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2025年06月13日 イイね!

船の軌跡のアニメを作る

船の軌跡のアニメを作る
ニコバル諸島とスマトラ島の間を通過したコンテナ船は、マラッカ海峡の入口付近で漂流モードに入ったようです。船首があさっての方向を向き、速度が極端に落ちています。


マラッカ海峡は、年間12万隻以上の船舶が通航する世界で最も混雑している海峡だそうで、狭い海峡に入る手前のやや広いところでシンガポール港がレディになるまで待機するのでしょう。待つしかないですね。


さて私は、こんな感じの船の位置のトラッキングには、MarineTrafficというアプリ(Web版はhttps://www.marinetraffic.com)を使っています。どんなことができるかというと、船名で検索した船について、
 ・今、船がどこにいるのかを画面で確認できる、
 ・過去一定期間の軌跡データを表示できる、
という機能が無償で利用できます(地上から位置捕捉できる範囲)。

しかしながら、船の航路軌跡をデータとして取得して、それを後から分析したり再生するような機能は無償版では利用できません。有料会員になるとどうやらできるようなんですけどね。

まあ私は輸入業者ではないですし、そこまでして航路軌跡を分析する必要はそもそもないわけです。それでスピットファイアが早く届くようになるわけではないですしね。でも、せっかく「過去一定期間の軌跡データを表示」する機能があるんだったら、どんな軌跡だったのか経路を見たくなるじゃないですか。

と言うことで、無償版で取得できる範囲の情報を使って船の軌跡を再生するようなことを生成AIを使ってやってみました。

まず、ある時点で過去一定期間の軌跡データが、どういう感じで表示されるかというと、こんな感じです。


日時と緯度・経度が羅列されて表示されます。でも、過去3日分しか表示されませんし、画面に表示されるだけでデータとして落とすことはできません。その場限りで直近の情報を見るだけを想定した機能ということでしょう。
そうなんですが、気が向いたときに画面のスクリーンショットを撮っていたのですよね。後から使えないかぁと漠然と考えて。でも、そこからデータを拾うなんてことは面倒な話でやりたくはないわけです。

なので、多数のスクショからデータを拾うところも含めて、航路の軌跡を描くことをGeminiにお願いしてやってもらってみました。

具体的には、こんな感じでお願いしました。


画像ファイルとして与えた9枚のスクショはあっさりと解析され、こんな感じでデータが整理されてきました。
提供されたすべての画像から抽出したデータを時系列に整理し、重複を除いた結果を以下に示します。

[
("2025-05-26 09:26 UTC", -33.4970, 30.2747),
("2025-05-26 22:10 UTC", -32.0076, 34.3121),
("2025-05-27 10:06 UTC", -31.3937, 37.3514),
("2025-05-27 20:45 UTC", -30.8485, 39.1818),
("2025-05-28 09:05 UTC", -30.0334, 41.3000),
("2025-05-28 20:42 UTC", -29.3005, 43.2013),
("2025-05-30 08:54 UTC", -26.7583, 49.2647),
("2025-05-30 20:30 UTC", -25.9463, 51.0139),
("2025-05-31 07:43 UTC", -25.0373, 52.9340),
("2025-05-31 19:57 UTC", -24.0000, 55.0085),
("2025-06-01 06:50 UTC", -22.9667, 56.9808),
("2025-06-01 19:43 UTC", -21.7425, 59.2248),
("2025-06-02 07:28 UTC", -20.6267, 61.2525),
("2025-06-02 19:47 UTC", -19.4986, 63.1604),
("2025-06-03 06:40 UTC", -18.5901, 64.6757),
("2025-06-03 18:50 UTC", -17.5917, 66.3627),
("2025-06-04 04:24 UTC", -16.8166, 67.6200),
("2025-06-04 18:59 UTC", -15.6318, 69.5208),
("2025-06-05 06:15 UTC", -14.6500, 71.0450),
("2025-06-05 17:20 UTC", -13.6700, 72.5683),
("2025-06-06 17:32 UTC", -11.4087, 75.9694),
("2025-06-07 17:52 UTC", -8.5836, 79.5791),
("2025-06-08 17:19 UTC", -5.4098, 82.8219),
("2025-06-09 00:53 UTC", -4.3917, 83.8840),
("2025-06-09 06:09 UTC", -3.7463, 84.5417),
("2025-06-10 12:25 UTC", 0.0598, 88.4283),
("2025-06-10 15:03 UTC", 0.3914, 88.7562),
("2025-06-10 17:40 UTC", 0.7183, 89.1050),
("2025-06-10 20:55 UTC", 1.1700, 89.6865),
("2025-06-11 02:05 UTC", 1.8653, 90.2810),
("2025-06-11 04:34 UTC", 2.1694, 90.9780),
("2025-06-11 08:21 UTC", 2.6186, 91.0600),
("2025-06-11 18:03 UTC", 3.8967, 92.3436),
("2025-06-12 05:33 UTC", 5.0334, 93.8483),
("2025-06-12 17:04 UTC", 6.5304, 95.3257)
]

