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2022年05月15日

欧州フォードにシルバーカラーが一番似合った頃

欧州フォードにシルバーカラーが一番似合った頃 アウディA2とB256フィエスタとの間を結ぶ1人のカーデザイナー、クリス・バード氏のことを以前にブログで記しました。先日久しぶりにA2を見たので、フィエスタも同じようなアングルで見比べてみたいと思い、だいぶ昔に撮影した1600GLXの写真を引っ張り出してみました。
両車は車格もキャラクターも異なりますが、しかし造形の面で見れば、例えばボディパネルの面の張り、プレスラインの位置、フェンダーのフレアとルーフのスロープの度合い、バンパーの黒樹脂パーツの扱いなどに、いかにも同じデザイナーが関与したことを匂わせる、そこはかとない相通じる処理が認められます。




アウディ在籍中にA2のオリジナルにあたるコンセプトカーAl2を手がけたクリス・バードは、1998年にFord of Europeのデザインセンターへ着任してから、CD132モンデオ(2000)、B256フィエスタ(2001)、C307フォーカス(2005)など、2000年代初頭の欧州フォード基幹車のデザインディレクションを担当しました。
クリス・バードをアウディからフォードへ招いたのは、当時のフォードのデザイン担当副社長であったJ・メイズだろうと推測します。メイズ自身もアウディ出身で、1995年に彼がフォードへ移籍したのも、当時のヨーロッパにおける自動車品質のトレンドセッターであったVWとそのプレミアムブランドであるアウディに肩を並べられる水準にまで、フォード車の品質やイメージを高めることがミッションのヘッドハンティングだったはずです。メイズはその役割を果たすべくフォードデザインの改革に取り組む中で、アウディで実績を積んだクリス・バードの手腕を必要としたのでしょう。

メイズをトップにクリス・バードが腕を振るった時期の各車は、欧州フォード史上最もシルバーが似合っていたように思います。シルバーはそれより少し前からVWとアウディがイメージカラーとして用いていて、高品質・ドイツ製品らしさを存分にアピールしていました。一方で、シルバーという色は工業生産品にとってはごまかしが効かない、怖い色です。例えばボディパネルの接合部のギャップ(隙間/チリ)の広さが明瞭に現れるし、金属のプレス精度の良し悪し・塗装面の均一さ度合いなども一目瞭然だからです。もちろん、基本的な立体造形の全体像だって露わにされます。よほど製品品質に自信がなければ堂々と打ち出しづらい色なんですね。

クリス・バードがフォードでまず本格的に関わったのがCD132モンデオで、この車で欧州フォードはエンジニアリングにおいて飛躍的な品質改善と向上を果たしたとされます(ちなみにその開発過程では、4気筒デュラテックエンジンの供給などを担ったマツダのエンジニアリングも大きく貢献したようです)。そのイメージカラーはシルバーでした。このCD132モンデオで達成されたフォードの新しい品質基準のもとで生まれたのがB256フィエスタで、やはり登場当初はシルバーをイメージカラーとして選択していました。
実は、これら各車よりも一足先に登場していた初代C170フォーカス(1998)でも、イメージカラーはすでにシルバーでした。しかしC170フォーカスはまったくのブラン・ニューな存在でこそあったものの、エンジニアリングクオリティ的にはそれ以前からの欧州フォード水準だったので、シルバーカラーが有する本来の価値を発揮しうる品質は、やはりクリス・バードが関与したCD132モンデオ以降のモデルがより相応しかったのではないか、と思うのです。






ふと、フィエスタ以上にA2との近似性があるかも、と思いついたのがフュージョン(欧州モデル)でした。たまたまやはりシルバーの個体の写真があったので掲載してみます。フィエスタをベースにより背高なボディを持つクロスオーバー的なパッケージングだったフュージョンは、それゆえシルエットはむしろA2に近く、フロントグリルの形状も結構近いですよね。言うまでもなくこのフュージョンもまた、クリス・バードの主導のもとデザインが開発されたモデルでした。

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Posted at 2022/05/15 11:08:29

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この記事へのコメント

2022年5月15日 13:51
最近の車は顔立ちがきつい感じの物ばかりですが、この頃はまだ優しい顔立ちの車が結構ありましたね😄
コメントへの返答
2022年5月15日 19:18
おっしゃる通りでして、まだ2000年代初頭は、車が「顔」の存在は意識していても、「表情」についてはそれほど意識していませんでした。特にヨーロッパの各車は自社のアイデンティティとしての顔をエンブレムなどで大事にしていましたが、目つきとか鼻筋といった「表情作り」はさほど熱心でなかったですよね。
ちなみにB256フィエスタでは、デザイナーが親しみやすい表情を意図したと発言しています。大きめのヘッドランプが特にそのポイントだそうですよ。
2022年5月15日 18:28
ヨーロッパフォード、スターダストシルバーの集大成が「MONDEO ST CONCEPT」…後のST220だったように感じます。
https://www.supercars.net/blog/2001-ford-mondeo-st-concept/
コメントへの返答
2022年5月15日 19:14
さすが!そうなんですよ、私も実は「シルバーカラーのフォード」の究極と考えているのが、欧州ならこのモンデオSTコンセプト、北米なら2003年のマスタングGTコンセプトなんです。どちらもJ・メイズの息が強くかかったコンセプトモデルですね。
特にSTコンセプトは、精度・性能・品質の高さを余すことなく誇れる、まさしくシルバー・フォードの集大成であると言えそうです。赤いシートとのコントラストも強烈でしたよね!

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「まさしく、日本の景色の中にいるフォード。Viva !」
何シテル?   01/17 15:18
自然体で、気兼ねも気負いもなく付き合えて、けれど愉しいクルマ。フォードを40年近くにわたって乗り継いでいます。2016年をもってフォードは日本から事業撤退しまし...
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