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2010年07月14日

映画:1007「アウトレイジ」観覧/コノヤロウバカヤロウ の事

au TOSHIBA biblio 100704、ラゾーナ川崎の109シネマへ。
 楽しみにしていた「アウトレイジ」を観覧してきました。
 6.12公開・北野武監督最新作「アウトレイジ」

 今作は題名通りの「極悪非道」。暴力団組織の内部抗争がテーマ。もちろんバイオレンスたっぷりのR15指定。怖いです痛いです。
 その表現は、また外連味がたっぷり。速射砲のようにたたきつけられる、激しい怒号。その間はまさにしゃべくり漫才。数分毎に繰り広げられる残虐シーンの数々。戦争映画以上に人死にが出ます。

 でもそれが痛快でもありました。確かに思わず目を覆う残虐シーンも多々あるのですが、個人的にはギリギリ許容範囲。と申しますか、痛いのに、なぜか滑稽。このバランスは流石。「馬鹿野郎」「この野郎」普段は口にも耳にもしない怒号の掛け合いは、文句なしに面白い。
 ストーリーもテンポ抜群で、あっと言う間の2時間。お子様には教育的にちとどうかと思われますが、大人の方でしたら問題なくオススメできます。

 あ、思い出した。当方、「GONIN」(95年公開、ビートさん、佐藤浩一、竹中直人、元木さん出演)が大好きなのですが、今作はあれにちょっと雰囲気が似ています。
 あちらがお好きな方にはもう絶対。<いるのか?


au TOSHIBA biblio さて、元来、ヤクザ映画というものは、暴力表現はあるものの、実は任侠の義理、仲間との連帯、渡世の人情、などに主題がおかれていたものでした。現在のそちらの世界でも、そういう部分はいくらかはあるのかもしれません。ああいう世界に憧れを抱く方もいらっしゃるでしょう。
 しかし、今作ではそういう甘い感傷は完全排除。もともと非合法の暴力組織。己の欲のためには、組織内の親子関係も兄弟分との盃も、シノギのご法度も、ぜんぶなんもかんもぶっ飛ばすと。義理も人情もへったくれもあったものじゃあありません。ポスターのあおり通り、登場人物はまさに「全員悪人」。正直だれにも感情移入できません。古き良きファンタジーは死んだのです(笑。

 ただ、そうは言っても、ただの暴力万歳映画に堕していないのが、北野作品の所以。劇中ではたしかに怒号が飛び交い、拳が飛び交い、銃弾が飛び交い、札束が飛び交い、小指が飛び交い、死体も飛び交うわけです。終いにゃ手榴弾やマシンガンまでも。しかしそれがどこか滑稽。登場人物が真面目であればあるほど、なぜだか笑えてしまう、という。
 これは、スプラッタシーンでもそう。「ゴリゴリ、ウウウ…ブツリ、ボタボタ」とか「ウィーン、ガガガガガ…ゴボゴボゴボ」とか「てめぇ舌何枚だ?ゴッ、ブツッ」とか「ブーーーー、バン!ゴキン、ダラーン」。そんな擬音でしか書きたくないような、痛くて辛いシーンも、なぜだか不思議と滑稽だったり、むしろ美しかったり。この瞬間の切り出し方の妙は、やはり北野監督の真骨頂なのでしょう。

 もちろん、その他、例えば映像美という意味でも健在。冒頭のモブシーン。石庭に居並ぶ黒塗りの車、直立不動の構成員、主要人物の不気味なアップなど…無音のままに映し出されるそのカットは実に見事。いきなり視線がわしづかみに。
 個人的には、水野がああなる、早暁海辺の工場地帯のシーン。やはり静謐でそして青みがかったカットは、ああ、これが「キタノブルー」かと。本来は酷いシーンなんですけど、これも文句なしに美しい。
 大友が最後にああなった、野球場のシーンの引きカットもグッド。ダーティーハリーやセブンじゃないですけど、ラストのロングショットは大好物なのでして…


 ま、正直、あちらの世界をおちょくっている視点はあります。意図してのことでしょうが、登場人物はくだらないメンツや浅はかな計算、はした金のために命を簡単に失っていきます。その表現が真剣であればあるほど、スクリーンのこちら側から見ると、もう、なんだかなぁ(笑。という。
 前回見た井筒監督の「ヒーローショー」もそうだったのですが、もう暴力行為に爽快感や共感を覚える時代ではない、少なくとも市井の市民にとっては、と言うことでしょうかね。「アバター」なんかが受けるのは、もうアメリカだけとか。
 これはある意味、素晴らしい文明の爛熟具合だと思います。これこそ民主政治の一つの精華でありましょう。<?

 既存のキタノ組をガラッと入れ替え、名優日本代表のような贅沢な俳優陣を迎えたのも、この好印象の一端かと。本家の北村聡一郎、三浦友和。直系組織の國村隼、杉本哲太。末端組織のビートたけし、椎名桔平、加瀬亮。汚職警官に小日向文世。國村の兄弟分に石橋蓮司。列挙するだけでわくわくしてきますね。流石の演技力でした。
 中でも、最高に酷い目に遭うのに、なんだか面白くて仕方がない石橋。そして親分なのに情けなくて、なんだかちょっと憎めない國村。不気味に切れるインテリヤクザ役の加瀬。彼らは特に素晴らしかった。
 忘れてならぬのは、ビートさんの片腕役の椎名。シャープで危険でイケメンで。これまでで一番格好良かったんじゃないでしょうか。死に様も最高(?。やっぱり映画は俳優さんが命ですね。
 
 

<アウトレイジ 予告編(動画)>

 やっぱ、この怒号のラッシュがたまりません。ゾクゾクします(笑


 と言うことで、結果として、これまでの北野作品にあった、暴力性の中の虚無や内省、どこか詩情を湛えた静謐感…それらはかなり排除されました。
 そこにちょっと残念感はあったのですが、全編とにかくアップテンポ、むしろ躁病的異常なハイテンションに、娯楽映画としてのレベルの高さは感じました。痛いのに笑える。そんなブラック・コメディ的要素は、「世界のキタノ」ならぬ、我々が良く知る「ビートたけし」的側面の絶妙な発露かと。
 カンヌ映画祭では賞はとれなかったものの、上映後はスタンディングオベーションだったというのもうなずける、そんな2時間あっと言う間の快作・怪作です。



 ここ一ヶ月はW杯の影響で全然映画館に行けておりませんでした。これからはぽちぽちとまた再開していこうかと。
 次は、終っちゃう前に「告白」ですかね。冒険もの好きとしては「アデル」も見逃せず。


 D
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Posted at 2010/07/14 12:09:00

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