先日、かねてより注目していたCR-Zに試乗することができました!
行ったのは平日の午後5時ぐらい。
自宅から一番近いホンダのディーラーに行ったのですが、私たち以外に見に来ているお客さんはいないようでした。
こんなに空いてて大丈夫なのかと思ったのですが、ディーラーの方いわく、やはり土日はてんてこ舞いらしいです。
車業界が冷え切ってると言われている中、嬉しい悲鳴ですね。
置いてあったCR-Zは僕のオレンジ号と良く似た色で、それだけでちょっと親近感が沸いてしまいましたw
MTは置いていなかったので、CVTでの試乗となりました。
実車で見ての第一印象としては、「物凄くかっこいい!」。
CR-Zのもうひとつのキャッチコピーである「かっこ悪くなったら、やめるからね」に嘘偽り無かったです。
3ナンバー車なのにも関わらずコンパクトに見えるデザインは秀逸の一言につきます。
しかし、思っていたよりも車体全体が低いようなイメージは受けませんでした。
特にボンネットは1mm単位にまで気を使い、徹底した低姿勢を作り出したと言われているようですが、そのような感じは受けません。
でもローワイド感のワイド感は良く出ていたと思います。
ワイド感がありつつもコンパクトに見えるという相反するデザインの方向性が見事に融合したと言えるのではないでしょうか。
デザインに関して言えば200点満点です。
しかし、いざコックピットに座ってみるとその奇抜なデザインゆえの視野の悪さが気になります。
特にリアハッチから見える後方視線は最悪の一言です。
普段からGTウィング付のちょっと変わった車に乗っている僕ですが、それでも我がロードスターと比較にならない位に視野が悪かったです。
走行中にバックミラーから見える視野にはそこまで問題は無いのですが、車庫入れの時に面必要な視野角が明らかに不足していると思われます。
と思ったのですが、最近の車はほぼモニターによるリアビューをつけるらしいですね!
それだったら問題ないのかもしれません。
しかし、CR-Zを買われたお客さんから文句が出るNo.1はこの後方視線の悪さで決まりでしょう。
シートの着座位置に関しては、やはりバケットシートじゃないからかなり高いです。
しかし、スポーティーであることに間違いは無いので良い方なのではないでしょうか。
ホンダは「座ってすぐ伝わるスポーティーさ」をCR-Zの売りのひとつにしているようですが、その点に関して言えば着座位置よりもメーターパネルによる演出が大きいと思いました。
CR-Zのメーターと言えば真ん中に大きな穴が開いており、そこにでかいタコメーターと車速が・・・! そしてメーター全体に青色LEDが使われた近未来的デザインが売りですが、これがめちゃくちゃ良く出来てます!!
このメーターパネルは新しい車のデザインだといえるのではないでしょうか。
そしてここからが試乗になります。
ちょっと転がすだけで普通の車よりもサスが硬めになっている事やロールを抑えようとしていることがわかります。
これだけで大分スポーティーだと感じる人はいるのではないでしょうか。
アクセルベタ踏みでフル加速しても、そこまでのスピードは出ません。
絶対的なパワーに関しては僕らの想像している1.5リッター+αと言った程度でしょう。
逆に言えばちゃんと想像しているだけのパワー感は出ているということです。
車に乗ってて伝わってくる速度感に関しては、ちょっと足りない気もします。
速度感が無い理由は二つ考えられるのですが、1つは着座位置が高いから。 2つ目はエグゾーストノートが殆ど聞こえないから。
1点目に関しては車高を落としたりシートを変えることによって、よりスポーティーにモデファイできそうですが、2点目のエグゾーストノートが静か過ぎるという事に関してはもう少し複雑な価値観が絡んできそうです・・・。
周知の通り、CR-Zはエコ・スポーツという2点を売りにしている車です。
しかし、このエコというキーワードがくせもので、アイドリングストップやモーターアシストなど、機械的に作られた”静かさ”というものが車におけるエコの演出に関与しているように思われます。
特にプリウスなどに乗ってみるとわかるのですが、車速を落として電気で走っているその瞬間、「静か」だけど「走ってる」この感じがエコ、尚且つ近未来なのだと感じさせる演出なのだと思います。
車速感の欠如、スポーツカーに重要な排気音の欠如は、その近未来・エコ感が燃料を燃焼させて走る感じを存分に楽しむスポーツカーの概念から離れ過ぎているために起こっている問題なのだと思います。
つまり、単純に社外マフラー・エキマニなどを入れてエグゾーストノートを楽しめば車速感が上がるし良い事づくめにはならないということになりそうです。
なぜならばそのような行為が、エコカーとしての流儀に反することになるからです。
これがどのような事を表すかというと、”スポーツカーとして純粋であるべき”という方向性で走行性能を追求し、CR-Zをモデファイしていくという事を、スポーツカーであるCR-Zが否定しているということです。
この点に関してホンダのディーラーさんに伺ってみました。
CR-Z車は 「スポーツカーなのですか?」 と。
すると返ってきました。
「CR-Zはハイブリッドスポーツです」 と。
これは僕のような20世紀的な車の楽しみ方しか知らない若造にはまだ早すぎる言葉でした。
CR-Zは21世紀的な新しい価値を持った人の車なのだと・・・、仮に僕がCR-Zに乗れてもまだ本当の価値を見出せないのだと痛感させられた言葉でした。
何だかいつにもまして抽象的なインプレになってしまいましたが、CR-Zはスポーツカーでは無かったですが、21世紀の新しい価値観を持ったハイブリッドスポーツカーでした。
この車が誕生しただけで大きな意味がありそうです。