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奈良軍団関東全域統括部長・スタールビーのブログ一覧

2019年08月12日 イイね!

インフルエンサー(影響者)4

インフルエンサー(影響者)4『加藤隼戦闘隊長、敵機に対し勇猛果敢なる突撃!』『嗚呼、ベンガル湾上に相討ち!壮烈なる自爆!』


此の衝撃的なニュースは、瞬く間に前線の陸軍航空隊に伝わりました。特に加藤少将率いる飛行第64戦隊では、折からの南方特有の「テング熱」と加藤少将戦死の悲報から、次々とエースパイロットクラスの部下達が倒れて寝込んでしまい、一時戦闘継続すら危ぶまれたのでありました。


戦死の衝撃は後に下された加藤少将への通算7回目の感状(抜群の手柄を立てた者や部隊に対して、軍上層部から下される誉れ高き名誉ある賞状)の文章にも見て取れます。


「…部隊の赫赫(かくかく)たる功績に関しての既に再度感状を授与して顕彰する所ありしが、其の戦功は一に中佐の特に高邁(こうまい)なる人格と卓越(たくえつ)せる指揮統帥、および優秀なる操縦技能に負うものにして、其の存在は実に航空部隊の至宝たりしに、にわかに壮烈なる戦死の報に痛惜(つうせき)極まりなし……」

 のちに加藤中佐には二階級特進の栄誉があたえられて少将に任官(これまで述べてきた加藤少将というのは最終階級)。以後軍神として祀られることになったのであります。


勇猛果敢、しかし慎重。部下の信任も厚かった加藤少将。戦後、部下の檜氏と、黒江氏という二名のエースパイロットは著書の中で以下の様に記しております


―「それではすぐに行ってまいります」と私がたちあがりかけると、部隊長が私をよびとめた。
 「檜、きみの中隊も不運つづきで相当やられたが、もうひとふんばりだ。頑張ってくれよ」
 ふかい慈愛にみちた言葉でそういわれると、私はもう言葉につまり、なぜか目頭(めがしら)に熱いものがこみ上げてくるのをどうすることもできなかった。――
 ――「おい、みんな、これを見ておけ」
 ふりかえってみると、いつの間にみえたのか加藤部隊長が、ちかごろ肌身はなさず愛用している黒眼鏡をかけてピストの前に仁王だちになり、一枚の空中写真をみんなの前にさしだしている。
 その写真をまっさきにのぞきこんだ片岡中尉が、「部隊長、たくさんいますなあ」と、歓声をあげた。
 だが、部隊長の表情にはなんの変化もない。
 日ごろ雑談を繰り返すいつもの調子で、顔には、笑(え)みさえうかべている。
 「どうだ、今日はひとつやろうぜ」とこともなげに口をひらいた。
 この加藤隊長の、春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)たる表情に接し、またその軽い囗調のなかに秘められた、かたい決意の言葉をきくと、我々は、いつのまにか、よし、いっちょうやるか、という気持が勃然とおこってくるから不思議である。――
(檜輿平著『つばさの血戦』より)


――加藤部隊長がそのとき私をよんだ。だれもいない天幕のなかで、猛将加藤部隊長はこういった。
 一語一語くぎりながら、
 「黒江君、いいか、敵を撃墜するだけが戦闘機の任務ではないんだ。
 ときには、自分がやっつけられても、僚機がやられても、我々の最終目的がなんであるかを忘れてはならないよ。
 今日は、それが、我々の任務だった。
 だからぼくは、君らがうしろで空中戦を始めたのを知っていたが、知らぬ顔をしてローウィン(敵の根拠地の一つ)まで行ってきた。
 ね、いいかい、そこだ。
 これからつらいこと、悲しいこと、腹のたつこと、自分を情けなく思うこと……、いろいろあるだろう。
 だが、大きな目的のために我々は自分をみ失ってはいかん。
 ……いつでも、全航空部隊のために、我々が、どう役だたなければならないか、それだけをいつでも肚の底に忘れないようにしてくれたまえ。
 いいかい、けっして戦果を誇ったり、派手(はで)に動くことを考えるのじゃないよ……」
 慈父が子供をさとす文句であった。
 猛将の心のうちに、こんなふかい思慮があろうとは知らなかった。――
(黒江保彦著『ああ隼戦闘隊』より)


これらの行間に、加藤少将に対して絶対の信頼と尊敬をよせていた部下たちの、あふれる想いがうかがわれるのであります。


最前線で活躍された一方、加藤少将は、如何に自存自衛の為の大義ある戦とはいえ、大東亜戦争が日本を危機に陥れ、勝ち目のない戦いになるであろうことを見とおしてもおりました。


前述の海外視察。即ち昭和14(1939)年3月の陸軍大学校卒業後、寺内大将(後の南方軍総司令官)一行の外国航空事情視察団の一員として、ヨーロッパとアメリカをまわった際、其の時に見たアメリカの工業力に、とくに強い印象をうけたようで、帰国後、奥様へ「アメリカとだけはけっして戦争をしてはならない」と語ったのであります。


そして戦争への危機が深まり、「隼」戦闘機をうけとって内地をたとうとする昭和16年10月末、奥様へ「もしアメリカと戦争をするようになれば、絶対に生きてかえれないだろう」と決意のほどをうちあけてたのであります。


 敵の実力を知り、そして日本の実力と「隼」戦闘機の限界をも知っていた加藤少将は、それでもなお軍人としてもっとも勇敢にふるまい、指揮官として自己の任務を完全に果たそうとされたのでありました。


戦死された時、恐らく肉体的にも精神的にも限界に達していたのではないかと思われます。惜しむらくは、此の時、我が軍の南方作戦・第一段作戦は資源地帯を抑えたことで成功したものの、正に戦いは此からという時でありました。


続く

※添付画像は加藤少将、無言の帰国時の様子。


Posted at 2019/08/12 13:18:53 | コメント(0) | トラックバック(0)

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