「 銀河の試練！！ 西暦2200年の発進！！ 」#86

「全速前進、取舵いっぱい」
「全速前進、取舵いっぱい」

沖田の声に島が復唱する。ヤマトは海峡へ向かった。　

「ちっきしょ～、また嵐が始まったようだぜ！」

ヤマトに振動が伝わる。

「自動操縦は無理です。これより手動に切り替えます」
「よぉし、島、お前の腕にすべてを託すぞ」

沖田は静かに、しかし思いのすべてを託して島に向かって言った。
嵐は強くなっているような気さえする。ヤマトの揺れも大きくなったように感じる。

「翼を出せ」
「はい。翼を出します」

沖田の声に復唱した島の手がスイッチを押した。機体の安定のため翼が必要だ。
ヤマトの揺れは幾分緩和されたようだが、宇宙に流れる岩の破片がヤマトにぶつかって砕けていく。
嵐はますます強まっているようだ。操縦桿を握る島の手に力が入っているのがわかる。
ヤマトな大きなうねりの中に入り込んだようだ。島の持つ操縦桿が大きく傾いた。
島が必死で操縦桿を引き上げる。島一人の力では持ちこたえられそうにない。

島の持つ操縦桿に古代の手が伸びる。二人掛かりでこの難局を乗り切ろうと古代は決心したのだ。
二人でも操縦桿を引き上げるのには大変だ。二人とも体ごと操縦桿にぶらさがろうとするほど力を入れた。

時間が長く感じる。島も古代も歯を食いしばって操縦桿を引き絞っている。

「やった～！」
「やった～！」

ふいに操縦桿が軽くなった。ヤマトは海峡を抜けたのだ。

「やったぜ～、島！」
「成功だ！おい、大成功だ！」
「ハハハハ・・・」
「やったぞ、古代」

二人は肩を叩き合って喜びを爆発させた。さっきまでのわだかまりはもうどこにもなかった。

「いいわねぇ、男同士って・・・」

雪はしみじみと感じていた。

しかし、その頃、同じ正月を迎えた地球では放射能による死の影が、いよいよ地中深く浸透していた。

西暦２２００年がやってきた。宇宙戦艦ヤマトは銀河系を離れ、未知の世界へと飛び出した。
急げヤマト、地球は君を待っている。人類絶滅の日まで、あと２００と８０日。

人類絶滅の日まで、あと２００と８０日。