VW POLO 左流れの原因は?の記事が思ったより反響が有りまして、全国よりお問い合わせを頂きました。フォルクスワーゲンポロやアウディ、BMW、ベンツと言った輸入車にお乗りのオーナー様が、左流れに悩んでおられるようです。
特に質問で多かったのがLFVに関することで、コニシティとプライステアの違いが今一つ分かりにくかったようです。
一々電話で説明するのは大変なので
今回はなるべく分かりやすく(?)解説したいと思います。
下の図は、ラジアルタイヤの基本的な構造です。LFVが発生する主な要因はスチールベルトの向きや位置になります。ベルト以外にも様々な要因が有りますが今回はベルトに絞って説明します。
画像:ミシュランHPより
コニシティの主な発生要因です。下記のようにスチールベルトが、タイヤの中心ではなく、少しずれて装着された場合に発生します。
スチールベルトが右にずれた場合は、下記のようなLFVの向きとなります。
タイヤの回転方向にかかわらずLFVの向きは同一となります。( 前進しても後退しても左流れ)
プライステアの主な発生要因です。スチールベルトは、スチールワイヤーで出来ています。構造上回転方向に対して角度が付けられています。画像のように右上がりの場合は右方向のLFVが発生します。(地面に接地した時に、ワイヤーが伸縮する事で横力が発生します。)
最外側のスチールベルトが右上がりの場合、下記のようなLFVの向きになります。
タイヤの回転方向によりLFVの方向が反転します。 (前進で右流れ、後退で左流れ)
タイヤ自身が持っている横に流れようとしている力をユニフォミティの一種のLFV(ラテラルフォースバリエーション)と言い、プライステアとコニシティの合力となります。(LFV=PRCF+CRCF)
測定方法は、正回転1回転の数値(LFD)から逆回転1回転の数値を足して2で割るとコニシティ値が出ます。正回転1回転の数値から逆回転1回転の数値を引いて2で割るとプライステア値が分離できます。
GSP9700では恐らく正回転と逆回転の数値を足してるみたいで、コニシティ値しか測定出来ません。
正回転を右側車輪、逆回転を左側車輪と考えて頂くと分かりやすいです。
プライステアの場合はタイヤをどのようにして装着しても流れる方向は一定になります。タイヤに回転方向やインアウトが有っても、例えインアウトや回転方向を無視しても流れる方向は同一です。 下記のプライステアの発生しているタイヤを左右前後裏表に組み替えても前進で右に流れます。
コニシティの場合はプライステアと逆なので、装着する位置や方向によってLFVの向きを変えることが可能です。
上記の特性から、タイヤメーカーは、路面カント(水勾配)に合わせて、左側通行用はプライステアを右流れに、右側通行用は左流れになるようにスチールベルトの向きを決定しています。最近のブリヂストンさんが採用している左右非対称サイドウォールは、一種のコニシティを利用した物だと思います。車両中心に向かってLFVを発生させて直進安定性を上げているように思います。
最近は、グローバル化の流れの中で、プライステアは低減させるように成ってきています。ベルト向きよりもタイヤの個体差の方が問題になってきているように思います。全く同じタイヤの同じサイズでの重量公差が5%と聞いた事が有ります。17インチタイヤで約10kgほど有りますので、ばらつきは何と500gにもなってしまいます。それほど均一性を出すのが難しいタイヤですので、個体差により振動が出たり、横流れが発生したりするのも理解できると思います。想像以上にタイヤは個体差を持っていると考えて頂いた方が良いと思います。
車両流れで困ってしまった時の原因追及ですが、車両点検(サスペンション、ギアボックス、ブレーキetc)次にホイールアライメント、LFV測定(タイヤを左右、前後入れ替え)して、原因がプライステアの場合はタイヤ交換となります。アライメントで誤魔化すことも可能ですが、タイヤの偏摩耗や操縦安定性の低下等が発生しますので お勧めできません。
参考までにLFVに関しての過去記事です。
車両左流れの原因は?
車両左流れの原因は?(再び)
VW POLO 左流れの原因は?
コペンとアライメントとアジアンタイヤ
Posted at 2012/04/04 15:17:13 | |
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