上原氏追悼企画も第16弾になりますが、もう少しだけ上原作品を紹介していこうと思います。今回紹介するのは1972年9月1日放送のウルトラマンA第22話「復讐鬼ヤプール」です。
この回は美川隊員が主役の回です。ウルトラマンAの主人公は北斗と南(のちに南は降板)ですが、そのルックスもあり美川隊員も主人公に負けない人気を博しました。ウルトラセブンのアンヌ隊員ほどの知名度はありませんが、昭和シリーズの女性隊員では間違いなく人気トップ3に入ると思います。そんな美川隊員が気を許してしまったのがヤプール人が地球に送り込んだ宇宙仮面でした。美川隊員に接近し、地球侵略のための超獣製作を手伝わせる宇宙仮面でしたが、最後は化けの皮が剥がれ、怒りに満ちた美川隊員によって倒されるという展開でした。そして
この回で美川隊員は浴衣姿とミニのワンピース姿といういつもの隊員服とは違った服装も披露していて、美川隊員ファンには見所の多い回でした。それでは今回は主役である美川隊員のスクリーンショットを多めにストーリーを紹介していきます。
タックスペースで夜間パトロールに出ていた北斗と南は上空から落下する隕石を発見した。
北斗は落下した隕石を上空から確認すると、特段変わった様子はないと判断して基地に戻ってしまう。しかしその後隕石から現れた銀星人宇宙仮面が人間を襲う事件が発生する。
TACは急いで現場へと駆けつけ、被害者から宇宙仮面の存在を聞かされるが、付近には何の痕跡も残されていなかった。事件を受けTACは非常警戒態勢に入ったが、宇宙仮面にいとも簡単に基地への侵入を許してしまう。隊員たちはタックガンを手に宇宙仮面の元へ急行する。隊員たちは基地内に時限爆弾を仕掛けている宇宙仮面を発見するが、倒すことができず逃げられてしまう。
基地の外へと逃げた宇宙仮面はバイクでさらに逃走を図る。タックパンサーでパトロール中の山中隊員と美川隊員に宇宙仮面逃走の連絡が入ると、2人は宇宙仮面のバイクを追走するが、宇宙仮面の念動力でタックパンサーはガードレールを突き破り崖下へと転落させられてしまう。
山中隊員は奇跡的に軽傷だったが、美川隊員は死んでしまっていた。
死んだ美川隊員を発見した山中隊員は慌てて崖を登り、そこに駆けつけた竜隊長たちにそのことを報告、急いで崖下へと戻るが、そこに美川隊員の姿はなかった。そこに美川隊員が病院に搬送されたという連絡が入った。隊員たちは急いで病院へと向かうと、そこには元気な美川隊員と坂井次郎と名乗る彫刻家志望の青年がいた。美川隊員は坂井に応急処置をしてもらい助かったと隊員たちに説明した。竜隊長と山中隊員が坂井に礼を言うと、坂井は病室をあとにした。
それから1週間後、北斗と南がタックパンサーでパトロールをしていると、幼稚園の庭で超獣のオブジェを作る坂井とそれを手伝う浴衣姿の美川隊員を発見する。北斗と南が駆け寄ると、美川隊員は坂井からもらったという犬のぬいぐるみブーワンを嬉しそうに見せた。
北斗はオブジェ作りを手伝いはじめるが、その時、坂井の手首に巻かれていたブレスレットに目を留めた。それはTAC基地に侵入した時に宇宙仮面の手首に巻かれていたものと同じものだった。
そのことに気付いた北斗は竜隊長が呼んでいると美川隊員に嘘を言い、美川隊員を基地に帰らせようとするが、それに気付いた坂井は念動力で子どもたちが遊んでいたボールを操り脚立から北斗を転落させた。転落した北斗は脚を負傷してしまう。その後、基地に戻った北斗は美川隊員に坂井のブレスレットのことを話すが、美川隊員は全く聞く耳を持たなかった。しかし竜隊長や山中隊員も坂井を疑っていた。
そこに梶隊員がペンダントを持って現れた。そのペンダントはつけた人間の細胞体や血液などの情報をキャッチすることのできる特殊なペンダントだった。それを聞いた美川隊員は坂井の潔白を証明するため、自ら坂井にペンダントをつける役を買って出た。
美川隊員はペンダントを持って幼稚園を訪れた。そこには完成間近の超獣のオブジェを作る坂井と子どもたちがいた。美川隊員は助けてくれたお礼だと言ってペンダントを坂井の首に掛けた。
