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ロボ部長のブログ一覧

2023年07月08日 イイね!

祝祭は終わらない

祝祭は終わらない(以下長文)
AUTOCAR JAPANの記事では、欧州時間7月7日をもってフィエスタの生産が終了したとのことである。日本との時差を鑑みるともしかすると今からそう遠くないタイミングで、フィエスタが最後のラインオフを迎えていたのかもしれない。1976年の登場以来、ヨーロッパにおけるポピュラーな小型車として多くの人々から受け入れられてきたフィエスタがその歩みを止めた。そのこと自体が現在の自動車市場の大きな変革のうねりを象徴しているとはいえ、フォードにとって決して「小さな存在でない」はずのフィエスタの歴史に終止符が打たれたのは、やはりとても残念である。

フィエスタの長い生涯に照らし合わせればほんのごく短い期間であるとはいえ、私も日本でフィエスタを2世代にわたり愛用している一人である。最初にフィエスタを迎え入れたのは2014年、ちょうど日本でB299が発売されたまさにその年に、前世代に当たる10年落ちのB256を手に入れたことに始まる。B256は日常の用途に適した商品内容で便利に使えた一方で、たまに遠出に駆り出せば惚れ惚れするようなロングツアラーとしてのスタビリティの高さに舌を巻いたものである。その鮮やかなまでに両翼が広いキャラクターに触れて、いかにもヨーロッパの典型的な小型車であることを実感した。
何より、私にはB256のスタイリングが白眉に思えた。当時のフォードのデザインテーマであったニューエッジ・デザインの路線上にありながら、初代Kaやフォーカスほどに急進的な印象こそ与えないものの、いい意味で中庸な練度の高い造形であった。Bセグハッチバックとして必要とされるパッケージングをきっちりと押さえた上で、かわいらしさと骨太さも兼ね備え、欧州フォードの一員としてのアイデンティティをしっかりと備えた研ぎ澄まされたスタイリングであり、私は今でも、立体造形物としての完成度は全フォード車の中でこのB256こそがピカイチであったと確信している。
とかく安っぽいとか味気ないなどと言われたインテリアも、私から言わせれば、クラスに相応しい素材を適切に選択してそこに余計な装飾や加工を施すことなく、居心地と使い勝手と生産効率を並立させた、工業デザインのお手本のような室内空間であって大いに感心させられた。同時期のイタフラ某車のように、表層的な質感向上のための加飾塗装が経年劣化でベタベタに変質するなどという醜態を晒すこともなかった。なぜならB256においては『樹脂は樹脂の肌理そのままであって、それ以上でも以下でもない』扱いがされていたから・・このことに象徴される、廉価な大衆向け小型実用車としての分をわきまえた潔い美意識こそが、B256フィエスタを貫いていた大きな魅力であったと思う。

