M10の並目(ネジピッチ1.5mm)だと思い込んで、ネジを切ってしまっていたシフトノブ。
少し前に準備が整いまして、何日かかけて手直ししました。
手直しのやり方としては、
以前書いた方法のうちの(4)に類似した方法でいくことにしました。1.5mmピッチで切ってしまったネジ山を一旦エポキシ系で埋めて、1.25mmピッチのネジをタップで切り直す作戦です。
そのためにまず用意した道具は、φ8.8mmのコバルトハイス鋼のドリル刃です。
と言うのも、M10並目(M10-1.5)の下穴よりも、M10細目(M10-1.25)の下穴は大きいんですね、これが。

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材料がアルミのように柔らかいものだったら、タップ任せでも削れるのでだいたいでいいと思いますが、硬いステンレス(SUS316L)なので、ちゃんと下穴サイズを確保した方が良いだろうと思って買いました。さらに、1.5mmのネジ山があるところに1.25mmのタップを立てようとしているので(入りにくい浅い角度で刃を入れるので)、できるだけ喧嘩を避けたいと言う意図もあります。
そして、通常のハイス鋼でもいけるかも知れませんが、SUS316Lに対抗するため、念のためより硬いコバルトハイス鋼(HSCO、HSS-CO)にしました。コバルトハイス鋼のドリル刃ってなかなか高くて、普通に買うとこれくらいはするので、
アリエクで探しました。これが、"Choice"ではなかったので、入手までに時間がかかったんです。
と言うことで、作業の話に移りましょう。
M10-1.5で開けた穴の径を測ってみると、規格よりもちょっと小さく8.2mmしかありません。(これでも問題なく通常のM10ボルトはスムーズに入っていました。)
エポキシで埋める前に、まずはここを8.8mmに拡げることにしました。手持ちのドリルにHSS-COの刃を付けて、穴に倣うように力をかけずに入れて行くのですが、ネジ山が邪魔をしてなかなか苦労しました。
どうしても、ネジ山が刃を過剰に先に進めようとして噛んでしまうんです。ラスペネを切削油に使って、慎重にゆっくり進めようとしても、なかなかうまくいきません。
刃が噛み込んでしまってドリルチャック側が空転してしまったりもしながら、何度もやり直して、一応、なんとかネジ山のてっぺんを奥までさらうことができました。SUS316Lはなかなか手強いです。
これで、8.8mmの穴になりました。(ノギスは8.7mmになっていますが、計測誤差で8.8と行ったりきたりでした)
切削油と切子を石鹸で洗ってから、さらにパーツクリーナーで脱脂して、次にネジ山を埋める作業に移ります。
家にあった普通のエポキシ接着剤のAB剤をよく混ぜてから、
タルク粉末(実際はベビーパウダー)を加えて練っていきます。
接着剤が垂れずに一まとまりになって角が立つくらいまで、少しずつタルクを混ぜ込んで、
これでネジ山を埋めることにしました。
何度かブログにも書いていますが、タルクを混ぜ込んで作る即席エポキシパテです。
こういう金属補修用には、デブコンという良い製品があるようですが、次に使う当てがないのにそれなりに高いんです。タルクはかなり柔らかいので、この補修に向くかどうかやや不安ではありますが、硬化後には加工性のいい固形物になるので、これでやってみることにしました。家にあるものでできますしね。
で、ネジ山にこのタルク入りエポキシをしごくように塗りつけて、ひとまず硬化待ちです。そうそう、シフトノブ2つともに同時並行で作業しています。
これをやったのは、5/16の七深を病院に連れて行った後のことでして、しっかり硬化させたいので、丸1日放置しました。
丸1日後と言うことは、続きは5/17の那須ヒストリックカーミーティングの後のことと言うことです。もう一度8.8mmのドリル刃を使って盛り過ぎている余分を削ってから、いよいよネジの切り直しです。

このM10-1.25のネジタップもアリエクで買いました(732円)。
ネジ切り作業は、タップをゆっくり回しては戻してを繰り返せばいいだけなんですが、それがなかなかうまく進められません。
最初のうちは良かったんですが、途中でどうにも切っていけなくなりました。タップの方は、長いハンドルがあるのでしっかり力をかけられるんですが、手で握る方のシフトノブを固定しきれないんです。要するに硬くて進まないんですが、そのへんのものを巻いてみたりもしましたが、どうしても滑ってしまうんです。