(2)についても、あっさりと、
(2) そのデータを世界地図にプロットする方法
Pythonとfoliumライブラリを使用するのが、インタラクティブな地図を作成する上で簡単でおすすめです。foliumはLeaflet.jsをPythonから利用できるようにしたもので、地図上にマーカー、線、ポップアップなどを簡単にプロットできます。
と言ってきます。

言われるがまま、
$ pip install folium
としてfoliumなるライブラリをインストールして、秒未満で作ってきたpythonコードをplot_track.pyという名前を付けて保存して実行しました。

どうやら、pythonでJavaScriptで書かれたHTMLファイルを生成する作戦のようです。

pythonはわかるんですが、JavaScriptはさっぱり知りません。まあ中身がわからなくても問題はないので、生成されたHTMLファイルをブラウザにドラッグ&ドロップしてみると‥‥‥さっくり航路が表示されました。こんな感じです。


おぉぉ、ちゃんと軌跡が描けていますね。ここまでにかかった時間は、たぶん1分くらいです。この手のシンプルなお題ならば、生成AIはめっちゃ得意ですね。なお、生成されたコードの中身はまったく見ていませんし、見る必要もありません。

さらには、(3)の提案も最初の投げ掛けだけであっさり答えてきました。
(3) もしも可能ならば、(2)で作った軌跡の上を船が通るアニメーションを作成したいです。
folium単体では複雑なアニメーション(パスに沿って動くマーカーなど)は直接サポートしていませんが、JavaScriptを組み合わせることで可能です。しかし、これはPythonのみで完結する簡単な方法とは言えません。

より簡単な方法として、foliumとfolium.plugins.TimestampedGeoJsonを組み合わせることで、時間軸に沿ったデータの表示をアニメーション風にすることができます。これは、時間経過とともにデータポイントが表示されたり消えたりするような機能で、船が航路を「進む」ように見せることはできますが、厳密な「船のアイコンが移動する」アニメーションではありません。

本格的な船のアニメーションを作るには、JavaScript(Leaflet.jsのプラグインなど)や、より専門的なGISツール(QGISのアニメーション機能など)を利用する必要があります。

ここでは、folium.plugins.TimestampedGeoJson を使用した「アニメーション風」の表示方法を提案します。

とのことです。

こちらは、「時間経過とともにデータポイントが表示されたり消えたりする」pythonのみで完結すると言ってきた方法は、ちょっと問題があってうまくいかなかったのですが、最初に言ってきたpythonで処理したあとにJavaScriptそのものを書く組み合わせの方法はうまくいきました。

とは言っても、最初はバグが出たりして動かなかったのですが、生成したコードや実行時のエラーメッセージをそのままGeminiに渡して、全部Geminiにデバッグしてもらいました。エラーメッセージの出し方なんかも全部教えてくれます。JavaScriptはわからないので(というか読む気がないので)、右から左へ丸投げです。

それを5回くらいやりとりして、ちゃんと船のアイコンが動くアニメーションが動くようになりました。でも最初は、不均一な時間間隔で取得した位置データのままで、単に次の地点へ移動するだけのアニメーションになってしまっていました。せっかくある日時データがうまく使えていなくて、不自然な動きになってしまっていたのです。

で、各ポイント間の時間も考慮して、船が一定の速度で移動するように補間処理を加える修正をさらにしてもらって、できたアニメーションがこちらです。


おぉぉ、ちゃんと最初に思っていた通りのものができました。ここまではちょっとデバッグであれこれあったので、20分くらいかかったかなと思います。

日々どんどん賢くなっていく生成AIは、こんな感じでいろいろな使い方ができます。定番の画像を加工してもらうとかも面白いですが、比較的複雑な処理を伴うプログラミングが必要なようなことも、スキルがなくてもサクッと作ってくれますよ。
Posted at 2025/06/13 16:36:47 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年06月12日 イイね!

アンダマン・ニコバル諸島と言えばセンチネル族

アンダマン・ニコバル諸島と言えばセンチネル族
コンテナ船の次の寄港地、シンガポール。


もうずいぶん以前に旅行に行ったことがあります。



まあまあ楽しかったと思いますが、最近は"つまらない国"として有名らしいですね。

そんなシンガポールは、ご存知の通りマレー半島の先っぽにあります。南アフリカからインド洋を斜めに横断してきたコンテナ船は、マレー半島とインドネシア・スマトラ島の間のマラッカ海峡を通ってシンガポールに向かうことになります。


このスマトラ島は意外に大きく、日本の国土の約1.3倍もあるんですね。スマトラ島の周辺には小さい島がたくさんありますが、スマトラ島の北側にニコバル諸島という島々があります。


コンテナ船はちょうど今、スマトラ島とニコバル諸島の間を通過しているところなのです。もう少しでマラッカ海峡。




このニコバル諸島はインドネシアかと思いきや、なんと遠く離れたインドなのですよね(なんでそうなったのか、不勉強で歴史を知りません)。


一方で、インドネシアとは174kmほどしか離れていないんですけどね。


ニコバル諸島のさらに北方には、アンダマン諸島という島々があって、こちらも同じくインドです。


このアンダマン諸島の中に、おそらく世界中で最も外界から途絶された地、北センチネル島という島があります。上の地図の赤点線で囲ったところで、比較的大きな南アンダマン島の南端の西にある島です。
コンテナ船がまあまあ近くにやってきたので、今日はこの島について書いてみたくなりました。



ここは、わずか南北8km、東西7km程度しかない小さな離島です。

2018年に起こったアメリカ人宣教師殺害事件が世界に衝撃を起こしたので、ご存知の方はご存知だと思いますが、この島がかなり特殊な事情の島なのです。

ここに住むセンチネル族の話すセンチネル語は、アンダマン諸島に住む他の部族の言語(アンダマン諸語)と大きく異なるそうで、数千年のあいだ他の島と交流せずに暮らしてきたと考えられているそうです。そのため、周辺の先住民の末裔の人達でさえセンチネル語を理解できる人はおらず、彼らが自らのことを何と呼んでいるのかすら、センチネル族以外は誰も知らないのだそうです。

人口はわずか50〜200人と推定されているそうですが、今もなお石器時代の生活を維持する世界で唯一の民族と言われ、外部との接触を拒否する生活を今も続けているそうです。

インドの中にあると言いながらも、インド政府も干渉しない方針で、事実上島民の独立した主権が認められている状態にあります。上述のアメリカ人宣教師のみならず、近づくものが島民により殺される事件が多数回起きていますが、殺人事件であっても「現代社会の一部ではない」として、警察の捜査もされないそうです。そもそも外界は拒絶されている上に言語的にもコミュニケーションは不可能でしょうから、捜査どころではないでしょうけどね。

センチネルの人々は元々外部と断絶された部族だった上に、19世紀にイギリス人による島民拉致(一部は病死、その後島に戻された)があって、外部への排他性・攻撃性を強めたのだそうです。

以前にはセンチネル族への接触の試みが行われていたようですが、今は、センチネルの人達が免疫を持たないことも考慮して、一切の接触(インド政府自らを含む)を禁止しているそうです。
21世紀の現代においても、まだそんな地があるのかと思うと、なかなか驚愕なことだと思いますね。
Posted at 2025/06/12 21:18:58 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2025年06月08日 イイね!

益子ランチ

益子ランチ今日は、焼物で有名な益子町に嫁さんとランチドライブに行ってきました。

朝はゆっくり10時前に家を出て、宇都宮市街地を通っていると、トゥクトゥクが。


ちゃんとタクシーの行灯を付けていて、芸が細かいですね。宇都宮で初めて見ました。一応テント屋根はありますが、ドアも窓もないそれは、オープンカー以上に風を感じそうです。

そのまま市街地を通り抜けてR123を東へ。


そう言えば、国道123号は一部界隈で「ワンツースリー」と呼ばれるらしいんですが、個人的にはそう呼ばれてるのを聞いたことがありません。「いちにぃさん」は聞いたことがありますが、宇都宮のたいていの人は「ひゃくにじゅうさんごう」とそのまま呼んでいる気がします。
茨城方面の方がワンツースリー派らしいんですが、真偽や如何に?>茨城方面の方

で、今日ランチに行ったお店がこちら。




「給い物屋カフェ笑み」です。

こちらは、益子焼最大の窯元であるつかもとの本館のそばにあるカフェレストランです。本館に併設されたギャラリーの奥に、比較的新しくできたんじゃないかと思います。


あっそうそう、Googleマップ上での店の位置が間違っていた(隣の本館の場所になっていた)ので直しておきました。

店内はこんな感じで、


ランチはこんな感じの健康志向系のメニューで、


Aランチのおばんざいプレートをいただきました。値上げ値上げのこの頃ですが、ちょっと高い‥‥



‥‥けど、このお品書きにはないセロリの和え物も含めて、プレートにはちょこちょこいろいろな料理がたくさん載っています。ちょっと珍しいものもあって、なかなか美味しかったです。

テーブルの上には、益子焼のオセロが置いてありました。


ボードには窪みがあって、碁石っぽい駒を嵌めるようになっています。一式セットで5千いくらからしいので、結構安いんじゃないですかね‥‥いらんけど。

こちらは駐車場は広くて、たくさん車が駐められます。


レストランのあるギャラリーと本館の間には、池と言うかビオトープがありました。その向こうに見えるのがつかもと本館です。




こちらは、ツーリングで寄る場所とかにいいんじゃないですかね。駐車場は広いですしね。


さて、少しゆっくり食事をした後は、またドライブへ。

益子から宇都宮に向かうR123は、それなりに立派な主要幹線道路だと思いますが、普通に踏切があったりします。


もちろん、みんな一時停止していますが、それで渋滞が起きたりしないのが栃木県。

その後、まっすぐ家には向かわずにコーヒーでも飲んで行こうかと、少し外れてこちらに寄っていくことにしました。


でも、席は空いているように見えるのに、10組以上並んでいたんですよね。よく見ると、人手不足で案内が遅くなっていると張り紙がしてあります。少し様子を見るに、実際、回転していない様子でした。

駐車場には、まだまだ駐められる余裕があるのですが、今日はダメそうなのであきらめることにしました。


そう言えば、先日、麦の話のブログを書きましたが、もうほとんどの麦は収穫が終わっています。


そんな中でも、今日コンバインで収穫している田んぼもありました。やっぱり、まるで秋の風景です。



コーヒーに未練があって、スーパーカーカフェ・マキナに寄ったのですが、なんと貸切で入れませんでした‥‥‥残念‥‥。

素直に家に帰ってからコーヒーにしました。
Posted at 2025/06/08 20:29:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2025年06月07日 イイね!

