
皆さんは新東名走られましたでしょうか?バーデン社用車のプリウスで新東名を走った時にハンドルのブレ(高速シミー)を感じました。東名では感じなかったのですが、路面が良い為か微振動を感じました。路面が良いとタイヤのインフォメーションが良く伝わるので少しのブレが非常に気になります。 原因は何でしょうか?
※以下の作業は決してマネをしないでください。専門知識を持った整備士が自己責任に置いて実施しています。
社用車プリウスですが、
ユニフォミティマッチング済みのタイヤホイールを装着していますが1年2万kmほど走行しています。
ユニフォミティテスター
GSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。

RFVが160Nとかなり悪化しています。ステアリングブレの原因は多分これです。逆に160Nでもあまり振動を感じないので、プリウスの耐シミー性能は結構良いようです。(ハンドリングが今一の裏返しなのですが。。。)
プロットで確認するとよく分かります。白の点線がRFVのグラフです。茶色線はフーリエ変換?したプロットです。横一直線になった場合が縦剛性的に真円となります。
RFVがこれほど悪化していると、組換えではどうにも出来ません。ここで禁断の技の登場です。
一部のタイヤマニアな人には有名なマキタM194 82mm電動カンナです。
RFV1次ピークの部分をマーキングして慎重に削ります。

削る幅、厚さ、位置についてもノウハウが有りまして慎重に作業します。
少し削ってはユニフォミティを再測定します。
RFVが160Nから130Nに低減しています。(赤丸)
プロットの山部分が少し平らになっています。(黄色丸)
削っては測定を繰り返し。。。

何とかRFVを75Nと半減させることが出来ました。但しRFVが波打つようになっていますので高次成分が結構悪くなってしまいました。
一応全て基準値以下に出来ました。
重量バランスの変化です。最初は15g程度の狂いでしたが。。。
切削後は62gほどの狂いとなりました。 ダイナミックバランスの修正も有るので微妙ですが、50g程度はタイヤを削ったみたいです。
重量バランスはゼロバランスにして終了です。
フロントのもう1本もRFVが125Nでした。
サクサク削って75Nにしました。
タイヤの削りかすが一杯です。
切削面が慣れるまではかなりの慣らし走行が必要です。3,000kmほど走ってやっと慣れてきました。最初はパタパタ音がすごかったです。慣らし終了後、新東名にも乗りましたが、シミーは出ませんでした。治って良かったです。
実はタイヤを切削する事は珍しい事ではなく、レースの世界では日常的に行われています。(レースの場合はRFVではなく、新品タイヤを削る事により熱の入らない状態で浅溝にしてブロック剛性を高めて一発のタイムを追究します)
市販品のタイヤも検査でRFVが悪いとメーカーで切削して基準値に収める事が有ります。但し最近は見栄えが悪くなるのであまり行われていないようです。
今回の作業で低減できたのは遠心力が掛からない低速ユニフォミティと言われている物です。実際の走行時は遠心力が働きますので、タイヤを削った分遠心力のバランスが崩れて高速ユニフォミティが悪化する場合も有りますので注意が必要です。高速ユニフォミティについてはまたの機会に説明したいと思います。
※くれぐれも良い子はマネをしないでください!!
Posted at 2012/08/05 22:39:03 | |
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ユニフォミティマッチング | 日記