前回、前々回のブログに於いて、乃木坂46の「選抜」「アンダー」というキーワードが御座いました。
当グループが新しいシングルを発売する度に毎回様々なドラマを魅せる「選抜制度」。
此についてデビューシングル当時の様相と、選抜常連の花形でもあった人気筆頭勇士・御三家の白石氏と橋本氏の例を交えつつ御説明致します。
2011年12月、愈々デビューシングル曲「ぐるぐるカーテン」(2012年2月22日発売)を歌うことのできる選抜16人と、此を前衛、中衛、後衛の3列に別けての陣形を取り、前列に近い者から「7福神(数字はその後発売された楽曲では増減される)」、先頭の真ん中を「センター」とし、其の他非選抜たる「アンダー」に分ける発表の時が来ました。
此を明治健軍の帝国陸海軍の礎たる徴兵令(昭和2年改定の兵役法)に照らし合わせるならば、1期生の33勇士達は「常備兵役」となり、選抜が「現役」アンダーが「現役帰休兵」又は「予備役」に別れたイメージとなります。
此の初回以降乃木坂46の11年の歴史においては、選抜発表を冠番組内にて行うというスタンスが基本となります。此の瞬間は勇士達各員が深く自省する時でもあり、帝国海軍(現・海上自衛隊)の「五省(ごせい)」に曰く、
一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(なか)りしか
真心に反する点はなかったか
一、言行(げんこう)に恥(は)づる勿(なか)りしか
言動に恥ずかしい点はなかったか
一、気力きりょくに缺(か)くる勿(なか)りしか
精神力は十分であったか
一、努力に憾(うら)み勿(なか)りしか
十分に努力したか
一、不精(ぶしょう)に亘(わた)る勿(なか)りしか
最後まで十分に取り組んだか
と云う内容を心に刻み付ける時でもありました。
つまりは選抜か?非選抜か?は、己自身の身から出た錆びにより生ずるものであり、同じ錆びでも鉄を守る黒錆びか?或いは朽ち果てる悪しき赤錆びか?と、思考を張り巡らせて重々反省し、又は涙し、番組を見る者をして「自分の応援している勇士は此度は如何に?」と、感動を分かち合うか?または落胆するか?共に落涙を禁じ得ない大切な瞬間なのであります。
さて、デビューシングル選抜発表時においてはまずは控室にて総員待機。それから各員眼前に置かれた携帯電話が鳴ることにより、選抜・現役の者に動員下令が発せられ、栄誉に預かった者から順繰りに「乃木坂ってどこ?」の収録スタジオへ勇躍、威風堂々と力強く歩武を踏みしめて入城し、番組司会たるバナナマンの日村・設楽両氏の眼前にて抱負を述べるというものでありました。
血と汗と涙のにじむ練磨と、ファンとの交流により一喜一憂してきた勇士達にすれば、選抜に選ばれるということは、云わば帝国陸海軍の徴兵検査時に於ける「甲種合格」と同様の武人の誉れと言うべきものであり、誰もが待ち望むものでありました。
まず、最初に呼ばれたるは乃木坂46美の象徴たる白石麻衣氏。それから程なくして一度は暫定選抜から洩れた橋本奈々未氏の名が上がり、続々と他の勇士達の陣立ても決まりました。
※白石氏の呼ばれた瞬間の一例。
共に肩を寄せ合い叩き合い、感涙に咽び泣く33勇士達。其処には選抜・非選抜たる垣根を越えて必勝の信念と、公式ライバルたるAKB48撃滅の誓いも新たに固くする姿がありました。
また、此を以て、以後乃木坂46の先陣を真っ先駆けて突進し、全ての選抜・福神として君臨することとなる橋本・白石両氏の龍虎相立つ美の奇跡・双璧と称せられた鋼の絆が築かれた歴史的瞬間でもありました。
※ぐるぐるカーテン発売当時の公式サイトより抜粋引用。上段が橋本氏、下段が白石氏。
短髪が特徴(卒業間際の時は長髪となる)の橋本氏と長髪が特徴の白石氏。見た目は正反対ながら、流れる熱き血潮は共通のものでありました。ファンも居ればアンチと呼ばれる敵対派も居るのが厳しき芸能の世界。ましてや天下のAKB48に弓引く新興勢力として始動した乃木坂46の、更には選抜・福神ともなれば、メディアの注目も大なるものにして、まともに矢面に立たされるのは必至でありました。
此後(こののち)幾多の剣林弾雨、屍山血河の厳しい戦場を駆け抜けた両氏は、血肉分けたる仲では無いものの、其以上の義兄弟、将に戦友と呼ぶに相応しい間柄となって行くのであります。