足元のモルタル割れ補修

足元のモルタル割れ補修久々に土曜日に良い天気だった今日は、ガレージの足元周りのモルタルの補修をしてもらいました。

例えば、ガレージ向かって左側の


ここが、こんな感じでひび割れていたりしていたのです。


ここは、ちょうど土間コンの目地の境界からわかり易くヒビが上に伸びていますね。ガレージ前の土間コンが収縮したときに、基礎の表面に薄く塗られたモルタル層も引っ張られて、ひび割れてしまったようなのです。

ガレージの右側も一緒で、


こういう感じに土間コンの境界から上に伸びるようにヒビが入っていました。



ガレージ内の後ろ側の壁にもヒビが入っています。こちらは基礎周りのスタイロフォーム(こちらの写真がモルタルを塗る前)の上からモルタルが塗ってあるので、また別のヒビの入り方をしています。


とは言っても、いずれも遠目にはあまりわからないですし、中身の基礎のコンクリートに問題があるわけでもありません。気にしなければそれで済むくらいではあるのですが、先日の家の点検で無料で直してもらえることになりましたので、今日補修してもらうことにしたのでした。


まずは、職人さんが表面のモルタルを剥がしていきます。



浮いているところは簡単に剥がれて来ますが、まったく剥がれないところもあるようです。

向かって右のこちらも剥がされました。


露出した中の基礎のコンクリートを見ても、まったく問題のないことがわかりますね。

剥がした後は、最初にモルタル下地用のプライマー(接着強化剤)をしっかり塗って(写真ありません)から、丁寧な左官作業でモルタルが塗り直されていきました。



出隅も入隅もコテだけで綺麗に角を出されていて、さすがプロですね。


刷毛で表面に砂地のザラザラが出る仕上げで仕上げてもらいました。

こんな感じで綺麗に仕上がっています。


次に、ガレージの中をやり直してもらうのに、355排気ガス排出ノズルやらModdoreやらをどかしました。




こちらにもモルタル塗ってもらいました。


綺麗になりました。


そんなに気になっていたわけでもないのですが、足元が綺麗になるとちょっと気持ち良いですね。


《おまけ》ガレージ足元が綺麗になったところで、午後には七深を爪切と検診に連れて行って来ました。
お尻の毛メンテになすがまま、短い手で「シェー」!

Posted at 2025/06/07 20:31:39 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年06月06日 イイね!

夢の島を追われ半世紀余り

夢の島を追われ半世紀余り日本でもリゾート地として有名なモルディブは、1,192個(!)もの島々から構成されるのだとか。




そんなにたくさんあるのかと驚くと同時に、「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」ではなくなった代わりに「島々がいい国(1192)モルディブ」と覚えやすくもありますね。

あっそうそう。そう振っておいてなんですが、モルディブの島の数に驚いた貴方、でも日本には14,125個(!!!)の島があるのですよ。世界有数の多島海国家、日本。


さて、そんな小ネタから入りつつ、モルディブからさらに南のインド洋のど真ん中に、チャゴス諸島というところがあります。



チャゴス諸島?

そう、スピットファイアを載せたコンテナ船が、ロドリゲス島の傍を通った後、ちょうどチャゴス諸島近海を通過中なのです。British Indian Ocean Territory (イギリス領インド洋地域)と書かれているところが、チャゴス諸島です。



このチャゴス諸島には18世紀後半から入植が始まり、20世紀半ばには2000人程の住民が住んでいたそうです。その当時、英領モーリシャス(植民地)がチャゴス諸島の自治権を持っていました。気候も平穏で農産物が豊富に採れたため村は繁栄し、学校や病院、教会、鉄道も整備され、生活に困ることはなかったそうで、「夢の島」と形容されることもあったようです。

現在のチャゴス諸島はイギリス領となっていて、夢の島だったはずの島には一般住民は誰も住んでいません。今は、かつての居住地に廃墟が残るのみです(以下はプランテーション跡地)。


