
ゴルフ場への行くのに、同伴プレーヤー達の運転手を務めると、平均5打損するという統計を見たことがあります。同乗者は大いびきをかいていられるのですから、確かにそれくらいは違ってくるかもしれません。
例外もあります。あるときのゴルフコンペで主役となった彼は、当日運転手を務めていました。なのに、いつもより10打くらいスコアがよかったそうです。
ゴルフ場で前の組が詰まって進行が悪くなると、ショートホールで後ろの組にティーショットだけ先に打たせることがよくあります。大抵は、グリーン奥の物陰等、安全な場所で待機することになります。
あの日も、後ろを先に打たせることになり、4人目の伊沢君(仮名)のショットを目で追っていました。
160ヤードの打ち下ろし、風は弱いフォローでした。
「ナイスショット!」
「ピンデッドにきてるぜ」
「いや、デカい。かなりデカいんじゃないか」
「これ、危ないぞ」
退避場所の近くまで届きそうな弾道でしたので、大木の裏側に密着し、頭部を守る態勢になりました。
ガッシャアアアアン!!!!!!
物凄い音がしました。ピンフラッグ直撃でした。
「球は?」
「どこ跳ねた?」
「相当跳ねただろ」
「えっ、跳ねてないの? まさか」
結果は、そのまさかでした。
カップに直接入ってしまう超スーパーショットだったのです。
伊沢君は、自分が成し遂げた快挙に実感が湧かない様子で、頭を掻きながら照れまくっていました。同伴者3人のほうがはるかに興奮していて、「スコアカードに初めて1という数字を書いたよ」という声が聞こえてきました。
そこから、3ホール目で、再び前が詰まって後ろの組と完全に合流しましたので、ヒーローの伊沢君に声をかけました。
「ホールインワンの記念ボール見せてよ」
「実は、あの次のミドルホールで、ティーショットをチョロして谷底に落としてしまったんですよ。マムシ注意って看板がありましたので、探すのをあきらめました」
「マジかあ。もったいないなあ」
スコアカードを見せてもらうと、
「10」「8」「1」「14」「9」「11」という感じで、2桁の数字が目立っていました。
彼は、初心者だったのです。
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2022/08/10 07:50:08