綺羅星の如き勇士達の揃う乃木坂46に於いて、2人の圧倒的存在感は正に敵の心胆を寒からしめるに十分でありました。
白石氏は乃木坂46活動の9年の歴史においては全て。橋本氏は5年半の活動期間に於いて1~16作品目迄全て。現在に至る迄全表題曲に於いて選抜・福神を勤めたる両氏の偉業と鉄壁の布陣は、未だ破れざるものにして、其の栄光も又未来永劫破られる事なき空前絶後の快挙として、光輝溢れる伝説のものとして先輩から後輩へ、或いはファンの間で、今でも語り継がれて居ります。
後々の作品にて幾度かセンターともなる白石氏は云わば「陽」の存在。一方橋本氏は、その気になれば中心となれる実力を兼ね備えながら、敢えて周りや後輩達を立てて自らは一歩引いた形で乃木坂を俯瞰する「陰」の軍師的存在。
此の絶妙な加減こそがバランスの取れた旋律として、ライブにて、或いはテレビ放送にて奏でられるのでありました。
※添付画像は2人の代表的ユニット曲「孤独兄弟」の上段はライブシーン、下段はミュージックビデオの一幕。クールにしてホットな両氏の関係性を表すかのようである。
以上が選抜、アンダーの大まかな概要であります。其内アンダー勇士達のみで構成するライブが前回ブログで伊藤かりん氏が卒業セレモニーを行われた「アンダーライブ」であります。
選抜・アンダー其々の持ち味こそが乃木坂46という組織の強みとなって居るのであります。
一方で包み隠さずに申し上げるならば、シングル発表の折りには選抜か?アンダーか?で多くの勇士達が血涙を流した理由として、メディア露出の多い選抜に人気が集中する「格差」が出るという事実がございます。
著者が参加させて頂いた2019年頃の勇士達との個別握手会を見ましても、当時の1~4期生であっても、混雑レーンとそうでないレーンというのは、厳然たるものとして存在しておりました。
勿論勇士個ヶ人の個性、魅力等に上下はありませんし、鉄壁の結束には何らのほころびもありませんが、ある意味では残酷である一面も存在しております。
此の点を帝国海軍空母部隊に例えるならば、
選抜組が大東亜戦争開戦前夜、各部署から慣例を破ってエースクラスの人材が集められ、真珠湾攻撃に向けた猛訓練の結果、水深の浅い真珠湾でも使える低沈度魚雷の開発と実用化、精度の高い水平爆撃法の開発といった成果を挙げ、
奇襲とはいえども、命中率は雷撃90%、水平爆撃27%、急降下爆撃59%という世界に冠たる大戦果を上げたチート部隊である「一航戦(主に空母・赤城、加賀)」。
※赤城
※加賀
アンダー組が、一航戦よりも後塵を拝し、真珠湾攻撃時には比較的容易な地上攻撃を担当したものの、空母・瑞鶴艦載機は58機全機が帰還。また1942(昭和17)年4月9日のセイロン沖海戦で、英空母「ハーミーズ」に対する命中率は、瑞鶴艦爆隊の投弾14発中命中13発(93%)、翔鶴艦爆隊が18発中13発(72%)といった大戦果で、決して練度では一航戦に引けを取るものではなかった「五航戦(主に空母・瑞鶴、翔鶴)」。
※瑞鶴
※翔鶴
此の辺りに相通じるものがございます。
※艦コレに見る、大本営が一航戦よりも格下と見た五航戦に対する構図。ただし、史実に於ける各艦の現場での航空兵達には軋轢はなかったとされる。
選抜には選抜の苦悩がありましたが、アンダーは「我々の存在意義とは?」「仕事が無いのはいかん!」と、更に切実なる思いがあり、それこそアンダーの先人達は血反吐を吐く猛訓練の末に結果を残し、「アンダーライブ」という表舞台を作り上げたのであります。
2019年夏、3期生の佐藤楓氏より送信されたモバイルメール。当時の氏は24枚目シングルにてアンダーメンバーとなりましたが、その心境を語る内容が初期の勇士達を見る様であり、万感迫るものであったので全文引用致します。
※雑誌の表紙を飾る佐藤氏(右側)と1期生の秋元真夏氏
※落ち着いた装いを魅せる佐藤氏(左側)
※とある個別握手会にて自らのファンを第一に考え、創意工夫を凝らし、第1~5部迄を全て違う衣装にて望んだ佐藤氏。華麗なる装いは組織内でも上位であると言えましょう。
(以下引用文)
昨夜の選抜発表でもありましたが、
24枚目シングルはアンダーメンバーとして活動します!
