
シロッコRにお乗りのオーナー様からタイヤ交換と
ユニフォミティマッチングの依頼を頂きました。
過去に
何度かご来店頂いているのですが、官能評価的にしっくりこずについにタイヤとホイールの交換になりました。
以前は社外鍛造ホイールにスペーサーとタイヤはミシュランPS3でしたが、純正ホイールにミシュランパイロットスーパースポーツをユニフォミティマッチングで組み込むバーデン一押しのパーツ選択となりました。(但しPSSは基本、左側通行用には作成されていないのが難点です)
タイヤはバーデン一押しのミシュランPSSです。
C3M製法の為にユニフォミティは非常に優秀です。通常製法ではこの真円度は不可能だと思います。C3M独特のタイヤの内側の形状です。

ホイールはフォルクスワーゲン純正ホイールです。バーデンでは機能性重視の場合は純正ホイールをお勧めしています。重量やスクラブ半径含め純正は非常に優秀です。ホイールを交換する際はタイヤ外径とインセット、重量を出来るだけ変えない方が良い場合が多いです。特に高性能車や輸入車はご注意ください。ハブセントリックは必須です。スペーサーやハブリングは出来るだけ避けた方が無難です。
PSSの重量バランスの良さを実験してみます。タイヤ単体の重量バランスが良いと何が良いのかを最後に解説したいと思います。
ホイール単体で重量のホイールバランスを計測します。インアウト合計39gのアンバランスでした。

次にバランスウエイト(錘)を借り付けしてホイール単体のバランスをゼロにします。

ホイールのランナウトを測定して、ユニフォミティマッチングで組み込みます。
ミシュランは組込みにすこしコツが要りますが、PSSは特にテクニックが必要です。組み方のみでRFVが50N程度は平気で違ってきます。
作業は見習い1号です。

組込み後、ユニフォミティバランサー
GSP9700にセットしてユニフォミティと重量バランスを測定します。
驚きの測定結果です。19インチでしかも貼り付けウエイト換算で僅か12g程度の重量バランス誤差です。しかも対角線上にアンバランスが出ているのでタイヤ単体のスタティックアンバランスはほぼゼロです。この数値は通常製法ではほぼ不可能だと思います。この数値ですと300km/hオーバーでも鼻歌&片手運転楽勝です。
4本を位相合わせしながら組み替えていきます。RFVは全て35N以下に収める事が出来ました。
RFV1次ピークを上死点にして装着して少しでも真円度を高めます。

完成です。
詳細数値です。RFV、ウエイトアンバランスを考慮すると300km/hオーバーでも余裕の数値となりました。
精度的にはホイール、タイヤ共に問題ありません。RFVは非常に優秀です。
バランスウエイト(錘)についての考え方ですが、プロでもよく間違えて居られますので一度解説したいと思います。参考過去記事は
こちら
重量アンバランスの量ですが、基本的には少ないに越したことはないですが、ホイールの重い部分とタイヤの軽い部分(軽点)を組み合わせてウエイトを少なくする方法は見栄え以外に全く意味が有りません。バランスが取れている事と、走行状態の真円度とは無関係なのです。基本ですが誤解されている方が多いです。もしバランスウエイトが少ない=真円度が高いと言われるプロがいたら残念ながら勉強不足です。
基本は、ホイールとタイヤを別々に考えることです。
まず、ホイールについてはビードシート部(タイヤが接触する部分)の精度が一番重要です。詳細数値のランアウトの所です。基本は0.5mm以下で0.2mm以下が望ましいです。但し位相も重要でインアウトのローポイントが90度以内が望ましいです。
上記を満たしていれば例え100g以上のアンバランスが出ていても問題ありません。
重量アンバランスの目安は、鋳造ホイールで合計100g以下、鍛造ホイールで40g以下程度が良品の目安です。(リム端部にて測定)
次に、タイヤ単体の重量アンバランスですが、上記実験のように、ホイール単体でゼロバランスをしてからでしか測定出来ません。目安は無いですが、出来るだけ少ない方が良いです。タイヤ単体のアンバランスは高速ユニフォミティに大きく影響してきます。タイヤの構造(速度記号)により大きく違うのですが、バランスが悪いと高速走行した時に遠心力で一部分が膨らみ、RFVが悪化してしまうのです。
有る文献によると、速度記号S規格タイヤで、100km/h時で局所的に、20gのアンバランスが有ると、0.28mm程度タイヤが部分的に膨らみ、RFV換算で48N程度悪化したと有ります。(速度記号の高いタイヤは遠心力で膨らまないような構造を採用しています)
100N以上でシミーや微振動が発生する可能性が高いとすれば、S規格タイヤではスタテックで50g以下程度が目安になると考えられます。
上記を踏まえると、単純に組み合わせ状態のバランスウエイトの多さでは判断できません。重要なのは、タイヤ単体の重量バランスなのです。
タイヤ単体の重量バランスの良さが、高速ユニフォミティを良くする一つの要素となります。(他にも構造上の問題等多々ありますが)
タイヤ単体の重量バランスがいかに高速ユニフォミティを良くするかはダンロップさんの
NEO-T01製法の発表資料を読むとよく分かります。(C3MとNEO-T01は基本的に考え方は同じだと思われます)
バーデンで測定しているのは遠心力の掛からない低速ユニフォミティです。低速RFVが良くても稀にシミーや微振動が出るケースが有り、本当の原因を探るには高速ユニフォミティを測定するしか方法が有りませんが現状ではほぼ不可能です。
タイヤは見た目は黒いゴムですが、手作りの部分が多くばらつきも大きく、本当にタイヤは奥が深いです。車の性能は8割はタイヤで決まると思っているのですが、最近はあまり重要視されていないので啓蒙(布教)活動を続けていきたいと思います。
オーナー様お買い上げありがとうございました。
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ユニフォミティマッチング | 日記
Posted at
2013/10/31 13:39:08