2022年12月27日
クリスマスイブの大雪で、家の前の坂をスタッドレスでも登ることができず、数年来となる仕事に大穴をあけてしまい、そのフォローがようやくひと段落つきつつあるFlyingVでございます。
さて、実話成分多めに虚実綯交ぜにした不定期連載のこのシリーズ。
前編は諸々の事情により削除しまして、楽しく読んでいただいている方が存在しているのか疑問ですが、一応、年内に終わらせておかないと気持ちが悪いのとみんカラのモチベが少しでもあるうちにと、書き溜めていたものをUPしておきます。
年末お忙しい時のお目汚し、お暇でしたらどうぞ。
==========本編===========
岐阜でのキムタクコラボライブが無事終わって、キーボードを入れようと決まり、バンドの第2回忘年会(焼肉)で、その候補を連れてきた時のこと。
私の知り合いの中で一番鍵盤が上手いのが、以前、ブログに書きなぐった、かつての教え子でもあり、医大に通う女子大生(倉科カナ似、以下「カナ」とします。)
試しに、「メロスピ&様式美メタルバンドのキーボードやってみない?」と声を掛けたところ、「是非!!」と予想外にやる気だったので、メンバーと初顔合わせのため、忘年会に来てもらうことに。
ただ、バイトが遅くなるため、来られるかどうか分からず、男4人でむさ苦しくスタートし、酒が入り、カナのことなどすっかり忘れ、頭の中が男子中学生に戻った我々が、稲中レベルの卑猥なネタで盛り上がっていたところに、何の前触れもなく、カナが現れて、油断していた私の横にシレっと腰掛たものですから、私以下全員がパニくり、チューハイをこぼすわ、椅子を倒すわ、お店の人が気を使って、おしぼりやら持ってきてくれたのですが、動揺収まらず、カナが脱いだコートを受け取り、そのまま羽織ろうとするベーシストと何故か生肉片手にスマホでそれを撮影するドラマー(汗)
「V先生、全然電話出ないんだもん!いい加減、ラインやってくださいよ、もう!!」
と膨れるカナに、
「ごめん、全く気が付かなかった。。。。」
机に置いたスマホを見ると、確かに着信が2件とSMSが入っている。
「改めまして、○○大医学部4年のカナです。遅れてすいません、よろしくお願いしま~す。」との年の割に場慣れした挨拶で、忘年会は仕切り直し。
突然のJDの参加に、テストロテンを噴出させる、私を除くおっさん3人。
前回の忘年会とは打って変わって、カナを中心にちやほや包囲網が形成され、私はすでに蚊帳の外。
あの時は、ベルセルクのゴッドハンド二体を前に、贄として捕食される側だったのが、この日、うら若き女子大生が来た途端、捕食する側に回るとは、なんという変わり身の早さ、そして、悲しいほどの男の性。
アルコールが入り、大脳旧皮質が剥き出しになったおっさん3人は、まず、結託して、私を会話から退場させることから始めた。
「Vさ、奥さん知っているの?カナちゃんのこと?」と突如ぶっこむドラマー。
「いや、別に生徒の一人だったし、特に言う必要もないかなと。」本当のことだ。
「V先生の奥さんの話聞きたいです!!」と食いつくカナ。
「高校の同級生で付き合い長くて、こいつの一目惚れからずっと好きだったんだよ。めちゃくちゃ可愛いよ。」とシンコぺ気味にのたまうベーシスト。
さすがリズム隊、ライブもそれぐらい息ピッタリ合わせてくれるとありがたいのだが。
「そうなんですか!全然そういうお話されないんで。へ~奥さん同級生で可愛いんだ。」
何か含みのある反応をみせるカナに、私と嫁の関係を暴露し、無事、自分たちのターンの持っていくことに成功したおっさん3人のリビドーはさらに加速し、
「カナちゃん、どんなのがタイプなの?」
「私、年上じゃないとダメなんです。」とあざといレスにまんまと釣られ、
「お、俺、今独身なんだ。」と離婚して唯一独身のベーシストが身を乗り出し、
イニD好きのカナが「RX-7に乗りたい!!インプレッサも好き♪」との話になると、
「今度、これに乗せてあげる。」とボーカルが自慢のWRXの画像をスマホで見せ、
「バンドでライングループあるから、ライン教えて。」とドラマーがどさくさにスマホを差し出す始末。
