
VW シロッコRにお乗りのオーナー様から
ユニフォミティマッチングの依頼が有りました。タイヤを交換後シミー(高速域での微振動)が発生して、ホイールバランスを取り直したが改善せずご来店されました。
輸入車や高性能車は、サスペンションが敏感で、タイヤホイールやサスペンションの変更でハンドルの振れや車体のブレが出てしまう場合が有りお悩みの方が多いです。
車両はシロッコR タイヤはミシュランPS3 ホイールはTWS EX-fV18インチです。
現状把握の為、
GSP9700にフランジプレートを使用してセットしホイール(重量)バランスとユニフォミティを測定します。
リアのユニフォミティRFV(ラジアルフォースバリエーション)がいまいちです。RFVは100Nを超えるとシミーが発生する可能性が高くなります。RFVと重量のホイールバランスや見た目のタイヤ寸法は関係有りませんので、RFVが悪いタイヤはいくら重量バランスを完全に取っても振動問題は解決しません。おまけにRFVを測定するにはユニフォミティテスターを使用する以外は方法が有りません。今回の振動問題の原因はRFV不良だと思われます。
RFV不良の原因は大きく分けて次の3つの要因が有ります。タイヤ単体のRFV不良、ホイール単体のランナウト不良、組付け時の篏合不良です。原因を確定するには一度タイヤを脱着してそれぞれ測定が必要です。
タイヤを外してホイール単体の精度を測定します。鍛造1Pなので重量バランスは良好です。

作業は見習い1号です。ホイールのランナウトを測定後、ユニフォミティマッチングで組付けます。ミシュランタイヤは特に組込みにコツが要ります。世界中でも多分バーデンしかしていない企業秘密の技を使用して組付けていきます。

組付け後、GSP9700にてユニフォミティを測定します。
ホイールのローポイントとタイヤのRFV1次ピークを測定してマーキングします。
(このタイヤホイールは3番のRFV95Nのセットです)
タイヤチェンジャーを使用して、マークを合わせるように位相組換えして再度ユニフォミティを測定します。

測定結果です。組付けのRFVが95Nから25Nに激減しています。ホイールの縦ブレは0.08mm程度なのでRFVが悪い原因は組付け(篏合)不良だった事が分かります。
タイヤの交換は簡単な作業だと思われていますが、拘れば飛躍的に真円度が高められるのです。
RFVを最小化してからホイールバランスを取ります。バランスウエイト(錘)が少ない事が最良ではありません。最優先させるのは走行状態の真円度です。当たり前ですが完全に理解されている方は少ないです。

残留アンバランスも限りなくゼロにします。
ユニフォミティマッチング後の測定結果です。1番2番はあまり変わらず、3番4番が組立て(篏合)不良が解消されてRFVが激減しています。
タイヤホイールの真円度がいくら高くても、取付時にずれるとシミーが発生します。スペーサーはあまりお勧めしませんが、装着するなら精度の高い物を正確に装着してください。ハブセントリックは必須で、クリアランスも0.02mm以下が望ましいです。

RFV1次ピークを上死点にして取付て真円度を高めます。規定トルクで締め付けて終了です。

完成です。2Lターボ250psオーバーのホットハッチです。この車両は結構敏感なので微振動に悩まれている方は多いです。
測定結果です。タイヤ単体のRFVが120N以下、ホイールの振れは0.5mm以下、組付けRFVは100N以下ならば可です。高性能車は半分くらいが望ましいですが高級タイヤでも難しいです。
2番のホイールの振れが結構大きいのでRFVは良好ですが、運転席より一番遠い所に装着します。この当たりの塩梅が職人技?で説明が難しい所です。
タイヤ、ホイール共にみなさんが考えられている以上に個体差(公差)が大きいです。
特にタイヤは貼り合わせて作られているので想像以上にバラつきが大きく、大口径低扁平になるほど高度な製造技術が要り、おまけに組み付けにも技術が必要になるのです。普通にタイヤを組み込んでも特に問題は出ない場合が多いですが、真円度が高いタイヤに乗るとまさに絨毯の上を滑るように走り、250km/h以上でも振動は皆無でリラックスして運転できるのです。
オーナー様ご利用ありがとうございました。
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ユニフォミティマッチング | 日記
Posted at
2013/07/18 18:44:17