
最近読んだものの備忘録など。
怒濤の海シーズンにつき、ほとんど読書は無し。三月でこれだけとは、情けない限りでございます。
この夏のトピックは、やはりハワード・フィリップス・ラヴクラフト御大原作の漫画作品が、PHP研究所から立て続けに発表になった事でしょうか。
6月の「クトゥルフの呼び声」に続き、この9月には「インスマウスの影」、「狂気の山脈」と代表的傑作がコミック化。
信者はもちろんマストですけど、クトゥルー神話大系に興味がおありとか、夜の悪夢でどうにもナニモノかに呼ばれるとか、どうも先祖がアーカム出身らしいとか、新居の部屋の隅あの壁の角度が!角度が!とか、古本屋さんで人革で装幀された生きた本を買ってしまったとか、いや、そんな!あの手は何だ!窓に!窓に!とか…
そんな、入門の方にも是非オススメです。ビジュアライズされると取っ付き易いですし。今作は漫画だけでなく、森瀬繚先生による解説のテキストも非常に充実しております。読み応え有り!です。
例の青空文庫(無料名作)あいうえお順イッキ読みは、芥川先生が終了。続いて有島武郎先生へと突入、そして読了。こちらも面白かったです。
ベストはやはり「生まれいずる悩み」。「小さき者へ」「或る女」「カインの末裔」も必読でありましょう。
有島先生は風景描写が見事。特に生地である北の大地、そして海を描かせれば、右に出る者は無いでしょう。上述の「生まれいずる悩み」等でその特徴が存分に。
正直、芥川先生ほどの洗練は無いのですが、とにかく筆が走った際の勢いに圧倒されます。時にそれが鼻につく事もあります。特に人物描写にその難が。
しかし、それこそが彼の描写の真骨頂とも。つまり、大自然は、峻厳なる激しさの内に立脚するもの。それ故の美しさ。一方、素の人間と言うものは、その強すぎる自我・エゴ故に、ヒトとしての醜さ浅ましさが根っこにあると。
つまり、有島先生は、物事の本質を捉え、活写する術に長けているのでしょう。
「或る女」「カインの末裔」を読むと、ヒトの感情のなんと醜い事か…と思い。「生まれいずる悩み」では、北の大地の美しさに震える。
そして「小さき者へ」。おそらくこれこそが最高傑作。ある静かな一夜の、父から、親から、子への所信表明。確かに感動的な名作。ですが…彼の末期を知るにつけ、どうにも違和感があったりもします。
ま、それだけの強烈な印象を受けるのも、やはりこの時代の作家は、良きにつけ悪しきにつけ、身を、特に精神を、ギリギリまで削って言葉を紡いでいたのでしょう。とにかく僭越ながら☆をつけた作品は、当方にとり、半端無かった事は間違いないです。
ということで、有島先生も無事終了。愈々太宰治先生に突入…まずは「二十世紀旗手」をダウンロード。やはりやはり、一発目から強烈。凄い人です。
現状「駆け込み訴え」がフェイバリットなのですが、再読でまた印象が変わる事を楽しみにしております。
携帯電話用データ(パピレス無料名作)
・芥川龍之介「新緑の庭」
・芥川龍之介「仙人」
・芥川龍之介「霜夜」
・芥川龍之介「谷崎潤一郎氏」
・芥川龍之介「着物」
・芥川龍之介「長崎」
・芥川龍之介「夢」
・芥川龍之介「龍村平蔵氏の芸術」
・芥川龍之介「露譯短編集の序」
・有島武郎「或る女」☆☆☆
・有島武郎「僕の帽子のお話」
・有島武郎「カインの末裔」☆
・有島武郎「私の父と母」
・有島武郎「小さき者へ」☆☆
・有島武郎「クララの出家」
・有島武郎「二つの道」
・有島武郎「碁石を呑んだ八っちゃん」
・有島武郎「片信」
・有島武郎「卑怯者」
・有島武郎「広津氏に問う」
・有島武郎「一房の葡萄」
・有島武郎「火事とポチ」
・有島武郎「かんかん虫」
・有島武郎「小作人への告別」
・有島武郎「水野仙子氏の作品について」
・有島武郎「溺れかけた兄妹」
・有島武郎「星座」
・有島武郎「宣言一つ」
・有島武郎「想片」
・有島武郎「燕と王子」
・有島武郎「生まれいずる悩み」☆☆☆
・有島武郎「運命と人」
・有島武郎「真夏の夢」
・有島武郎「An Incident」
・宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
・太宰治「二十世紀旗手」
書籍
・H・P・ラヴクラフト(大西尹明/訳)「ラヴクラフト全集1」創元推理文庫(100回目位の再読)
・菊池秀行「D-悪夢村 吸血鬼ハンター22巻」朝日文庫
漫画
・H・P・ラヴクラフト(宮崎陽介/画)「クトゥルフの呼び声」PHP研究所
・H・P・ラヴクラフト(原田雅史/画)「インスマウスの影」PHP研究所
・H・P・ラヴクラフト(宮崎陽介/画)「狂気の山脈」PHP研究所
・ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ 2巻」エンターブレイン
・三浦建太郎「ベルセルク 35巻」白泉社
・若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ 10巻」白泉社
・しげの秀一「イニシャルD 41巻」講談社
雑誌
・スピリッツ、イブニング、モーニング、ヤングジャンプ、ヤングマガジン 他
・Number、CG WORLD
・ベストカー、ENGINE、CAR MAGAZINE
・ファモーソ



<Gimmie back my alcohol!!>
つうかDMC終わっちゃったんですよね…近年最高の音楽?漫画でした。「卑猥の雨」の回の見開きなんかは、記憶に残る名?シーンでした。悲しいです。
そして読書のお供達。
左から「惣誉 生酛仕込 純米大吟醸」「宮の華 八重干瀬(やえびし)」「青島ビール」。どちらも関係各位様よりの下賜品。どちらも実においしゅうございました!ありがとうございます!D3_plusは分不相応身に余る果報者でございます。
今宵は三崎の干物を肴に、八重干瀬ロックで晩酌中なのです。うん、美味し!
と言うことで、毎年恒例日本吟醸酒協会主催「秋の吟醸酒を味わう会」が近づいてまいりました。
今年は10/19(火)。場所は飯田橋or水道橋のホテルメトロポリタンエドモンド。各種吟醸酒、一本一諭吉越えの大吟醸から非売品の鑑評会出品酒までもが5250円にて試飲し放題。さらに酒肴重にお土産大吟醸720ml一本が付くと言う大盤振る舞い。
正直、日本酒スキーにとって、これほどお得な会も他に無いと思われます。
詳細はこちら。当方はもちろん参戦致しますぞ。
ブログカテゴリー:御酒
日本吟醸酒協会「平成22年東京秋の吟醸酒を味わう会へのお誘い」
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Posted at 2010/10/06 22:56:45 | |
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