ヒトラーとアウトバーン...そしてVW　その1

写真はスピード狂なら必ず憧れるであろう道路ww
ドイツのアウトバーンの標識です。
ということで今回はドイツの高速自動車専用道路アウトバーンについて。
下記はアウトバーンのある区間の設計思想(ある区間とは一部の区間を指します）
ドイツの景観は建設される道路によって破壊されてはならず、むしろこの道路を不可欠の一部とすることによって、今にも増して崇高であるものとしなければならない
直線よりも柔らかな曲線を...トンネルを作るよりも見晴らしの良い眺望を提供することを求める

ドイツの学者ヴォルフガング・ザックス著書「自動車への愛」の中でミュンヘン～ザルツブルグ間イルシェンベルグの風景を書き表した下記の一節はこの方針にかなった好例と言えます。
地形の点から見ても必ずしも必要とは思えないのに道路は山をどこまでも昇り続ける
それはあたかも、美しい丘の連なりやそびえ立つ岸壁を背にした教会を一望のもとに望めるための配慮のように見える
最短の2点を結ぶのではなく最も優雅な形で結ぶこと...それが道路設計のモットーであった
しかしこのザックスの一節のイルシェンブルグの道から成る風景はなぜそれほどまでに美しいのでしょうか？

これより下は「ヒトラー・アウトバーン物語」より引用。
1928年....そのころドイツではすでにドイツ全土を覆う道路網の計画は立てられていました。
しかし鉄道網が充分張り巡らされていたこととまだ自動車も普及していなかった時代、財政的困難な折でもあり無理して道路建設をする必要はないとされていたそうです。

ですがそれを変えたのがアドルフ・ヒトラー。
ヒトラーは他の政治家と逆の発想を持っていました。
低所得層の労働者が自動車を使って、休日には一家そろってピクニックに、何時でも何処へでも気軽に行けるようになるべき。
その移動手段で鉄道に代わる自動車を考えている。
既存の道路は悪路ばかりでスピードは出せないため時速100km以上で走行可能な道路が必要。
一般の低所得者こそ自動車を実用品として持たせるべき
そう考えていたのです。

そして1933年ヒトラーは帝国アウトバーン建設計画を発表。
ヒトラーは自動車大量生産のためナチス政権の国策企業「フォルクスワーゲン」（ドイツ国民のための乗用車）を立ち上げ、その設計をフェルディナント・ポルシェに任せます。
そしてアウトバーンの設計者フリッツ・トットとともに道路建設を進めるのです。
トットはヒトラーの好みを熟知しており、ヒトラーの山荘があるミュンヘン～キーム間道路建設計画を描き上げていました。
ヒトラーは痛くこれに着目し、これがトットが後に帝国の大臣に昇格するきっかけとなりました。
そしてトット総監の下、アウトバーン建設が進められたのです。

この山荘付近の区間は初めに紹介したザックスの著書の一節と一致します。
つまりヒトラーとトットが知恵を出し合って設計したこの道がアウトバーンの中で最も美しいとされる所なのです。
もしかしたらヒトラーの自己満だったのかもしれないけれどこれもヒトラーの「正の遺産」なのでしょうね。

明日はヒトラーとアウトバーンに続きフォルクスワーゲン発祥の歴史に触れたいと思います∀`