桃乃木權士のブログ一覧

8/31に夏剪定を行うことが、かつての指南書には明記されていました。枝の1/5くらいを落とすのです。こうすることで、10月中旬くらいから秋薔薇が一斉に開花し始めます。そういう計算がされていました。8/31より早いと、残暑があるうちに咲いてしまい、反対に遅いと初冬の影響で開花できない蕾が増えてしまいます。
8/31というのは、南関東の気候を基準にした日程ですが、実に見事な設定になっています。誤差3日で、まったく異なる結果になってしまうほどの精緻が存在しているのです。
20年以上前は、この通則を厳守していました。当時は、ハイブリッドティーローズと呼ばれる完全な四季咲き性を有した品種ばかりでしたので、一斉に咲かせるためには一斉に剪定する必要があったのです。
今の庭に咲いているイングリッシュローズは、完全な四季咲き性はなく、初夏以降は、断続的にポロポロ咲くような感じです。品種によっても開花間隔が異なるため、以前ほど8/31を意識することはなくなりました。
それでも8/31前後に剪定鋏をまったく手にしないことはありません。真夏に繁殖するハダニにやられた枝葉を整理する目的があります。葉を枯らすカビの胞子を除けば、園芸家にとって最小の存在ながら最大の敵でもあります。農薬が効かないうえに、圧倒的な繁殖力を有しています。3日放置すると、中型の品種の葉が全滅するくらいの破壊力があります。蜘蛛の糸のようなものを張りめぐらせて勢力を拡大し、吸汁によって葉が干からびてしまうのです。
ハダニの駆除は、水が卓効します。葉裏にある程度の圧で水をかけると、数日後には姿が消えています。この方法は、8/31までしかできません。9月になると黒点病の胞子が増殖できる気候になるため、葉裏に水を当てることで、有害な胞子を撒き散らすことになってしまうからです。
今年は、雷雨が多かったために、ハダニにはほとんどやられませんでした。8/31の時点でこれほど多くの葉が残ったのは、10年ぶりくらいです。


憎きハダニです。こうなると手遅れで、この葉はもう助かりません。数日後には水分が消えて落葉しています。
この画像でいうと、葉の薄茶色の部分が、すでにハダニが水分を吸い尽くしたエリアです。

ウィンドウズXPが稼働し始めたくらいの時代の話です。営業現場から本社の中間管理職として落下傘のように降りてきた富ヤン（仮名）こと、当時の上司の話です。
パソコンが苦手だった富ヤンも、Wordでごく簡単な文章を作り、自分で印刷できるくらいにはなっていました。こうしたなか、会社にグループウェアソフトのロータスノーツを導入することになり、何班かに分かれて講習会に参加することになりました。パソコンに関して富ヤンの右腕となっていた私は、「一緒に出てくれ」と頼まれ、隣同士に並んで講習を受けることになりました。
インストラクターの女性が、「では、皆さん、ノーツのアイコン上でマウスを動かしてみて下さい」と説明したときのことです。
私は、この目ではっきり見ました。間違いなく、目撃しました。富ヤンが口をパクパクさせていたのです。周囲の動きで自分の誤りに気づき、すかさずあくびをしていましたが、それがカモフラージュだったことを、私だけはよく知っています。
のちに、富ヤンのお嬢様が、マイクロソフトに入社したことを知りました。富ヤンの機械オンチは、社内で広く知られていましたので、パソコンでの珍プレーよりもそちらのほうが、すべらない話として有名になっていました。

ウィンドウズXPが稼働し始めたくらいの時代の話です。営業現場から、富ヤン（仮名）という上司が落下傘で降りてきました。定年寸前のラストリゾート的な人事であった感は否めません。本人にもその自覚はあり、また、パソコンが大の苦手なのにこの歳で本社スタッフに異動させるとは何事だ、と怒っていました。
富ヤンは、強烈な酒乱で知られていましたが、アルコールさえ入らなければ温厚ないい方でした。
ある日、出勤すると、富ヤンがいつにも増して上機嫌でした。
「見てくれよ。すごいやろ」
通常の机に、真新しい袖机が連結され、航空母艦の滑走路のようになっていました。富ヤンは、それを実際に滑走路として使用していました。いったい何を離発着させていたのか。――なんと、マウスの滑走路として使用されていました。「いやあ、楽になるわ」と言いながら、手を伸ばしてマウスを50cmくらい滑らせている姿に唖然とするしかありませんでした。
いきなり夢から覚ますのは無粋だと思いつつ、騒ぎになる前に事実を伝えるべきだと決心しました。私がマウスを握り、宙に浮かしてから置き直すと、富ヤンは、全身が硬直してしまいました。しかし、これも上司への配慮です。富ヤンの性格はよく知っています。周囲へ自慢し始める前に止めなければなりませんでした。
この日から、真新しい袖机は、私が使うことになりました。周囲からは、（課長でもないのに）「特別待遇か」と揶揄されましたが、そのたびに富ヤンが「彼の業務上これが必要なんだ」と力説していました。そうです。上司のミスをかばうのも部下の仕事であります。

東京を中心に全国展開もしている名店です。コロナ禍前は、外国人旅行客が多く訪れていました。
レアで提供される牛カツを石盤で炙って、ミディアムレアくらいで食します。わさび醤油もよいのですが、岩塩もなかなか美味しく、やみつきになります。


ここでの加熱で、好みの焼き具合に仕上げます。

昨日の続編です。見方によっては、ラーメンがサイドメニューなのかもしれません。これから紹介するのは、ラーメン屋が提供する寿司であり、寿司屋のラーメンでもあります。両者が並んだ看板がその証左です。寿司屋の後継ぎがラーメン屋を始め、超有名店になったという経過だと聞きました。寿司屋の敷地にラーメン屋が入り込んだような格好になっています。ともに本職の親子の共演を食事で味わえるわけです。
ラーメンのほうは巷間の評判どおりの美味しさなのですが、握り寿司の美味しさにも驚きました。海のない埼玉県で、寿司屋として成功するのには高い技術を要したと思います。久しぶりに正統派の握りを食べた気がしました。完成度は高いです。常連客はこのことをよく知っていて、握り寿司の売り切れは早いようです。幸運にも、最後の1人前にありつけました。