そこには複雑な背景があるようなのです。ちょっと勉強したので、今日は少しその話について。


まず、現在のモーリシャスは独立国ですが、マダガスカル島の東側にある諸島からなる国です。前回のブログで書いたところですね。


チャゴス諸島は地理的にはモルディブに最も近いと思いますが、植民地時代にモーリシャスと一緒に統治された関係でモーリシャスとの繋がりが強いようです。

1965年にモーリシャスがイギリスから独立する条件として、チャゴス諸島を分離してイギリスに残す密約が交わされたのだそうです。合わせて、400万英ポンドの支払いも行われたのだとか。
400万英ポンドは、イングランド銀行提供するインフレ率計算機で計算すると、現在の価値で6751万英ポンド相当となるので、約132億円となります。領海の広さを考えると足下を見られてかなり安く買い叩かれたのでしょう。

この密約の背後には、イギリスによるモーリシャスへの脅迫があったそうで、モーリシャスの自発的意思とは考えられていないようです。

分離されたチャゴス諸島は現在もイギリス領のままです。この密約が交わされた同時期に、イギリスはアメリカとも交渉を行っていて、一番大きな島ディエゴガルシア島に後にアメリカ軍基地が作られることになります。密約のあった翌年の1966年から50年間、アメリカの軍施設として使われることとなり、その後に20年延長され、今現在もそれが続いています。

下の写真は現在のディエゴガルシア島です。


滑走路が見え、軍事施設も確認できますね。環礁の内側にある巨大な礁湖は、艦船を荒波から守る安全な天然の避泊地として利用されているようです。たくさんの船舶が見えますが、全部軍用なのでしょう。

大きな出来事を時系列的に並べるとそうなるわけですが、冷戦下にあったアメリカがインド洋に軍事基地を欲しがった方が先のようです。アメリカがイギリスに働きかけて、モーリシャスとの密約を取り付けさせたのでしょう。1961年は、アメリカ海軍の提督が、チャゴス諸島を調査のため訪れていることがわかっているそうです。イギリスは、アメリカに土地を租借する見返りとして、ポラリス(核兵器)をアメリカから1,100万ポンドの値引きを受けて供与してもらったそうです。


アメリカはさらに、ディエゴガルシア島に基地を作るにあたって、チャゴス諸島の全住民を追放することを望んだそうで、実際にすべての住民が強制移住させられました。時期は資料によって揺らぎがあって、1968~74年だったり、1968~73年だったり、1967~71年だったりしますが、アメリカに租借してすぐのことです。

そのやり口はかなりひどかったようで、退去命令を出して物資輸送の禁止から始まり、それでも残ろうとする住民に対して、約1000匹の犬の見せしめ殺戮、すし詰めで船に乗せ一時的にセーシェルの刑務所に収監、住居も仕事も用意せずにモーリシャスのインフラのない放棄地に連行したのだとか。


植民地意識があったせいなのか知りませんが、よくもそんなことがまかり通ったものだと思います。そんなに昔の話ではないのですけどね。

住民を追放したかったのは、軍事施設や滑走路の建築、その後の24時間軍事運用で生じる騒音・落下物などの諸問題に対して、住民の反対を気にする必要がないことを望んだためのようです。

そのディエゴガルシア島に造られた基地からは、1991年湾岸戦争でのイラクへの爆撃、2001年アフガニスタン空爆、2003年イラク戦争の爆撃が行われたそうです。アメリカが中東に軍事的影響力を与える拠点となっているわけです。また、この基地の孤立性・秘匿性の高さから、CIAが"black site"として利用しているという話もあるようです。
https://www.theguardian.com/world/2014/apr/13/cia-black-site-diego-garcia-uk-role

