グランド・ツーリング4日目の朝。夜通し降り続けた雨はピタリと止んでおり、VFRのカウルは思いのほか濡れていませんでした。温帯低気圧の急速な発達により今日は"メイストーム"と呼ばれる嵐が到来する予定とのこと。のんびりと朝食のバイキングを頂いていましたが、空は拍子抜けするほど明るく、Yahoo!の雨雲レーダーをチェックすると松山市内は午前中は我慢してくれそうな様子です。前日に連泊する旨をフロントに伝えておいたので、身軽な状態でVFRを始動。路面はウェットコンディションなので午前中に軽く市内観光に興じる魂胆です。
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坂の上の雲ミュージアム
路面電車に轢かれないよう注意しつつ向かったのは、松山城のすぐ傍にある坂の上の雲ミュージアム。司馬遼太郎著の坂の上の雲を題材とした美術館ですが、建築家安藤忠雄氏がデザインした回廊のような建物が気に入っており、3年前にスープラで訪れて以来となります。一見すると迷路のような高低差のあるスロープで繋がった展示室は、そのレベル差を感じさせないような空間の連続性となっており、吹き抜けのある細長いホールも印象的。一応ライダーズジャケットは脱ぎなるべく違和感のない服装で、小一時間美術鑑賞を嗜むのでありました。
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ライダーズハウス?
道後温泉にも寄ろうと思いましたが、近づくにつれて渋滞が酷くなってきたので途中でドロップアプトし、食べログでヒットしたスイーツ店で糖分を補給し、雨が降り出す前にホテルへ帰還。ホテルに隣接するたかのこの湯に向かうと入口にマッサージの看板が立っていたので、時間もあるので心身共にほぐしてもらいました。普段であれば利用しない類のものですが、こんな時じゃないと体験しないものです。
アルカリ性の湯に浸かり、部屋で冷やしておいたビール片手にラウンジへ。実際に来てから知りましたが、このホテルのエントランススペースには様々な2輪車が展示されており、惚れ惚れするようなシルエットを放つドゥカティ・デスモセディチRRや、VFRと同じV型ですが疑似V8のオーバルピストンを積んだ20,000回転まで回るとされるホンダ・NR750、おそらく骨董品的な価値の高いものであろうBMW・R47&R39、もはや名前も初めて聞いた世界に30台しかないとされるビモータ・TESI 3D Concept・・・どういう繋がりでこれ程までに希少価値の高いバイクが惜しげもなく陳列されているのかは不明ですが、私のような初心者ライダーでも眺めているだけで酒が進むというものです。どの車種もとても手に入れられない額が付けられている事は想像に難くないですが、見るだけならタダですので、柿ピーを頬張りながら吹き抜けラウンジで暫し鑑賞させて頂きました。
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休息日
ホテルのレストランで遅めのランチを頂き部屋に戻った後は、溜まっていた洗濯物をコインランドリーで処理。元々4日分の衣類しか持ってきていないので、丁度良いタイミングで洗濯出来ました。衣類をピックアップする頃には外は横殴りの雨となっており、今日は大人しくホテルで滞在することにしました。
部屋でスマートフォンにこれまでの旅程をメモ書きし、有料チャンネルの映画を見ながらツーリングマップルで明日の旅程を妄想。ローカルテレビ局がアナウンスする明日の天気は総じて回復の見込みであり、明日のロングランを楽しみにしつつ再び温泉へと向かうのでありました。
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目覚ましラン
AM5時半起床。窓の外は明るさを取り戻し始めており、やや雨粒が残っているものの、ほぼ止みかけといった状況でした。今日は朝食なしなので6時半にはチェックアウトを済ませ、VFRのリアに荷物を括りつけ、グランド・ツーリング5日目をスタートです。
国道33号線をなぞっていき多くの車両がバイパスに流れていくのを横目にしながら、旧道と思われる国道440号線へとスイッチ。前方を塞ぐ車両は一切いなくなり、マイナスイオンたっぷりの林間路を流れる中速ワインディングを楽しみます。昨日の雨で路面はハーフウェットなので無理は禁物ですが、朝っぱらから目の覚めるような快走となりました。
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四国縦走
国道33号線に復帰し、交通量の少ない朝っぱらをいい事に、予想を上回る勢いで南下を続けます。昨日走る事が出来なかった分を取り返すかの如く小一時間走ったところで面河川とぶつかり、御三戸嶽が見えてきました。高さ37mの岸壁が誇らしげにそそり立つ様を眺めていると、徐々に雲の隙間から太陽が御開帳。これ幸いとばかりにスロットルを開放し、面河川沿いを一気呵成に駆け抜けていきました。
柳谷大橋交差点で国道440号線に乗り換え、更に奥深い森の中へと突っ込むことに。渓谷を縫うようにレイアウトされたローカルロードは時折狭隘路となるものの、概ね2車線幅の確保された走りやすいコース。ゴールデンウィークは後半戦に突入したはずですが、もはや孤独感に苛まれる程の交通量の無さには驚きです。加えて交差する主要道路がほとんど存在せず、信号機はほぼゼロなので、途中で強制的に休憩を入れる位のノンストップランが続いてしまいました。
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RESET
