バーデンのブログを見て少し遠方よりお客様が来店されました。
地元のミシュランに強いタイヤ屋さんで職人さんがパイロットスーパースポーツ(PSS)に交換されたのですが、
ユニフォミティマッチングに興味が有り、特に不具合は無いがさらなる向上のためにユニフォミティを測定して欲しいとのことです。
PSSを組ませたら世界一?と自称しているので、職人さんに負けないように?何とか頑張りたいと思います。
車両はジャガーXJです。 オーナー様は他にも輸入車を何台か所有されているのですが、タイヤによる振動問題(シミー)で悩まされる事が多いとの事でした。やはりタイヤは重要です。
ホイールは純正20インチ ミシュランPSS 265/35ZR20 275/35ZR20 です。
現状把握の為、ユニフォミティテスター
GSP9700にセットしてユニフォミティとホイールバランス(重量)を測定します。
測定結果です。重量バランスは9~20g程度の狂いです。機械差も有りますので何とも言えませんが主に偶バランスの狂いなので問題ないレベルだと思います。センターコーンとフランジプレートの
固定方法の違いかもしれません。
RFVですが左リア以外は25N以下と素晴らしい数値です。経験と勘でこのレベルで組めるのは流石職人さんです。RFV 25Nとは荷重を掛けた状態(走行状態)でのタイヤの振れが僅か0.15mm程度の振れとなります。
オーナー様とお話しをして、左リアの1本だけをユニフォミティマッチングする事にしました。60Nは決して悪くは無いですが残りの3本が良すぎるので目立ってしまいます。
タイヤを外してホイールのビードシート部のランナウトを測定し、ローポイントにマーキングをします。
レバーレスタイヤチェンジャーにて組み込んでいきます。特にミシュランタイヤはリム組みにコツが要ります。秘密のテクニックを使って篏合させていきます。
再びGSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。
測定結果です。ホイールの精度は0.16mm以下と良好です。
タイヤのRFV1次ピークにマーキングします。
一旦タイヤを外してホイールのローポイントとタイヤのRFV1次ピークを合わせて位相組換えします。
三度GSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。
アッセンブリーのRFVが10Nに低減しました。 これで全てのタイヤが25N以下と素晴らしい結果となりました。毎回思いますがミシュランの
C3M製法は本当にユニフォミティが良好です。早くダンロップさんにも
NEO-T01製法を稼働させて左側通行用タイヤを作って頂きたいです。RFVを最小化してから重量バランスを取ります。
RFV1次ピークを上死点にして取付して規定トルクで締め付けます。
4本装着して終了です。
全国にはタイヤの組付けに拘っているお店や職人さんが沢山居られます。色々な技術を駆使してタイヤの真円度を追究していますが、大きく分けて3つの方法が有り、ユニフォミティマッチングはその内の一つですが、RFVを最小化する事を目的としています。RFVを測定するにはユニフォミティテスターを使用する事が唯一の方法となりますので残念ながら経験と勘では不可能な作業となります。
職人さんが組込みに使用した方法はランナウト(無負荷状態の振れ)最小化だと思います。この方法はバランサー上で回転させてタイヤの振れを見る方法で、出来るだけ綺麗に回転するように位相組換えします。場合によりタイヤを切削してランナウトを最小化します。この方法は悪くは無いのですが、ランナウトとRFVは完全な相関関係が無いのでランナウト最小化では限界が有るのです。
今回のタイヤホイールは無負荷状態では全て綺麗に回転していましたが、実際にはまだRFVを低減できる余地は残っていました。但しユニフォミティマシンが無くてもこのレベルで組込みが出来る事には職人の拘りを感じました。
今回も色々と勉強になりました。オーナー様ご利用ありがとうございました。
追記:ランナウト(RRO)とRFVの違いについて参考動画を追加しました。
無負荷状態では綺麗に回転しているのに、ローラーで荷重が掛かっている時はローラーがボコボコ動いているのが分かるでしょうか?
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ユニフォミティマッチング | 日記
Posted at
2013/02/17 17:40:33