そこに美川隊員を心配した山中隊員が現れ、オブジェ作りを手伝いはじめた。基地ではペンダントから送られてくる情報を梶隊員が分析していた。そして分析の結果、隊員たちの予想通り、坂井が宇宙人であることが判明した。竜隊長は隊員たちとともに出動するが、脚を負傷した北斗は基地に残るよう言われてしまう。竜隊長たちが幼稚園に駆けつけると、坂井はペンダントを外し、TACを挑発する。それでもまだ美川隊員は坂井を信じようとするが、坂井はついに宇宙仮面の姿に変身し、その正体を現した。そして完成した超獣のオブジェを巨大化させ、凶悪超獣ブラックサタンに変化させ周囲を破壊しはじめる。
タックアローで待機していた南はブラックサタンを攻撃するが、ブラックサタンに反撃され撃墜されてしまう。基地のモニターでそれを見た北斗も出動しようとするが、梶隊員がそれを制止しようと止めにかかる。すると、机上にあった坂井から美川隊員にプレゼントされたブーワンが北斗と梶隊員にミサイルを発射した。
北斗と梶隊員は間一髪それを避け、北斗がタックガンでブーワンを破壊した。ブーワンは宇宙仮面である坂井がぬいぐるみに細工をした武器だった。
北斗はタックアローに乗り込むとブラックサタンの元へと急行した。タックアローで駆けつけた北斗はブラックサタンを攻撃するが、ブラックサタンの吐くガスで撃墜されてしまう。墜落寸前、北斗と南のウルトラリングが光ると、南は落下するタックアローに飛び込んでいき、北斗と南は空中でウルトラマンAへと変身した。ウルトラマンAはブラックサタンの破壊光線をバリヤーではね返し、弱ったブラックサタンを投げ飛ばすとブラックサタンは動かなくなるが、宇宙仮面がブレスレットからエネルギーをブラックサタンに照射すると、ブラックサタンは再び暴れ出す。
ウルトラマンAはブラックサタンの逆襲に遭い、カラータイマーが点滅をはじめる。ウルトラマンAのピンチに、美川隊員は小型小銃を持ってビルの屋上にいる宇宙仮面の元へ急行する。美川隊員は宇宙仮面の弱点であるブレスレットを銃撃すると、宇宙仮面は屋上から転落して絶命した。
ブラックサタンを操っていた宇宙仮面が死んだことで、ブラックサタンはほとんど動けなくなってしまう。ウルトラマンAはブラックサタンに石油タンクを叩きつけオイルまみれにするとタイマーボルトで炎上させる。そしてさらにメタリウム光線を撃ち込みブラックサタンを爆破した。
美川隊員は焼け焦げた宇宙仮面をジッと見つめていたが、南にうながされ、隊員たちとともに基地に帰って行った。
美川隊員主役の回でしたが、4話しかり、美川隊員はサイコパスのようなろくでもない男に遭遇してしまい男運の悪い人というイメージがついてしまいました。また、ウルトラマンダイナの15話のマイ隊員も、この回の美川隊員のように宇宙人を信用しようとして逆に利用されてしまうという似たようなストーリーがありました。ただ美川隊員とマイ隊員の決定的な違いは、マイ隊員はわかりやすいイケメンが好きというキャラクターでした。なお、ウルトラマンAで上原氏が脚本を担当したのはこの回が最後になります。そしてこの回の後は、ウルトラマンタロウの
「大海亀怪獣東京を襲う!」と
「親星子星一番星」を最後にウルトラシリーズをしばらく離れることになりました。ウルトラマンAでは、今回の追悼企画で紹介した作品以外に、「大超獣を越えてゆけ!」、「太陽の命エースの命」、
「サボテン地獄の赤い花」、「夏の怪奇シリーズ怪談ほたるヶ原の鬼女」があります。「サボテン地獄の赤い花」は以前に紹介しているので、ストーリーはそちらをご覧下さい。他の作品については機会がありましたら紹介します。次回は上原氏が久々にウルトラシリーズに復帰したウルトラマンティガの「ウルトラの星」を紹介します。
Posted at 2020/02/18 19:53:22 | |
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