そして今現在も、重要戦略拠点としてステルス戦略爆撃機等が配備されています。空中給油機とセットでの運用で、いつでも爆撃できるぞと目の前で構えているわけです。


軍用艦が泊まる港もあり、そこを母港とする潜水艦もあるそうです。



Googleマップでアップで見てみると、4000m級の滑走路の近くに駐機している軍用機が少ないような‥‥


港に停泊している船に明らかな軍用艦はないような‥‥


Googleマップの衛星写真では、礁湖の中にもほとんど船が写っていないので、写真を選んでいるのか、加工しているのかも。

居住区を見ると、日本の低層の団地っぽい集合住宅が、基地の人の住まいなのでしょう。レストランや宿泊施設、テニスコートに野球場なんかもあるようです。



そんなチャゴス諸島ですが、元住民たちが帰島を願って活動してきた歴史があるようです。


これまでに、
 ・イギリス国内での旧島民による訴訟
 ・その違法性ありの判決の枢密院による揉み消し
 ・生活基盤を作らせないための海洋保護区指定による島民帰還阻止の土俵作り、
 ・モーリシャスによる国際司法裁判所提訴とイギリスへの統治終了勧告
等を経て、ようやくつい先日の5月22日に、イギリスとモーリシャスの両国がチャゴス諸島の主権をモーリシャスに移譲する合意文書に調印したそうです。
元住民の活動は今現在も続いているようですが、詳しくは調べられていません。

コンテナ船が通ることでたまたま調べただけなのですが、偶然にもチャゴス諸島が極めて重要な歴史的転換点を迎えているところだったということです。これは、米英のみならず西側諸国にとってそれなりに大きなニュースにも思えますが、日本ではまったくニュースになっていませんね。そもそも、このインド洋の島の存在すらあまり知られていないでしょう。

なお、昨年10月3日の両国の合意により、ディエゴガルシア島にある軍事基地は引き続き維持され、イギリスによる99年間の運用が認められることとなっています。軍事基地の重要性が変わるわけではないので、そこが折り合いを付ける限度だったのでしょう。ただし、イギリスは年間1億100万ポンド(約190億円)のリース料をちゃんとモーリシャスに支払うそうです。
関連して、日本も従順に在日米軍駐留経費の負担ばかりしていないで、アメリカに米軍基地のための土地リース料を請求したらどうですかね。横田だけでも相当なもんなんじゃないですかね。不動産屋のトランプさんなら、主張の合理性は理解するんじゃないかな。うんとは言わないだろうけど、最初にハッタリをかましておくと落としどころで得をすると考えていらっしゃるようなので、こっちもやったらいかが?


チャゴス諸島はモーリシャスに返還されることにはなりましたが、実際問題、住民帰還は叶うのでしょうかね?
ディエゴガルシア島は特別だとしても、それ以外の島々についても、もしかすると海洋保護区指定がされているために生活基盤を築く術がなくて、何も手出しができないのかもしれません。

ところで、ディエゴガルシア島は、アラブ諸国からのミサイル攻撃が届かない絶妙な位置にあるようです。この基地のおかげで、インド洋の安全が保たれているという言い方もできるようで、私も米英側戦略の恩恵を受けている側かも知れません。実際、イエメンのフーシ派による紅海での攻撃を恐れて、現時点で西側の船舶はスエズ運河を通らなくなっていますが、もしもインド洋まで航行できなくなってしまうと大変なことになるでしょう。

そう、世の中の不条理の上に私も生かされているということですね‥‥考えさせられます。

でも、そんな事実に気が付いてしまってもなお、早く車が来ないかなと待ち遠しい思いが上回る煩悩まみれの人なのでした。



《おまけ》 船は今の航行速度で進むと、シンガポールに6/8 19時に着く計算になるようなのですが、入港予定はその1週間後の6/15 10時になっています。


また、海上で待機するのかなぁ。

東南アジアを中心とする世界各地の港は、トランプ関税の影響で混乱している(滞貨で溢れている)という話もあるようなので、そのあおりを食う状況なのかもしれません。

で、シンガポールに寄港した後は、てっきり横浜に向かうものだと思っていたのですが、どうやらその前に釜山に寄るらしいんです。

う〜ん、となると‥‥‥きっと7月にずれ込むのかな‥‥‥果たしていつうちにやってくるのやら。
Posted at 2025/06/06 20:22:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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