地芳峠の下をトンネルで潜り抜け高知県への県境を越え、梼原町に入ったところでガソリンスタンドで燃料補給を済ませます。道の駅ゆすはらで休憩していると、昨日の夜半に北九州からフェリーで来たというライダーと談笑。海上はそれほど風も強くなく普段通りに乗ってこられたとの話を受け、見送った後に九四フェリーに電話してみると、既に波は収まりかけており通常運行とのことでした。GW後半は四国を巡ろうかと思っていましたが、30秒ほど悩んだ結果フェリーを予約。つい数時間前までツーリングマップル片手に四国GTのプランニングをしていたのですが、これも自由気ままな1人旅だから成せる業である。
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五里霧中のカルスト台地
とは言え、カルスト台地へ足を運ぶ事は変わりないので、国道197号線から東津野城川大規模林道のゲートをくぐります。ここは2年前にZ4で訪れ衝撃を受けた道であり、VFRでも是非走りたいと思っておりました。前回はカルストまでのアプローチ部分だけ堪能しましたが、今回は全長60kmにも及ぶこの大規模林道を全線走破する所存です。
全線2車線の山岳路は、様々な曲率のコーナーが断続的に現れるメリハリのある形状となっており、トラクションを維持しつつ重力と遠心力のバランスを体感しながら嬉々として駆け抜けていきます。標高を稼いでいくうちに、外気温は心地よい→涼しい→肌寒いと変化し、県道383号線に合流し稜線に上がる頃には数ヶ月時間を巻き戻したかのような気候となっていました。
ガソリンスタンドのおじさんの忠告通り、標高1,400mのヒルトップは靄に包まれており、石灰岩が構成する荒涼とした原野や遠方に望めるはずの石鎚山を目視することは叶いません。加えて局所的に突風に晒される状況であり、低速ギアでゆるゆると慎重に進行。時折垣間見える草原と朝ご飯中の牛をファインダーに収め、滞在時間わずか15分ほどで撤収となりました。こんな劣悪な天気でも姫鶴平にはキャンパーが何組かおり、頭が下がります。
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大規模すぎるぞ
バックミラーに映るホワイトアウトの風景に別れを告げ 、県道383号線をさらに西へ進み大野ヶ原を目指すことに。前半の姫鶴平付近と比べ総体的にマイナーであるため、道もあまり補修されていない箇所があったりするので、道路の凸凹に注意しながらぐいぐいと進んでいきます。徐々に靄は解消されてきたものの、太陽が顔を覗かせる程までは回復せず、周りに牛しかいないんじゃないかと思わせる程の途方もない高原地帯を孤独感一杯で駆け抜けていきました。
高原地帯を抜け県道36号線から 東津野城川大規模林道へ復帰すると、長短織り交ざった薄暗い林間路へと突入。穏着沈黙に包まれた高知県と愛媛県の県境を、V4エンジンの咆哮で切り裂いていきます。標高を下げていくにつれて暖められていく空気の香りを満喫しながら、やや荒れた2車線路を一心不乱にトレース。ゴール付近では崩落の箇所が未だに残っていましたが、ここまで走る事に専念出来る道は貴重と言えるでしょう。
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県道45号線 野福峠
国道197号線に合流し、コンセントレーションをほぐすために宝泉坊温泉へ寄り道。弱アルカリ性の湯船で綺麗さっぱりしたらお腹も空いてきてしまったので、併設のレストランで柚子胡椒チャーハンを頂きチャージ完了です。県道35号線・国道441号線・県道29号線と走り放題のローカルラインを制覇し、野福峠のある県道45号線へ。ここは桜の名所として有名なそうですが、みかん畑が織りなす傾斜地に敷かれた九十九折の道はダイナミックそのものです。ターコイズブルーに輝く宇和海と青々としたみかんの木々のコントラストは目にも眩いものであり、季節の香り漂うアイコニックな景観美に暫し見とれてしまうのでありました。
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追想
ここから先は国道378号線の一本勝負。島のシルエットをなぞるコースですが、ワインディングからツアラーロードまで混在しており、お気に入りの道の1つです。クイックな切り返しで断崖上を駆け抜けていけば、午前中の極寒のカルスト台地が嘘のように、島の突端は燦々と陽が照っておりました。コーヒー牛乳で一息入れた後は、県道26号線で再び内陸部へ。わらマンモスがある県道25号線は
2年前にZ4が追突された現場であり、リニューアルで小綺麗になったマンモス親子とともに安全祈願をしておきます。
長さ40kmに渡る佐多岬半島へのアクセスとなる国道197号線を進んでいき、脇道へ逸れて川之浜海水浴場へ。断崖絶壁を這うローカルロードは最果てを感じさせる雰囲気であり、麗しい景観美に酔いしれながらハードコアな道を進んでいきます。特段何かあるスポットでもなく、普通の観光客なら足を運ばないであろう無名の地ですが、それ故ツーリング・エッセンスは満載。いやはや、日本にはまだまだ走るべき道があるようです。
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九州上陸
しらすパークで風にたなびく鯉のぼりを眺め、せと風の丘パークに立ち寄りつつ、陽も傾いてきたので四国最西端のフェリー乗り場へ向かうことに。出発1時間前に到着すると、受付のおじさんに1本早い便に乗っていいよと言われ急いで渡航料を支払い、既に乗り込みが始まったライダーの後を追いかけるようにして乗船。大きな汽笛とともに998tの鉄の塊は三崎港を出発し、一路佐賀関港へと進んでいきました。大分県は既にネオンライトが煌めいており、着岸後すぐに九州に上陸。軽く買い出しを済ませ、今夜の宿泊地へ向かうためV型4気筒エンジンの拍動を臀部に感じながら、ひたすら暗闇の中を南下していくのでありました。
Posted at 2018/06/04 23:01:14 | |
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