建築とクルマ。この話をすすめるなら、立花サンの話は避けて通れない。
イギリス車好きなら、イギリス的暮らしを好きになれ。ってなカンジ。
http://www.virgintriumph.com/column/column01/c01-20160205/
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英国にいると、日本とは全く違う生活の深さを感じる。その違いは、日々の生活を楽しみ、また文化を大切にしているように思う。先人たちが作ったものを大切にしている姿は「美のある暮らし」を楽しんでいるかのようだ。
それは良いモノを何年も、いや親から子へ何世代も使い続ける時間がなせる贅沢である。これが彼らの生活、すなわち「生活態度」だと思う。日本は「生活程度」では世界トップクラスだが、生活態度、暮らし方では、英国にはかなわない。
今回の英国の旅で、「日本は先進7か国のひとつだが、住環境は発展途上国」であることを思い知らされた。
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立花さんは、私のM2-1001の設計/デザイン/プロデュースをしてくれたエンスージアスト。クルマだけでなく、建築やモノづくりに一家言のあるカリスマだ。
今から15年前、2003年の書籍で紹介された、立花さんのガレージを見ていこう。
チューダー風デザインだね。
特徴は、ハーフティンバーフレーム。
これ、中世のヨーロッパで見られた木造住宅の様式のひとつで、1階はレンガや石積み、2階は塗り壁に木の柱や梁などティンバーをあらわし、その間を漆喰で塗りつぶしていく外観スタイルのこと。
この建物のフレーム意匠が構造材なのか、装飾的な半木材の化粧部材なのか判らないけど、ハーフティンバーフレームのデザイン要素を残してる。
窓も特徴的。チューダーの家には窓ガラスに格子が入っている。
中を見てみよう。
ガレージの奧の壁まで煉瓦積みなんだけど、ガレージの奧の壁は、もともと母屋の壁。ガレージは母屋前の庭とカーポートスペースに足して作ったとのこと。
すなわち、母屋もガレージとおなじくチューダーのテイストの建物なのだろう。細かく仕切った窓枠が雰囲気いいよね。
床面の半分は石敷きでモルタル固定。
窓も文法通り。調度のグリーンも、ドライフラワーもいいねえ。雰囲気ある。
クルマはMGBだね。
振り返って反対側
工房スペースがあって、ここにはアイアンウッドが貼り込んである。材はアピトン材だって。
もうちょっと工房に寄る
ああいいねえ。丁度良い狭さ。
旋盤作業もできるし、ちょっと振り返ると、簡単に片付けられるサイズの丸テーブルと椅子。重作業の時には、広々使えるし、作業の無いときには憩いの場だ。
観葉植物がいいよね。
立花さんは本当に英国的なテイストに心酔されているようで、母屋のダイニングもチューダー。
重厚な色使い、直線な装飾。敷物もいい。
立花さんは建築にも詳しいし、街並みにも詳しい。
この住宅を建てられたのが30代のとき、ガレージは50歳で建てたという。
うーん、才能とセンスに恵まれるっていいね。
だがまあ、建築の世界はクルマの世界に比べて、もっとシビア。
構造体やら規格やら、基本の工法までを引き継いでいたのは、前世紀のミッドセンチュリー、1960年代頃までの話。
現代においては、クリアしなければならない各種規格や法規のために、中身(スケルトン)は一緒で外観と内装だけが違う。工法については殆どがプレハブ工法やプレカット工法になった。
日本においては和モダン風家屋と南フランス風家屋の差は、スケルトンは一緒で、軒の長さと壁仕上げの違い、内装材とあしらいの違いしかない、、、、ように見える(違ったらすみません)。
三井ホーム和モダンテイスト
三井ホーム南仏テイスト
ホラ!似てるでしょ。ハウスメーカー同じなら、きっとスケルトンは一緒だよね。(違ってたらすみません。ご指摘下され。)
丁度、「
日本車のNDロードスター!」と「
イタ車の124スパイダ−!」にように。スケルトンは一緒。意匠とフィニッシュが違うだけ、、って。
ただまあ、骨格一緒でも表層デザインのテイストってさ、ムードだけじゃなくて機能や情感を変えるよね。
オーブンカーにしたって、幌トップとメタルトップじゃ、乗るときの風情とか情緒って全然違うし。
家の話に戻せば、工法と骨格は似てても、軒の大きな和風デザインと軒の小さな南欧風デザインとでは、
・雨の日に掃き出し窓を開放して雨の匂いを楽しむ和風住宅・・・・と
・雨の日に腰窓を叩く雨粒を楽しむ南欧住宅・・・・と
では住まい方が随分ちがう。風情とか情緒って全然違う。
表層デザインであっても、デザインテイストはとても大事だと思う。
前世紀ミッドセンチュリーまでに確立された各テイストの食卓(ダイニングファニチャー)をちょっと紹介
まずは
イギリステイスト
ん〜重厚。布貼り椅子がいい。チェストが素敵。窓の桟がいい!
