• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

桃乃木權士のブログ一覧

2022年12月17日 イイね!

青春純情派物語8――音楽室

青春純情派物語8――音楽室音楽室の奥から強烈な西日が照りつける逆光のシチュエーションでした。僅か二十メートルあまりしかない奥が霞んで見えました。
瞳孔が慣れるのに数秒を要してから、目的の彼女を見つけることができました。壁に寄りかかるようにしながら、同級生達と話し込んでいる様子でした。五人の真ん中に彼女は立っていました。まだ僕の存在には気がついていませんでした。
緩徐に歩みを進めていくと、五人組の端にいた生徒が気づいたようで、会話を止めました。じっと僕のほうを凝視し、観察を続けていました。自分以外の誰かに用事がある人に違いないと思ったのでしょう。数秒後には、その気配が順番に隣へと伝わり、ついに彼女と目が合いました。
彼女は、かなり驚いた表情を見せながら、会釈してきました。彼女の左右二名ずつから痛いほど鋭い視線を感じ、顔から火が出る恥ずかしい思いをしました。必死に笑顔を作ろうとしても、頬がこわばってしまうのです。
距離にして二メートル余りでした。
雰囲気を察知した両脇の四名が、さっと左右に数歩移動して、僕らだけのために僅かな空間を作ってくれました。
聞き耳を立てられている状況は辛かったです。これが最後のチャンスになると察し、頑張りました。
同性の友達との約束があるから二人きりでは後夜祭に出られないとの返事でした。絶望感が千鈞の重みとなって背中に覆いかぶさってきました。
のちに、自分が玉砕できていなかったことに苦しめられました。新たな恋をしても、後顧の憂いが軽快することはありませんでした。「君が好き」というひとことを、言葉として、声に出して伝えたかった。その痛恨の思いが後年も残り続けました。
Posted at 2022/12/17 08:59:52 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月17日 イイね!

青春純情派物語7――十六歳の君が棲む花

青春純情派物語7――十六歳の君が棲む花ある春の日の光景です。好天に恵まれ、たくさんの良花が出現しました。美しさの中に、物悲しさが同居していると感じるのは、その後の運命をよく知っているからでしょう。イングリッシュローズの「キャサリン・モーレー」は、凋花になることなく、美の極致に至った瞬間にバッサリと花が落下してしまいます。その期間は、すこぶる短く、実に潔いものです。
私の中においては、「キャサリン・モーレー」のイメージは、大人の女性ではなく、その手前に差し掛かった少女です。
高校時代、文化祭の後夜祭で知り合った少女がいました。音楽部に所属する一つ年下の少女で、学年を示す白いバッジが、まだ膨らみかけた状態の胸に光っていました。真正面よりも内懐に入って見たほうが視覚的な鋭さを増し、艶と純の同居に苦しめられました。男子校と女子校の関係で微妙な距離感がありました。
校庭では、ジンギスカンの「ハッチ大作戦」が大音響で流れ、軽快なメロディに雰囲気が和みました。紫色に染まる西空を見ながら、自己流で踊り続けていました。
とりあえず、二人での会話はそれなりに盛り上がりました。なのに、ドキドキしてしまって、先の話が切り出せない状態に陥りました。結局、名前も訊けませんでした。
彼女を校門まで見送りました。別れの瞬間、背中に悪寒のようなものが取り憑いてしまいました。
一週間後、彼女の文化祭へ乗り込み、必死になって探し続けました。そして、友人達のアシストもあって、対面に成功しました。音楽室で、告白の前段階にまで迫りました。
ですが、見事に振られました。同性の友達との約束があるから、二人きりでは後夜祭に出られないとの返事でした。
後日、彼女から電話をもらいました。電話番号を交換していなかっただけに、青天のへきれきでした。音楽室での記名簿をもとに、ほうぼうを調べまわってくれたようです。
最大のチャンスが到来しました。――電車とかで会ったら、絶対に声をかけて下さいね――と繰り返し、念を押されました。力強く同意しました。しかし、彼女の名前も電話番号も訊けずじまいでした。
以後、街や電車で同じ背格好をしたセーラー服姿の生徒を見つけるたびに、昂ぶりがありました。なのに、彼女と再会する願いは、叶いませんでした。
彼女が目の前に現れたときの眩しさは、「キャサリン・モーレー」のようでした。可憐なイメージを残したまま、ある日突然、目の前から消えていったからです。
目の前に咲く一輪の「キャサリン・モーレー」は、美の極致を維持したまま、ある朝、突然散っていることでしょう。同じように、十七歳のときに刻まれた記憶――十六歳の彼女――は、そのまま残っています。少女のまま、彼女は思い出の中で生き続けていくのです。年老いることなく。
Posted at 2022/12/17 08:59:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月17日 イイね!

🍜グルメモ-136- Handicraft Works(埼玉県八潮市)受賞歴多数

🍜グルメモ-136- Handicraft Works(埼玉県八潮市)受賞歴多数初回訪問で衝撃を受け、再訪してきました。ステーキ丼ではなく、ラーメンです。汁なしの油そばになります。
画像は、最上位の「サラマンダーパレット」です。これでもかという量の肉に、味玉と焼きパイナップルが乗ります。スパイシーな味付けで、丼の底部に隠れている麺は、ペペロンチーノに近い味わいになっています。
いっときのブームが去ってからは、なかなか見かけないジャンルになっていますが、ここでは独自の進化を遂げた油そばが健在でした。
Posted at 2022/12/17 17:09:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | グルメ/料理

プロフィール

筆名、桃乃木權士(もものき・けんじ)です。カーディテイリング大好き。おもに、Sam’s Detailing の用品を愛用中です。 薔薇園芸の世界には、「薔薇は...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

リンク・クリップ

愛車一覧

レクサス RC F レクサス RC F
「命短し恋せよカーライフ」の勢いで、レクサスUXからの乗り換えです。 ベースグレードです ...
ポルシェ 911 ポルシェ 911
家族がオーナーで、私は専属の洗車担当です。運転はほとんどしていません。
レクサス UX レクサス UX
レクサス UX200 Fスポーツ スタイルブルー グラファイトブラックガラスフレーク
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation