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昔、同一タイトルで快適で便利なものには楽しさを感じにくいと一発独断かました事ありましたが、その思いは今も変わっておりません。

64ジムニー。共に1年を過ごしわかったのは、日常ユースの様々な場面において大変不便なクルマであるという事。660ccの非力なエンジン、制約ある軽四規格、また一応ライトウェイトとは言え1トン超えの車重も関係しているかも知れません。

つまり大排気量やフルサイズのクルマに乗っていれば誰も感じる事のない感情が、ひとたびこのジムニーのハンドルを握れば大きな気づきとなって色々と現れて来るのであります。

ではそれらが全て嫌でネガティブな要素になるかと聞かれれば、それは「No！」です。この狭さや不便さが直ちにマイナスにならないのがこのクルマの不思議な所です。

ゆったりとくつろげる静粛な車内に掛け声ひとつで自在に動く様々な装備。胸すく加速にオンザレールの旋回性能、そして圧倒的なストッピングパワー…豪華で高性能な素晴らしいクルマはたくさんあると思います。

翻ってジムニーはどうでしょう。

周りの交通の流れに負けまいとするならば景気良くアクセルを踏み付ける必要あるし、人も荷物もあまり多くは積めないし、足回りはふわふわと横風やバネ下重量、ガソリン残量等ちょっとした外的変化の影響も受けやすく、快適で便利なクルマとはとても言えません。
しかしながらこのダイレクトでデリケートで狭くて不便な感覚こそが、どういう訳か心の底から楽しく愛しく感じてしまうので不思議なものです。

パワーもスペースも限られている中、いかにしてそれらを最大限に活かせるかと、あれこれやり繰り工夫する所にまた愛着が湧くものです。そしてどうすればスムーズに走らせられるかという、クルマ任せではなく五感を使った能動的なドライビングスタイルが、運転する楽しさや人車一体感を醸成しているとも強く感じます。

スマホ化やAI化がどんどん進み便利で快適になっていくにつれ、人間がマシンを御するという醍醐味はどんどん薄れて行くでしょう。

64ジムニー 。こうして2万キロを走った今、工業製品を超えて相棒とも思える「人間くささ」を感じています。

「おい、昨日アレ視たか？」

昭和時代の教室。いつも決まって、共通のテレビ番組の話題で盛り上がったものでした。
カックラキン大放送→太陽にほえろ→ゴールデン洋画劇場の金曜日、クイズダービー→8時だよ全員集合→Gメン'75→池中玄太80キロの土曜日、といったチャンネルの流れは当時の小中学生にとってはお決まりのパターンでもあったと思います。

そして当時の日本をもずっと見てきたジムニーというこのクルマ。1970年の誕生以来、既に50年以上！の歴史を刻んでます。

ジムニー。そしてその「らしさ」とは一体何処にあるのかとふと考えてみました。

4thジムニー。本来のらしさをいまだ忘れてしまった訳ではない事は誰の目にも明らかですが、人それぞれ多様化する現在ではドレスアップも各人各様。正解は無く、全てにおいては好みに因るものと感じます。

街乗り用にカスタマイズされたものはとても都会的でスタイリッシュに感じるし、またオフロード向けに改造されたMTタイヤ泥々の姿も、大変勇ましくステキであります。

それぞれのオーナーさんなりの思い入れで、百車百様なところはこのクルマの多彩な一面でもあるのかも知れません。

そんな事をぶつぶつ思いながらも、では私なりの目線でのジムニーらしさって一体何処にあるのだろうかと考えてみました。
それはズバリ「機能美」に尽きると思いました。そしてまたそれはジムニーに限らず、四輪駆動車全てに共通しているとも感じます。

何も手を加えていないそのままの姿。そこにこそワークホースとしての機能美があると感じるのです。

何にも足さない何も引かない、そのままXG！最もベーシックでスタンダードな、このグレードこそが潔くて今一番「らしいジムニー」ではないかと思えて来るのです。

若い頃には無かった感性。昔、四駆といえばリフトアップして大径タイヤ履かせて…というのが当たり前の感覚でした。
そして同じく感じるのは、決まって課長に連れて行かれるおばさんばかりのラウンジの事。どうして課長はこんなばばぁのお店が好きなんだろうかと、いつも残念な思いをしていたものです。
それが今となってはどうでしょう！同年代、40代50代の女性のお店が一番落ち着いて楽しい！（笑）

ひと年過ぎれば、物事の目線も変わるもの。

XCオーナーとなり約1年。2万km近く走り少し手を加えながら乗るにつれ、またシンプルな純正鉄っちんホイールを眺めるにつれ、そんな事をふと考えてみたりしました。