立花さん好きそう。
南フランステイスト
こういうシャビーな感じ。いいねえ。田舎っぽくて、肩肘張らない。
散らかしっぱなしOKで、くつろげそう
北イタリアテイスト
タスカンスタイル!流れるようなラインが流麗だよね。人生楽しんでる感じ。
北欧アーバンテイスト
うわ!明るい!
家具はシンプル、直線基調。日本人と同じで靴を脱いで暮らす民族だから、床も汚れない。床に寝っ転がりたい。
北欧カントリーテイスト
白壁白天井を基本にもうちょっとナチュラル。
中と外の境界が曖昧なのもカントリー風。
和風テイスト
懐かしい感じ。
畳の間にちゃぶ台と座布団でみんなでご飯食べるのっていいよね。
欄間がいい。書院がいい。
デザインテイストのもつイメージ、すなわち、イギリスは重厚、ドイツは質実剛健、イタリアは華やかで陽気、北欧は明るくてポップ、みたいなテイストの住まい方をしたいヒトがそれ風のデザインを選ぶと思う。
でも、こういうのってカントリーサイドで住まうヒトの特権だよね。
今年の人口流動調査では、日本では唯一東京都市圏だけが、流入10万人/年を越えている。あとは大坂も名古屋も勿論地方都市でも日本中転出超過で減少中。
東京都心って凄いね。やっぱり。
ちなみに東京のミニマムクレバースタイル
対面キッチンに広めカウンターを作って、ミニマムダイニング。そのぶん、寛ぎのリビングに空間を割く事が出来る。
スペース効率や作業効率バッチリ。
家でお客さんと食事なんて滅多にない・・・ので、お客さんとの会食は近所のレストランでいいよね。家族の人数以上にテーブルや椅子のスペースをもつダイニングなんて全く無駄。だって、東京は便利だもの。
近未来のクルマ生活を俯瞰すれば、
やっぱり、都心の集合住宅や密集住宅の住まい手が、とてもクレバーな新しいクルマ生活を構築していくんだろうなあ。
必要のないモノは要らない。時々しか使わないモノは借りる/シェアする。
こんな発想からいけば、クルマを個人所有するなんてナンセンス。
使うときだけ、「カーデリバリーサービス」。スマホで注文すれば、クルマが向こうからやってくる。自動運転レベル4で。
まあ、
Mobility-as-a-Service (MaaS)の受け売りだけどね。
クルマも建築も手がける某メーカーのお偉いさんの話を聞きました。
さあ、
2003年のこの書籍にあるキャプ。
ガレージは
色褪せない 価値を紡ぐ空間
2018年でも色褪せてないよね。 2018年でも価値を紡げているよね。
頼むよ〜。
ヒトはなんで東京にばっか集まるの?田舎でスローライフはいいよお〜!(笑)