
誰かの愛車のデザインをあれやこれやいうのは無粋ですがギリギリのラインまで攻めてみましょう。
クルマデザインは不思議です。究極の美や究極の格好良さを追求してるんじゃなくて、売れる事を目的としてる所は、大衆向け歌謡曲に似てるかも。
山本修弘さん(現在は自動車専門学校の校長さん)が主査やってた頃、講演会でFIAT124SPIDERをマツダのラインで作る事を報告してくれて、そのデザインをみせてくれました。
んで、NDとどっちがいいか(どっち買いたいか)をロードスターファンに問う場面があったんです。今のコンプラなら考えられないですよね。凄くお茶目でチャーミングな方です。
海外のファンミでの流れならこう。
FIAT 124 spider is back, who's gonna win?
コール : Who's gonna win?
レスポンス: MX-5!
コール : Who's gonna win?
レスポンス: MX-5!
コール : Who you gonna call?
レスポンス: MX-5!
というのが、 ファンの基本でしょ。コールされれば「賞賛」それ以外のレスポンスはない。決まってるんです。
ところがその会場は違ったのです。何人かが124スパイダーがいいと手を挙げます。
あらあらあら。お約束破っちゃって〜。山本さんの驚いた顔と苦笑が気の毒。
ロードスターってばオタ勢ガチ勢が買うクルマではなく、ライトクルマ好きが批判的評価の中で、減点法で買うクルマってことも言えますよね。
そういえば、今時のロードスターのコール&レスポンスで一番有名なのって
コール : ロードスター いいぞぉ!
レスポンス: ロードスター いいぞぉ!
でしたか。シュプレヒコール型なんですよね。更なる発展に期待。(嘘です。若さがあってカッコいいです。おじさんには気恥ずかしいだけです。)
さて、ロードスターも124スパイダーもいいぞぉ! ガチ勢の方見逃して。
新生124スパイダーってば、なんでかNDロードスターのシャシーで作られることに。まあ、NDって元々グローバル・プラットホームにできるフレーム(エンジンベイに余裕あり)だったらしいけど。
噂レベルではアルファロメオを被る、とかありましたね。結局はFIATを被るシャーシになったわけです。
それでも、元の124スパイダーとは全くプロポーションが違う
旧124SPIDER

テールが長く低いわけですよ。これが独特の余韻を残した後姿を醸すわけです。
新124SPIDER

テール上むきで、高い位置からスパッと切る。まあ、素体のNDがそうだからね。
なので、シルエットから新旧の脈絡を持たせるのは困難なので、意匠で行きましょう。線を足せば、後継機種だってわかるでしょう
124 spiderの場合、足した線はデザイナー側から既に明かされています。
この赤いところ。

フムフム。確かに。よくわかる。フロント側に足した線だけじゃなくて、サイドパネルのキックアップした線が効いてるよね。
アバルトバージョンはさらに徹底。

NDロードスターは、ボンネットフードの分割線がデザイン上の弱点(あ、言ってしまった)だけど、124は上手く処理してある。
ロードスターは良くも悪くも大衆的で、目立たず、生活の仲間だけど、アバルトなら毒を持った警戒色を醸して欲しい。この点も余分な線を足したおかげでいい感じ。
「俺は特別なクルマに乗ってるぜ〜。黒のボンネットにサソリが見えるかい?」
って。

あれ?
FIATの懐かしいオープン2座の話なのに、なにか忘れてる。
カタチとしてカタマリとしてプロポーションとして美しいのは絶対こっち。
どうしてこっちじゃダメだったんだろ。大人の事情かな。
ちなみにバルケッタは8万台売れて、新124スパイダーは4.5万台売れたらしい。
Posted at 2025/07/05 07:04:20 | |
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