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2010年02月25日

読書:1002 最近のお読み物/1Q84読了 〜我らが影の声〜 の事

Canon PowerShot G10 最近読んだものの備忘録など。

 しかしあれです。Twitterを始めると、とんと本を読まなくなりますね。手持ち無沙汰の暇つぶしの時間が、断然そっちに取られてしまいます。これは全く全然良くない。
 今後はTLを漫然と眺めるのは禁止。徒然俳句と常食風景はメールで投げて済ませようと思います。

携帯電話用データ(ハピレス無料名作)
・芥川龍之介「プロレタリア文学」
・芥川龍之介「羅生門」
・芥川龍之介「或る恋愛小説」
・芥川龍之介「恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ」
・芥川龍之介「六の宮の姫君」
・芥川龍之介「老年」
・芥川龍之介「路上」
・芥川龍之介「るしへる」
・芥川龍之介「竜」
・芥川龍之介「道祖問答」
・芥川龍之介「西郷隆盛」
・芥川龍之介「寒さ」

書籍
・村上春樹「1Q84 BOOK 1〈4月−6月〉」新潮社
・村上春樹「1Q84 BOOK 2〈7月−9月〉」新潮社

文庫
・H・P・ラヴクラフト(大西尹明訳)「ラヴクラフト全集2」創元推理文庫
・江戸川乱歩「孤島の鬼」春陽堂書店

雑誌
・スピリッツ、イブニング、モーニング、ヤングジャンプ、ヤングマガジン 他
・Number、CG WORLD
・ベストカー、NAVI、ENGINE、CAR MAGAZINE


 NAVIはついに今月売りの4月号で終了ですね…
 前回書いたのですが、私のカーライフ、いやライフスタイルにかなり影響を頂いた雑誌だったのでした…ホントに惜しい事です。最終号ももちろん購入致します。
 読書:0912 最近のお読み物/NAVI休刊に寄せて の事


 そして村上春樹著の「1Q84」です。
 過去の名作はもちろん、「海辺のカフカ」も相当面白かったので、今作も注目しておりました。
 上述にありますように、Twitter依存から脱却する目的もあり、先週末に二巻同時にゲット。結局ほとんど一晩で二冊読破してしまいました。さすがは村上春樹さん、力のあるぐいぐい読ませる文章です。実に面白い。
 皆さんもご存知の通りで、BOOK1・2では完結しておりません。4-6月、7-9月とサブタイトルにありますように、後半年残っております。BOOK3、BOOK4と早晩刊行されるでしょう。ものすごっく楽しみです。

 内容の方は…これからお読みの方は読感の鮮度を保つ為にも、一応お飛ばしください。
 例によって捨てカットを挟んでおきます。


CANON PowerShot G10
<今日の気温なら断然潜れるよね@0909南伊豆ヒリゾ浜>

 「1Q84」。このタイトルはSFの古典、ジョージ・オーウェルの「1984年」に依っています。1949年に書かれた「1984」が近未来を描いたのに対し、今作は近過去、「あったはずの世界」を描くものとなっています。
 1984での「ビッグブラザー」。つまり全体主義的支配の恐怖は、1Q84では「リトル・ピープル」に置き換えられています。作中ではまだ明示されていないのですが、遺伝子の意志・民衆の総意・衆愚政治等、社会を動かす漠然とした流れ(時に邪悪、時に必然)を象徴しているのかもしれません。

 主人公は二人、小説家の卵の男性「天吾」と特殊な暗殺者の女性「青豆」。ストーリーは二人の視点を交互に描くことで進んで行きます。彼等の関連性は、10歳の時に一瞬のふれあいがあっただけ…しかしその魂の繋がりは、30歳になる現在でも濃厚な記憶と共に残っている、と言う。
 20年間分たれていた二人の人生は、「さきがけ」という新興宗教団体を巡る事象によって、再び結びついて行きます。中でも、「ふかえり」という少女作家と彼女が著わした、「空気さなぎ」という小説。天吾はそれをリライトし、青豆はふかえりの親にあたる人物と深く関わり、いつしか双方の運命は重なり…
 ヤナーチェックのシンフォニエッタ、1984≒1Q84、リトル・ピープル、二つの月、空気さなぎ…プロットはある種の超展開へ。