2020年にたまたま自宅からわりと近い場所で程度優良なB299と出会い、B256と入れ替わりに迎えて今に至っている。同じ車名を名乗るのが信じがたいほどに様変わりした華やいだ姿形であり、正直に言えば初めは戸惑うことも多かった。自分のフォード遍歴の中でこれほど大仰なエアロパーツを身にまとった車種は初めてで(パフォーマンスバージョンたるフォーカスST170でさえスポイラー類はごく控えめだった)、大型のフロントグリルとともに、何だかフィエスタではない別な存在であるように映ったからだ。しかしいざ日々接してみれば、紛うことなくそれは欧州フォードの実用小型車であって、B256と大きく変わらない感覚で扱うことができた。納車日にディーラーから出発する際、敷地内の傾斜した路面でアゴを擦った時はさすがに両車の違いを思い知らされたが・・色々と付加装備が増し、だいぶ「今っぽく」アグレッシヴに変化した各所の意匠もあって、もしや使い勝手にシワ寄せが来ているのでは?と心配したことも杞憂で、特に気になっていた室内からの視界もほとんど支障はないことがわかった。居住性だって外から受ける印象ほどには閉塞感や窮屈感もなく(この点は、B256が広大なグラスエリアや明るいカラースキームの効果で居心地が抜群に良かったからなおさら気になっていた)、時々後席に乗せる母親からの評判も上々である。
ここだけはB256と違っていて欲しかったポイントが実用燃費で、フォード自慢の1.0EcoBoostは評判に違わないパワフルさでどんな時であっても痛快な走りが愉しめる反面、そのネーミングから期待するような高燃費はなかなか達成できていない。エアコンをフル稼働させる夏場の燃費はB256と大差なく期待外れである。
B299は日本でも結構な人気を得たことは記憶に新しい。うかつなことに2014年の発売当時、私はこの車の売れ行きに懐疑的だった。その前に入れられたフォーカスが前評判が高かったにもかかわらず鳴かず飛ばずなのに、知名度で劣るフィエスタはまず売れないだろう・・というのが嘘偽らざる見立てであった。しかしいざ販売が始まれば、商品内容の確かさに加えてメディアやユーザーの好意的な発信効果が相乗して、予想を超える好評を招き驚かされたものである。B299の日本での想定以上の好セールスは、フォード車がその根本的な出来の良さと裏腹に、どうにも不足していた「華やかさ」「ワクワク感」をわかりやすくアピールすることに成功した成果だったと思う。余談ながら、もしB299がマイナーチェンジを受ける前の、2008年登場の初期型の仕様で国内で発売されていたとしても、搭載されるエンジンの内容も相まってまずそこまでのヒットは望めなかったはずだ。

私のB256とB299は、もっぱら日々の細々した移動用途が主体の街乗りカーだが、双方を一度だけまったく同じ行程でロングツーリングさせたことがある。2019年と2022年に浜名湖で開催されたEFMへ参加するため、それぞれ東名を東京から浜松まで同じように走らせたのだが、どちらも120+αkmでの連続高速巡行を難なくこなしてみせた。ふだん近場の街中をちょこまか転がしている時とは異なった逞しさを覚えて、フィエスタの基礎体力を認識したものである。個人的にはB256の高速域におけるどっしりとした走行感覚がより記憶に深い。あまり高速走行に適したように見えない外観と裏腹に(この点、B299はいかにも速く走りそうに見える)、盤石なまでのスタビリティはB256の「非日常的な美点」であった。



2世代のフィエスタを乗り継いで、ヨーロッパの小型車というのはこういうものなのか、と納得している。おそらくある時点まで、ヨーロッパの市場ではB256的な、実質的で堅実な商品性が当たり前に受け入れられていたのだと思う。やがて市場は「質実剛健」だけでは飽き足らなくなって、それ以上の「魅惑力」をフォードとしても提供する必要に迫られた結果がB299だったのだろう。私は大衆向けの小型車に過度な装飾や演出は不要と信じて疑わないが、幸いなことにB299に乗っていても、そのキラキラ度合いは決して気に障るようなレベルでなく、快活なフィエスタのキャラクターをうまく表現できているように感じられむしろ気に入ってさえいる。B299を手にして、私自身の価値観念も明らかに変化したのだった。

昨年、まったく思いもよらない初代フォーカスとの出会いがあったこともあり、現在のB299の稼働率はずいぶん下がってしまってはいる。もちろん車両のコンディションには何ら問題なく、特に懸念点もないまま維持ができている。このあたりはこれまで付き合ってきたフォード各車と同様、信頼できるタフな相棒であって心強い限りである。主治医の守谷店もこれまでよく対応してくださるので心配事も少ない。
いくら望外の健康体とはいえ、さすがに車歴20年以上・走行10万キロ近くを重ねてきた初代フォーカスをファーストカーとするのは気が引けるので、B299にはもうしばらくの間は我が家で活躍してもらうつもりだ。フィエちゃん(妻はこう呼んでいる)、引き続きこれからもどうぞよろしく。私にとってのフィエスタ-祝祭-はまだ終わらない。

Posted at 2023/07/08 07:28:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | Fiesta | 日記
2023年03月18日 イイね!

