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2019年07月28日 イイね!

EFM2019番外編・・小さい顔、大きい顔

EFM2019番外編・・小さい顔、大きい顔EFM2019のレポートはもう終わりのつもりでしたが、当日の写真を整理していてもうひとつだけ、言及したいことがありました。

会場で初代フォーカスと並んだ七代目(7.5)フィエスタ。フォーカスとフィエスタはフォードの商品レンジにおいてはセグメント的にCセグとBセグで上下関係にありますが、こと日本においては初代フォーカスのディメンションを、実質的にこの七代目フィエスタが受け継いでいたように思います。全長こそフォーカスの方が4m超でも、それ以外の各所は数値的に近似しています。実際に、初代フォーカスからこのフィエスタへ乗り換えたという方も少なからずいらしたのではないでしょうか。

初代フォーカスからこのフィエスタまでの15年強で、大きく変化したと思わされるのが小型車の「顔つき」です。フォーカスの顔は、ヘッドランプの形状こそいまの車のそれに連なる鋭さも感じさせても、グリルはさほど目立たず、むしろグリル開口部をなるべく小さくしようとさえしているふしがありました。
それに対して、この写真では後ろ姿のフィエスタですが、正面には立派な「顔」=グリルが付いていることはご承知の通り。
さらに、たまたまイベントのお開きが近いタイミングでもあり、背後には出場するシトロエン(DS?)も写っていて、やはり大型のグリルが付けられていますよね。

かつて小型車は、空力性能の向上やコストダウンのため、小顔であることが主流でした。しかし今は、衝突安全性能の要求などでボリュームが増したフロントセクションを首尾よくまとめるためにも、むしろ顔立ちを大づくりにすることが求められるようになっています。
どんどん顔つきをはっきりとさせるライバル各車との差異化を図るために、さらなる「濃い顔」であることが求められ、より大きなグリルが付けられる-かつての大型車のような文脈が、小型車においてもすっかり一般化しました。

一方で、サイズの余裕が少ないコンパンクトカークラスに、大型のグリルを付けるというのは、造形的には自由度が少ないことを意味します。絶対的な寸法が限られる中で、そのメーカーやブランドのアイデンティティを踏まえたグリルを入れ込もうとすると、それだけで顔の要素がほぼ決まってしまい、他のことができる余地がほとんどなくなってしまいます。
それを逆手に取ってやってのけたのがBMWミニです。オリジナルミニのアイコン的要素を大胆にトレースして顔の大部分をグリルで表現することで、ミニという存在を他とは明らかに違ったパーソナリティの持ち主として印象づけることに成功しました。

七代目フィエスタがモデルサイクルの途中で大がかりなフェイスリフトを行い立派なグリルを装着したのは、ミニの影響が大と推測しています。「クオリティ・コンパクト」を訴求する上で、見栄えがするグリルは効果的で、実際にフェイスリフト前のフィエスタがロワーグリル(バンパー下部の開口部)は大型でもセンターグリルがスリムであったのに比べると、明らかに見た目のアピール度や、クオリティの印象が向上しました。

私は個人的に、ひとたび「顔」を明確にしてしまった車は、それ以降その呪縛から逃れられなくなるとも考えています。いったんできた顔をなくすことはできず、ユーザーがその車に対して抱いた印象を裏切れない、ユーザーの期待に応える「顔づくり」をつねにしていかなければならないからです。
それは見ようによっては、ユーザーからの信頼を得るための強いアイデンティティの構築でもあり、ブランディングという点では好ましいのかもしれませんが・・
そして、フォードのいいところはそうした「顔」があえて形成されていないことであるように感じていました。たとえ見た目には強い一貫性(スタイリング・アイデンティティ)がなくても、その時々で変幻自在な表情を見せる、しかし、センターにはつねに不変のブルーオーバルが輝いている-それでよいではないか、と思っていたのです。だからこの、初代フォーカスや自分が乗っている六代目フィエスタのような、むしろ顔の印象が濃くないさっぱりとした表情が好みでした。

いま、最新のフォードの各車はおしなべてフロントに立派なグリルが付けられています。新しく登場する各車を見ていると、その変化づけに腐心しているようにも見えます。はっきりとした顔だちを打ち出したからこそ、次にもそれを踏襲しつつ、しかし表情の変化を演出しなければならない-フォードもそんな陥穽にはまりこんでしまっている気がしてなりません。
Posted at 2019/07/28 23:27:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford | クルマ

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何シテル?   01/17 15:18
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