
今回は東京から微振動でお悩みのオーナー様がご来店されました。車両はF10 523iの新車ですが、納車時から高速シミー(微振動)と車体振動に悩まされて、何度かディーラーでホイールバランスやオンザカーバランスを取り直したが改善せず、バーデンのブログを見て遠方よりご来店されました。しかも新車なのに脱ランフラットを決心されミシュランPSSを持ち込まれました。
BMWは結構シミーが出やすく、F10は特別出やすいですのでタイヤホイール選びと組み付けには注意が必要です。
Msportの19インチ351Mホイールです。タイヤはミシュランPRIMACY(プライマシー)HP ZP(ランフラット)BMW認証タイヤです。

ホイールの真ん中にバランスウエイト(錘)が貼ってあります。これはオンザカーバランサーでバランスを取ってある証拠ですが、オンザカーでは重量のバランスのスタティック(縦)バランスしか取れないので、現在の車両ではほぼ無意味です。逆に新しい車両でオンザカーで直ってしまう場合は車両側に異常が有るのに誤魔化す事に成るのでご注意ください。
タイヤを交換してしまうのですが、原因追及の為ミシュランランフラットタイヤのユニフォミティを測定します。
測定結果です。RFV(ラジアルフォースバリエーション)が左フロント110N 右リア80Nと今一つです。振動の原因はRFV不良だと思われます。
レバーレスタイヤチェンジャーでタイヤを外して、ビードシート部を清掃します。

交換するタイヤはユニフォミティ的に優秀なので一押ししているミシュランPSSです。
絶賛修行中の見習い1号に奥義を伝授しながら
ユニフォミティマッチングします。
タイヤを組み込んで、
GSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。

ホイールのローポイントとタイヤのRFV1次ピークをマーキングして、タイヤを一旦脱着して位相組換えします。

組換え後再びユニフォミティを測定します。
RFVを最小化してから、重量のホイールバランスを取ります。

1g単位まで精密に測定して、残留アンバランスを極限まで低減します。

半日掛けてタイヤ4本を組付けます。
流石PSSです。RFVが50N以下となりました。LFVのコニシティが今一つですが、輸入車なので何とかなりそうです。
ハブを清掃してグリスアップします。

RFV1次ピークを上死点にして少しでも真円度を高めて装着します。

完成です。
詳細数値です。
ホイールの振れは0.08mm以下と非常に優秀です。RFVも組付けで50N以下と全く問題ないレベルでした。
同じサイズのPSSとランフラット重量ですが、275/35R19で1本あたり2kgほど違いました。タイヤでこれだけ違うと乗り味は大分違うと思います。

今回のハンドル振れや振動の原因は、RFV不良と考えられます。ホイールの精度は問題ないので、組付け(篏合)不良かタイヤ単体のRFV不良です。但しRFVが100N程度の場合は不良品と言うには厳しい数値で、特に製造が難しいランフラットタイヤの場合は100N前後は珍しくない数値だと思います。
今まで多数のF10の振動問題を見てきましたが、ノーマルホイール(スクラブ半径変更なし)で80Nを超えると官能評価の高いドライバーなら振動を感じ取る場合が多いです。
F10を初め高性能車はサスペンションが非常に敏感に設計されているために、ハンドリングと引き換えに振動問題が出てしまうのは仕方がない部分ではあります。ブッシュを柔らかくすると耐シミー性能は上がるのですが、ハンドリングは悪化していきますのでバランスが難しい所です。
改善するにはユニフォミティが良好なタイヤと限りなく残留アンバランスを低減させるしか方法は無いと思います。
オンザカーバランスについては、無負荷状態の静バランスを取るだけなので、ブレーキローター等が原因の場合は有効ですが、それ以外ではあまり効果は期待できません。
オーナー様遠方よりご来店ありがとうございました。
Posted at 2013/06/20 19:47:52 | |
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ユニフォミティマッチング | 日記