奈良軍団関東全域統括部長・スタールビーのブログ一覧

「これは湊川だよ」

昭和20年3月21日、新設された海軍の神雷桜花特別攻撃隊の野中少佐はこの言葉を残して出撃しました。


特別攻撃機桜花。母機である一式陸上攻撃機に吊るされ目標に接近、切り離される人間爆弾であります。


火薬量1,2トン、瞬間最大時速1040km以上と言われるロケット特攻機であり、高速を利して敵の防衛網を突破。必死の体当たり攻撃を行う目的で生まれました。


そして、パイロットは２度と生きて戻ることはありません。散り行く桜が帰らぬように…

それは、大東亜戦争末期、日本の生んだ死の桜でありました。

前述の野中少佐の言葉は楠木正成の勝ち目の無い湊川の戦いへ臨んだ時と同じ心境であったのかもしれません。


事実、満足な護衛も無いままに桜花を吊るした鈍足の一式陸上攻撃機は多くの米軍機に囲まれて、ロケットを発進する前に全機撃墜されてしまいました。


それでも大戦中は出撃し続け、記録上では駆逐艦一隻撃沈の戦果をあげました。


有人ロケット兵器の歴史はつかの間の夢の如く、儚く短いものでした。太平洋では日本の桜花だけが戦場を駆け、血を流して散って行きました。


翻って今、残るのは無数の熱核誘導ミサイル、核爆弾であります。


世界の破滅するその日迄、息を潜めております。彼らに心はありません。