。
その後、リアデフOH、車高調OHと大型メニューが続く予定…
言ってる間にまたタイヤ亡くなるし、羽根とかディフューザーとか欲しいし…
いつになるやらw
マーク・グリーニー & H・リプリー・ローリングスⅣ
『レッドメタル作戦発動』 (2019)
原題『RED METAL』
マーク・グリーニー、今年はグレイマン出ないのかと思ったら、こんな仕事してたのね。
元・米海兵隊中佐との共著による新作(新シリーズ?)。
2020年12月、総統選挙を控えた台湾に中国が軍事圧力を掛け、統一反対派が総統になれば軍事侵略すると宣言。
米軍はそれに対応して空母打撃群を東シナ海へ派遣。
ところが、海軍情報部トップ(男性)と太平洋艦隊副指令(女性)の不倫スキャンダル動画がネット上に流される。米艦隊の動きを鈍らせようとする中国によるサイバー攻撃と見られたが、
元海兵隊で国防総省統合参謀本部のコナリー中佐は独自に調査し、中国ではなくロシアによる攻撃と知る。
統合参謀本部は一触即発の状態にある中台関係しか眼中になく、コナリーが上官に進言しても握り潰された。
ロシアは自国が開発しながらも西側に奪われたケニアのレアアース鉱山の奪回を目論んでいた。
台湾の緊張を囮に利用し、ロシアの大規模な侵攻作戦が動き出す。
冒頭の中台関係は現実味有りすぎなんですが、
今回は台湾はメインではなく、東ヨーロッパと東アフリカが舞台のお話。
独行工作員の潜入アクションであるグレイマンシリーズと打って変わって、
軍隊vs軍隊、特に機甲戦(戦車等の車両戦闘)が存分に描かれる。
他にも、潜水艦の戦闘、歩兵vs戦車のゲリラ戦、戦車同士の追撃戦、航空支援や迫撃砲、A10攻撃機 vs Su57ステルス戦闘機。
現代最先端の武装がこれでもかと登場。
実際に数々の戦場を目にしてきた元軍人ならではのリアルな描写。
(リアルすぎて、各登場人物や部隊の所属や肩書きがめっさ長ったらしいのはご愛敬w)
敢えて主人公と言えるメインキャラを立てず、
その場面場面で非常に多くのキャラクターの視点から語られるのも、(ほぼジェントリー一人の視点となる)グレイマンシリーズとの大きな違い。
ロシアの急襲に対応する為、急遽編成されたドイツ駐留米軍(NATO軍)とドイツ陸軍混成機甲部隊の臨時連隊長。
前日までカフェでコーヒーを淹れていたポーランド民兵の女性が、数日間の激戦で民兵を率いるリーダーになっていく様。
航空支援を行う戦闘ヘリのパイロット。
アデン湾に忍び込み、ロシア部隊の貨物船を攻撃する米原潜の艦長。
アルプスの気象観測所でロシアの仕掛けたレーダー装置を発見し、銃撃戦を展開するフランス軍の落下傘部隊。
ロシア側の主要人物もキャラが立っていて、
最先端の装備・戦術を好む若手大将と、昔ながらの装備で老獪な戦術を駆使する老大将。それぞれの部隊構成がハッキリ別れているのも面白い所。
また、前半のハイライトとなるヨーロッパ戦線では、なんと武装列車が登場。
今の時代に敢えて、という奇策が見事にハマる。
これぞミリタリー、これぞコンバットという軍事アクション。
グレイマンにはない戦略規模の話が面白い。
そして、台湾の話は続編で、という流れ。
ウィル・マッキントッシュ『落下世界』 (2016)
原題『FALLER』
男が目覚めた時、自分が何者か、今居るのはどこなのか、殆どの記憶が消え去っていた。いや、記憶を失っていたのは彼だけではなかった。その場に居た誰もが記憶を失っていた。
僅かな手掛かりは、ポケットに入っていた手書きの地図の様なメモ、女性の写真、落下傘兵の人形。
そして彼らが居たのは、虚空に浮かぶ島だった。
どこまでも続く青空のどこかに、きっと別の島がある。そう考えた男はパラシュートを自作して島から飛び降りた。
という設定だけで面白い。
アイデア勝負のSFに於いて、この “キャッチーさ” は重要。
読み進むとすぐに、もう一つのストーリーラインがあり、そっちは第三次世界大戦が目前に迫ったアメリカが舞台とわかる。
この二つのストーリーがどう重なってくるのか、先が気になる構成でサクサク読める。
世界を崩壊させるマッドサイエンティスト、人間をコピーする、ミニブラックホールで無限のエネルギー、「貴方を殺した罪で貴方を逮捕する」、などなど
“SFあるある” を大量に詰め込んだオモチャ箱感。
反面、科学的説得力は申し訳程度で、SFというよりファンタジー。
一応二回読んだ方が良いかな?( ̄▽ ̄;)
マイケル・フィーゲル『ブラックバード』 (2017)
『湾岸の黒い怪鳥』ではありませんw
クロウタドリの事で、
日本では馴染みが無い(沖縄周辺に飛来)ですが、渡り鳥の代名詞としても使われる。
国内テロを専門とする殺し屋の中年男。
卵アレルギーの彼が、マヨネーズを入れられた事でキレてバーガーショップで乱射する。
その場にたまたま居合わせ、友達の輪から1人外れて所在無さげにしていた8歳の少女に何かを感じた男は、彼女を守るように連れ帰る。
なぜこの少女を連れてきてしまったのか?男は自問する。
“裕福ではない家庭” の末っ子だった少女は、逃げようと思えば逃げられる機会を何度も得ながら、結局男に付いて行った。
こうして2人の奇妙な疑似家族生活が始まる。
男は父として師として、少女に “生きる術” を教える。
少女はやがて男の “仕事” を手伝い始める。
しかし、“組織” の勢力争いに少女が巻き込まれた事で2人のバランスは崩れ始める。
『オッサンの殺し屋と少女』というと、いくつも映画のタイトルが浮かびそうだが、
個人的にはこれを読んでいる途中で『ロリータ』を思い出した。
2人が全米中を(渡り鳥のように)逃避行するという土台に、思春期少女の成長物語。
最初はオッサンの側が保護者然としてイニシアチブを取るのだが、
少女が成長するにつれてその力関係が拮抗、しだいに逆転していく様。
少女はあくまで男と “家族” に、仕事の “相棒” になりたかった。
しかし男は、次第に “独り” に戻ろうとする。その方が強く在れる、と。
ギリシャ語には「愛」を表す言葉が4つあるという。
家族愛なのか師弟愛なのか男女愛なのか、
この2人の “愛” はいったいどんな言葉で表されるのだろう。
家族の絆の物語であり、切ないラブストーリーであり、そのどちらでもない。
テロリズムに関しては、(ちょっと陰謀論めいた所はあるが)
誰かが得をするために、或いは社会全体が健全化する為に、仕組まれたヤラセの茶番劇である、との見解。
それに世間の目が向いている間にコッソリと重大な何かを行う為のスケープゴート。
主人公の雇い主が誰なのかは明かされないが、“国家” 側であるようなことが仄めかされる。
必読図書とまでは言わないけど、良作である。