この日はイベントの陽射しでやられていたこともあって、途中で諦めて一旦保留にしてしまいました。
奥の方のネジはまだ切れていませんが、見たところ、まあまあいい感じでネジが切り進められてはいるようなので、しっかり固定できさえすればいけそうです。
で、改めて、水曜(5/20)の在宅ワークの朝の暇な時間に、シフトノブを押さえ込む対策を加えての続きです。
まだ余っている3mm厚のシリコンゴムシートがあるので、
それからこれくらいを帯状に切り出して、
これをシフトノブに巻き付けてやってみることにしました。
これで大幅に力をかけられるようになりました。このままでは手が痛いので、雑巾をさらに巻いて握ることにしました。これで、ネジを切り進められます。
切っては戻し、切っては戻しを繰り返して、ゆっくりと切り進め、かなり時間をかけて2個ともに細目(ピッチ1.25mm)のネジを切り直すことができました。
写真を撮るのが難しいんですが、ちゃんと雌ネジが綺麗に切れていると思います。金属光沢がないところがありますが、それはタルク入りエポキシで形成されたネジ山です。
なお、切り直す前の並目(ピッチ1.5mm、再掲)はこんな感じだったので、
違いは歴然ですね。
これでいよいよ取り付けだー!と行きたいところなのですが、実は別の問題がありまして、昨日はそれを直していました。
何かというと、墨入れしたシフトパターンと文字の一部が、剥がれてきちゃっていたんです。
原因は、紫外線硬化樹脂(ネイル用ジェル)の硬化不良だと思います。紫外線はこれでもかとたっぷり照射したんですが、
・溝に入れたために横から光が回り込むことができず、
・溝に流し込むように厚めに入れていたこともあって、
・黒色という自らの遮光力のために奥の方まで光(紫外線)が届かない、
と言うことが起きたんだと思います。ネイルの場合には、平らな面に少しだけ盛るように描くように使うので、問題なく固まるのでしょう。
仕方がないので、剥がせそうなところは剥がしてしまって、別の方法で補修することにしました。具体的には、ほぼ中身がなくなっていて、スプレーで塗装することが難しくなっている捨てる直前のラッカーを使うことにしました。
爪楊枝をヘラ状に薄く削って、かつ先割れにしたものを先に用意しておき、
塗料を弾くポリ袋に、残り僅かなラッカーをなんとか吹いて少し集めて、
集めた塗料を爪楊枝のヘラで取ってパターンと文字の溝に入れました。どうせ磨き直すので、多少ははみ出てもいいから角までしっかりと。
これで8時間くらい乾燥させて、ピカールで磨きました。ネジの切り直し作業で付いた細かい傷とともに、はみ出た塗装も落としました。残ったピカールや研磨カスを石鹸で水洗いして、
墨入れもこれでいいでしょう。
紫外線硬化樹脂の方がラッカーより強いと思うので、墨入れを嫁さんに手伝ってもらったんですが、思わぬ落とし穴でした。まあ、ラッカーでも、溝に入っているので簡単に落ちたりはしないでしょう。
と言うことで、ようやくとなりましたが、今度こそ完成しました。早速、車に付けてみました。
まずは、比較のために現状の純正シフトノブから。
これを「三角メッシュ馬6頭バージョン」の方に付け替えたものがこちらです。固定はまったく問題ありません。
おぉ〜、いい感じです! もしかすると、メッシュだと装飾が過ぎるかも知れないと薄っすら思っていたんですが、そんなことはないですね。シフトゲートが切られた内装の雰囲気にも合うと思います。のっぺり純正ノブよりも、いいんじゃないでしょうか。
次に「六角・五角メッシュ馬5頭バージョン」に付け替えてみました。
おぉ〜いい感じです! こちらは、運転席に座った状態でシフトノブを見たときに、ちょうど1頭の跳馬が真っ直ぐ見えますね。良いです。
色々な角度から見るとこんな感じ。
車の外からの遠目で見ると、サイズも外形も純正と同じこのシフトノブは、純正から変わっているとはあまりわからないんじゃないかと思います。
逆に、乗って近くで見てわかるくらいのさり気ない感じがいいんじゃないかと思います。
最後にちょっと寄り道しましたが、うまくできて満足です!!
と言うことで、三角メッシュ馬6頭バージョンは、余りました。とりあえず仕舞っておくことにします。