 上述の通り、今作は「さきがけ」という新興宗教団体を主旋律として書かれています。
 読まれた方はすぐにお分かりのように、明らかにあの「オウム真理教」を想定した存在。そのモチーフに「幸福会ヤマギシ会」、「連合赤軍」をジョイントしたような、時に違法活動も辞さぬ破壊的カルトとして描かれています。筆者は「アフターダーク」でΩを題材としていますので、その蓄積が生かされているのでしょう。

 さらに今作ではもう一つ、「証人会」というカルト宗教が登場します。主人公の一人、青豆の両親が加入し、幼い彼女が信仰を強要された宗教団体です。
 そして「さきがけ」と同じく、「証人会」も明確なモデルを持っています。と申しますか、あくまで戯画化された「さきがけ」に対し、「証人会」はそのモデルの宗教団体「エホバの証人」ほぼを忠実になぞっています。劇中の名称からしてあからさま。識者からしますと、ほぼ名指しで糾弾しているに等しい内容です。団体のありかた、その被害の状況、脱退者のトラウマに至るまで、何故筆者がここまで詳しいのか、逆にその真意が気になる所ではないでしょうか。

 そしてこの両者が生み出すものは…「肉体の死」と「精神の死」。この二つの悲劇です。
 肉体はいつかかならず滅びます。それは恐ろしい出来事ですが、所詮不可避の事象。死ねばそれでジエンド、と極論する事も出来るでしょう。
 一方「精神の死」。今作では児童虐待、特にカルト宗教による歪んだ世界観に基づく偏った教育・機能不全な家族形態等によってそれはもたらされます。本来は愛され、保護されるべき幼児期に、肉体的精神的に虐待を受ける、それも親から。…精神は容易に破壊されるでしょう。それは表面から伺う事は難しく、それだけに根は深い。そして肉体の死とは違い、精神的な死者は現世で生きて行かなければならない。

 そうした、精神的な傷を負った人間に救いはあるのか。
 それは仕事なのか、新しい家族を作ることなのか、後世に名を残すことなのか。それとも純粋な愛なのか。つまるところ、今作はその模索の旅。「魂の救済」がメインテーマなのだと思います。
 その結論はまだ出ていませんが、ある種の予感は漠然と示唆されています。おそらく、BOOK3、4によって明らかにされるのではなかろうかと。

 これ以上はネタバレになってしまいますので伏せます。
 あらすじ他は以下のリンク、そして機会がありましたら本書を是非お読みください。

 1Q84 − Wikipedia
 【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上)
 【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(中)
 村上春樹【1Q84を読んで】中澤啓介

 性交至上主義的な表現に若干食傷感を覚えはするのですが、それも村上作品の常。
 むしろ今作が持つ、現代の魔術としての側面(言霊・呪文=小説 空気さなぎ、施術者(パシヴァ)・媒介者(レシヴァ)=ふかえりと天吾・ふかえりと父、実践的儀式=青豆の仕事、ふかえりのお祓い)を思えば、むしろ必然と言えるでしょうか。
 
 とにかく、面白い作品である事に間違いはありません。
 特にある種のバックグラウンドを持つ方には、主人公への感情移入はかなりスムースなはずです。むしろ、これは僕らのお話し、「我らの影の声」とも言えましょうか。
 一般の方にはちと理解しづらい面があるのは、もしかしたらそんなところにもあるかなと。そのあたりの一般化も続編に期待したい所でもあります。


 D
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Posted at 2010/02/25 22:49:28

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