「1ー9ルマ」ですよフィエスタは

「1ー9ルマ」ですよフィエスタは3年前のちょうど今日が、いまのフィエスタの登録/交付日でした。そういうことで今日は12ヶ月点検を受けに守谷店へ。昨年秋に6ヶ月点検を受けた後はEFMでの浜松への遠征以外には近場使用のみで、さらに年末のフォーカスの増車でそれさえも頻度が下がったこともあって、点検の結果も何ら支障や不具合となるようなこともなく、余力たっぷりなコンディションであると太鼓判をもらいました。一応今日はエンジンオイルは交換してもらいました。

守谷店の方から聞いた話では、B299フィエスタを降りる方がこの一年くらいの間で増えてきて、同店でケアしている個体も着実に減少してきているそうです。乗り換えの理由についてまでは聞いていないのですが、一方で変わらず乗り続けている方の愛着は皆さん相当なもののようで、まだまだ簡単には他車へは移らないのでは?とのことでした。私自身もまさにその口ですね。フォーカスはネオクラでいつ何時調子が乱れないとも限らないから、フィエスタにはまだまだ安定して頑張ってもらわないと。

今日も守谷店の敷地内には少なくとも3台のB299がいましたし、点検作業待ち中に店の近所をブラブラしていたら、たまたまトップ写真の1台も見かけました。こちらの駐車ナンバー「19」ということに無理やりこじつけてみるならば、B299フィエスタはまさに「いー(1)ク(9)ルマ」ですよ!

ところで、ホンダの新しいSUV、Zなんとか?と言うのですか。あれってフロントがパッと目に入ると欧州フォード車かと錯覚して、反射的にカメラを取り出しそうになっちゃうんですよね。今日もフィエスタで走行中、ホンダディーラー前を通ると何度かそうなりました・・
Posted at 2023/03/18 18:32:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | Fiesta | クルマ
2023年02月25日 イイね!

ホットマゼンタ色の特急とフィエスタ

ホットマゼンタ色の特急とフィエスタ近鉄線に乗車中、車窓からホットマゼンタのフィエスタらしき気配を一瞬ですが感じ取りました。結構なスピードでの走行中のことで、私の動体視力では明確な像が捉えられなかったのですが、あの色は類似の色こそ他車にもあるものの、フィエスタのそれには独特の深みがあり、さらに要所に配されたクロームの輝きと一緒になることで、特有のオーラが放たれるんですよね。
たぶんそのオーラは間違いないのでは・・あれはフィエスタに違いない・・そう思い、先ほど見かけたと思しき場所をサーチしたところ、さほど駅から遠くなさそうだったので、行程にいくらか余裕があったことも背中を押して、Uターンを決意しました。久しぶりの「沿線フォード途中下車」です。

このあたりでは・・と記憶を辿りながらK駅から歩を進めたら、やはり紛れもなく、ホットマゼンタのフィエスタがすぐ線路脇にいました!近くで見たらとてもきれいだったから、やはりその印象がピュアに列車乗車中であっても伝わってきたのでしょう。国内導入最初期のカラーだけに車歴だって10年近くにならんとなるはずなのに、実によい外装のコンディションが保たれています。オーナーさんは大事に乗っていらっしゃるのでしょうね。
きっとサービス担当は言うまでもなくFLCさんでしょう!

夕陽が落ち始めた空の下、ちょうど背後の線路を似たような色の特急列車が走り過ぎていきました。ホットでゴージャスなマゼンタカラー同士の饗宴が撮れました。


Posted at 2023/02/25 19:09:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | Fiesta | クルマ
2023年02月06日 イイね!

ついに発見!ご近所稀少・ムーンダストシルバーB299

ついに発見!ご近所稀少・ムーンダストシルバーB299妻を最寄りの駅までフォーカスで送った帰り、ふだんと少し違う道を経由して家に帰る途中で、横目に入ったそれは確かにフィエスタでした!
今日のこの場所は集合住宅の駐車場で、居住者以外侵入禁止の立て看があったから車の近くまで寄ることができず、敷地外からの望遠撮影に止めるを得ませんでした。だからナンバーの数字までは確かめることができていないのですが、そもそもムーンダストシルバーのB299フィエスタ自体が絶対的な少数派であって、そうそう何台も生息しているはずはありません。それだけに、これまでに近所で何度か出会っては「一体どこにいるのだろう?」と思い巡らせてきたムーンダストシルバーのそれにまず間違いない、と確信したのです。