そんなカナの話術にホイホイ乗せられたおっさん達は、
「今、彼氏いないの?」
「いませんよ~クリぼっちなんです(泣)」の言葉に一斉に色めき立ち、
「大丈夫、俺がサンタになる!」
「個人練しよう!」
「イタリアンでいい?このお店どう?」などなど、ガッツき始める様子を、私は冷ややかな目で眺めていたのでした。
そう、こいつらは知らない、、、カナの本性に。
こうして私がトイレに行っている隙にお会計となり、「おいくらですか?」とカバンを開ける彼女に、「いいからいいから」とカッコつけたいおっさん達から万札が次々差し出され、結局、カナどころか私もご馳走になってしまう事態に。
店を出ると、「先生、今日、お車なんですか?」とカナ。
「うん、仕事だったからね。」
「てことは、あの車ですか?」
「そう、M3。」
「やったー!!」
「先生、俺もー!」と声を揃える逆方向の酔いどれおっさんたちは捨ておくとして、
「じゃあ、隣の駅までね。」とコインパーキングに停めたM3に向かうと、そのまま放置しておいたら、翌朝、パトラッシュに連れられてアスファルトで冷たくなっている勢いで酔っ払っていたボーカルが目に入り、ついでに乗せていくことに。
助手席に腰掛けるカナと後部座席にはトドのごとく横たわるボーカル。
それでも、私が駐車料金を支払っている隙に、ちゃっかり自分の電話番号をメモして渡している辺り、本当に酔っぱらっているのかどうか怪しいレベル。
「先生、私、名駅まで行きたいんですけど。ダメですか?」と上目遣いのカナ。
「無理。そもそも方向全然違うし、高速乗らないといけない。」
「え~、、、、やだやだ、、、だったら髪の毛落としちゃおうかな。」
「お、おい、それはやめろ、、冗談でもそういう事したら人間として絶対にあかん、、、、」
「しぇんしぇい、、、ゥオ、レェも名駅まで、、、、」と後部座席の酔っ払いも調子がいい。
「もう、しょうがないなぁ、行くよ名駅。」
「わーい、先生大好き~」「オ、オェも大ちゅき~」と心にもない言葉が飛び交うカオスな車内空間のまま、夜の繁華街にS55を響かせ、道中、カナの近況を聞きつつ、後部座席の酔っぱらいのウザ絡みを躱しながら、名駅に到着。
「ありがとうございます。」とM3から降りるカナに、別人のように打って変わってしゃんとしているボーカルがその横に。
「あ、、、あれ!?まあいいや、おやすみ。スコアと音源はすぐに渡すね。」と伝え、一抹の不安が頭をよぎるも、M3を高速へと乗り入れました。
その不安とは、、、、、このボーカルはじめメンバーがカナとの間になにかあって、バンドを破綻させること、、、、
ではなく、カナが男心を弄んで喜ぶ、ドS気質だということなのです。
その翌日、ボーカルから、ラインで予定を組みたいから、カナの連絡先を教えて欲しいとのメール。
ベーシストからも、クリスマスイブに個人練を約束したから、連絡先を、、、、以下同、
ドラマーも打ち込みが必要なので、連絡先を、、、、などなどそれらしい理由をつけていまして、それもこれも、全部、あの飲み会で、頭の中に、どぶろっくの『♪もしかしてだけど、もしかしてだけど~♪』が流れ出すよう、彼女に仕向けられたから。そしてラインや電話番号などは簡単には教えずに、上手くはぐらかすのも彼女のやり方。
チョロ過ぎるおっさん達は、一見、ピュアで可愛らしい雰囲気、医学部に現役合格する頭脳と恋愛偏差値の高さ、医学界きっての家柄と経済力、そしてハンニバル並みのサイコパスと呼んでも差し支えないひん曲がった性癖の、彼女の掌の上で見事に転がされ、その結果、バンド内に不穏な空気が流れ始めたのでした。
そして、なによりも、彼女は、私に貧乏くじのような役目を押し付け、軋轢にはまり込んで苦心する様子を観察し、ほくそ笑んでいるに違いなく、来年のスタジオでの音合わせで、破滅の不協和音が鳴り響かないことを祈らんばかりなのです。。。
Posted at 2022/12/27 10:30:33 | |
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M3とお姉さま達 | 日記