守谷店は今はプジョーとシトロエン(DS)が専業なので、バックヤードではこうした光景が見られます。この2台が並んでいるのを見て、ことのほか佇まいが近いことを実感しました。実際にサイズもクラスもほぼ同じですが、商品のキャラクターは結構違いますかね。少し古い表現をすればブレッド&バターカーとしてのフィエスタと、より積極的に個性を主張するC3といったところでしょうか。
そもそもシトロエンは昔から「他の車とは違う」ことが身上だったから、今でも変わったことをする・しなければならない?という強迫観念的なものに取り憑かれているような印象があります。それは同じグループに属するプジョーが平準的な商品性を掲げているゆえ、差別化の上でも必然な選択なのでしょう。それでも、いにしえのシトロエンは機構やそもそもの車の成り立ちからして独創的(唯我独尊?)だったところに、スタイリングなどにも挑戦的な取り組みがあり、その両者が一体となった結果、明らかに他車と異なった存在としてあったわけです。
その点で今は、正直に言えば根っこの部分はプジョーなどと共通としつつ、表層的な部分でいかに独創性や個性を主張できるか躍起になっているように映ります。しかしかつてのシトロエンに心酔した世代でなく、もっと若い世代には今のシトロエンが十分に個性的でファッショナブルであり、ワクワクさせてくれる対象として受け入れられているようなのは、販売実績などからも明らかなのでそれで良いのでしょう。
このC3も流行のプチSUV的・クロスオーバー的な要素をちりばめつつ、グラフィックやディテールの表現にPOPな手法を駆使していて、周囲のBセグメント車とは違ったオーラを発しています。それに対するフィエスタはプジョー的というか、もちろん、キネティック・デザインそれ自体は十分に躍動的でエネルギッシュなイメージを抱かせるものであっても、根本はより大衆・一般指向です。欧州ではこのC3のような2トーンルーフ車の設定もありましたが、C3ほど振り切っていないのでやや中途半端な印象が拭えません。
フォードとしてはいつまでもただのブレッド&バターではいられず、若い世代に積極的に選ばれるクールさを身につけねば!とばかりにキネティック・デザインを導入した経緯があるので、結果として、シトロエン的ないかにもわかりやすい個性の主張に走らずとも、それまでの地味なイメージを適度に払拭しつつ、旧来のユーザー層からも受容されたーこのフィエスタなどはちょうどいい塩梅だったのではないか?と思うのです。
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Fiesta | クルマ
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2022/03/06 10:10:01