もっとも最近目にしたのはつい先月。駅近くのドラッグストア駐車場でした。
https://minkara.carview.co.jp/userid/665682/blog/46666622/

その前は去年の秋、同じ駅近くのカレー屋さんでテイクアウトを待っていたすぐ目の前に登場。
https://minkara.carview.co.jp/userid/665682/blog/46414715/

一番最初に出会ったのは約3年前。やはり駅前の信号待ち中に遭遇しました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/665682/blog/43946545/

会いたいと念じていればちゃんと会えるものですね。予想通り、やはり近い場所に生息されていました。
かくなる上は、ぜひこちらのムーンダストシルバーとうちのコッパーパルスとを並べてみたいです。「銀と銅」は百円玉と十円玉みたいな、きっといいマッチングのカラーコンビネーションであると想像します。
Posted at 2023/02/06 20:55:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | Fiesta | クルマ
2023年01月22日 イイね!

「自然すぎて写真に残らないような」

「自然すぎて写真に残らないような」Web CGでフィエスタが取り上げられています。在イタリアの大矢アキオさんによる現地シエナのフォード販売店へのインタビュー動画がアップされていて、そこで語られている、長年にわたってフォードやフィエスタを扱ってきた立場ゆえの声は、とても正当で実感がこもったものに聞こえます。
動画の中では、販売店の2階に今も保管されているという初代フィエスタGHIAが写されていて、その原初的な瑞々しい佇まいが実に素敵に見えます。ちょっと私のコッパーパルスと近い色相でもあることにも親近感を覚えずにいられません。

これらインタビューだけでなく、記事内に掲載されている大矢さんが撮られてきたというヨーロッパの街中での歴代フィエスタのショットと、そこに付けられたキャプションもまたいいものです。特に響いたのは『思えばフィエスタは、イタリアの風景の中であまりに自然すぎて、筆者の写真アーカイブには数が少ない。』というくだりで、当たり前だからこそいちいち意識して写真になど残さない-それこそがフィエスタという車について余すことなく表しているように思えるのです。
わざわざ写真に撮るでもないほどに、日常に密着していて、そこに埋もれているような車。ある意味で、フィエスタやフォードのような対象に対する最大級の賛辞ではないでしょうか。

大矢さんとはもうかなり以前ですが仕事の現場でお話をさせてもらったことがあり、その頃私はB256フィエスタに乗っていたのですが、それを伝えたことでしばしイタリアでのフォードをめぐる話題に花が咲きました。その時に大矢さんが言われたことで今でもよく記憶しているのが、イタリアだとフォードは親が免許を取得した子どもに初めて買い与える車だ、ということ。それは比較的安く手に入り、しかし維持にもお金がかからず信頼性が高い、だから親としては安心して我が子の初の車に選べると。その点で同じようなクラスの(当時の)フィアットは信頼性などに難があるから勧められない-なるほど、彼の地でフォードとはそういう存在なのか!確かに、私自身もフォードの信頼性の高さと維持費の安さを充分に体験していたから、大いに納得したものでした。
今回のインタビュー記事の中で、販売店の方がフィエスタについて述べられている内容も、まさにそうした趣旨でした。もしかすると大矢さんが収録前に相手の方とそんなような方向で話を進めましょう、といくらか申し合わせたのかもしれないけど、でもきっと本当にイタリアにおけるフィエスタとは、そのような存在に他ならなかったのでしょう。
「親が子に託せる」って、相当のことですよ。


「第791回:さよなら『フォード・フィエスタ』販売最前線の人が語る“驚くべき普及率”」
https://www.webcg.net/articles/-/47666


Posted at 2023/01/22 11:00:36 | コメント(1) | トラックバック(0) | Fiesta | クルマ

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何シテル?   01/17 15:18
自然体で、気兼ねも気負いもなく付き合えて、けれど愉しいクルマ。フォードを40年近くにわたって乗り継いでいます。2016年をもってフォードは日本から事業撤退しまし...
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