まずはいつも応援してくれてありがとうございます
この先はとっても長いのでお時間あるときにでも読んでいただけたら嬉しいな、
今引きずっても事実は何も変わらない、もちろん落ち込んだし自分はこの先どうなっていくんだろうと考えれば考えるほど深いところまで行ってしまってなかなか戻って来られなかったし、
でもこんなことをずっと考えてずっと暗くなるまんまだったら一つ一つ目の前のことに全力をかけて今できることをしていきたいです
突然になってしまうけど...
選抜メンバーとしてたくさんの歌番組などのテレビやライブなどで歌って踊っている姿が好きでしたか?
アンダーメンバーとして大きな大きな目標に向かって頑張ったり(あまり自分で頑張ってますと言いたくないですが言葉が見当たらないので..)アンダーライブで歌って踊っている姿が好きでしたか?
どちらか片方というよりはどちらの姿も好きでいてくれてたらもうそれだけで十分です
それともどんな私が好きですか??
もちろん、選抜メンバーとして多くのテレビ番組に出させていただいていた中で私のことを見つけてくださって好きになってくださった方もいらっしゃるかもしれないです
それはとてもとても嬉しいです
ありがとうございます
応援してくださるタイミングは人それぞれだけど魅力的なメンバーがたくさんいる中で私を見つけてくれて本当にありがとうございます
なので24枚目も前を向いて変わらずたくさん笑顔で活動していきたいです
私が笑っていなきゃファンの方も幸せにできない、
「自分の幸せを少しずつ分け合えば笑顔は広がる」
Sing Out!の大好きな部分!
まさにこれだと最近改めて思います。
今までの期間を改めて見直して、これからの自分を見つめ直す。
「応援しがいのある人になる」
これは永遠の目標です
果たしてこんな長い文章を最後まで読んでくれた方がいらっしゃるだろうか..
なかなか色々な思いがドバーーっと溢れるものですね、
最後まで読んでくださってありがとうございます
また一緒に目標、夢に向かって歩いていけたら嬉しいな
素敵なファンの方に囲まれてとっても幸せです
本当にいつも応援ありがとう
3期生は最初の頃から環境がとても恵まれていました
私なんかがこんなこと言うのはおこがましいですがアンダーメンバーとしてコツコツ頑張って、努力が必ず報われるとは限らないけど今まで以上に努力して、いつになるかなんて誰にも私にもわからないですがまたいつか素敵な景色が見られるように頑張ります!
力を貸してくれたら嬉しいです、、
支えてくれたら嬉しいです、
わがまま言ってすみません
これからは皆さんに姿をお見せできる機会も少なくってしまいます
もっと私よりも応援していて楽しいと思える人がいるかもしれません
けれどどんなポジションでもどこにいても好きになってもらえるように頑張ります
この22枚目23枚目期間、たくさんの新しい素敵すぎる景色を見てきました
視野がものすごく広がったし、ああこの世界はとっても広いんだなと思えました
一言で言うととってもとっても楽しかったです!!
自分にとってとっても大きなものとなった期間でした
22枚目に初めて選抜に選んでいただいて初めて色々な歌番組に出させていただいた時の動画を今でもたまに見返します
22枚目初めての歌番組はMUSIC FAIRさん、
23枚目初めての歌番組はバズリズムさん
人の顔を覚えるとか乃木坂での活動に関しての記憶力はとても良いんです、自分で言うのもあれですが、、笑
それだけ一つ一つのことが色褪せることなく濃く記憶に残っています
もし乃木坂46に入ってなかったらこんなこともなかったのかも?
話は戻りますが、
動画はリハも本番も関係なく見返します
ど緊張したなとか楽しかった、失敗しちゃったななどの思い出もあるけど大好きな先輩方が卒業されてしまった思い出、たった3分、5分の動画、いやその中でも最初の数秒だけでたくさんの思い出が蘇ってくるんです
思い出って素敵だけど儚いものですね
でもこの2シングル分全部で見てみるとマイナスな変なことを考えるよりも笑っていた時間の方が圧倒的に多かった!多分!
#kaedemail(引用終わり)
普段あまり自分の胸中を述べる事が少なかった氏が、此処まで本音を語るのは初かもしれません。色々と複雑な思いもあったことでしょう。
此の後、修練を重ねた氏は2022年3月のアンダーライブでは座長というトップと、アンダー楽曲のセンターにも就任。8月発売の最新シングルに於いては、各戦歴での従軍と論功行賞に依り見事選抜組復帰の夢を叶えたのでありました。
卒業勇士達の残していった偉大なる伝統を受け継ぎ、次世代を担う一員としての氏の活躍。今後も願う次第であります。
※和洋問わずによく着こなす佐藤氏。
続く