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2011年02月20日 イイね!

外車でもなく、日本車でもなく

外車でもなく、日本車でもなくただ純粋にフォードという存在でありたかったのではないか-いつも前を通るたびにそう思わされる場所があります。

ここは、東京の秋葉原駅近くにある、かつてのオートラマ神田店の建物です。現在は何かの作業場として使われているようですが、ご覧のとおりブルーオーバルマークや店名の表記もそのままで、往時の名残を今なおたたえています。


80年代にオートラマが本格展開した頃は、まぎれもなく日本におけるフォードのひとつの黄金期でした。全国に180箇所ものショップを擁しており、この旧神田店にしても、文字通りの都心に立地するカーディーラーはトヨタや日産でもそう多くありませんから、いまの“修理に出すため不調の車を遠くのディーラーまで走らせる”ようなお寒い状況からすれば、まさに隔世の感があります。

オートラマ店で扱われたのは、広島産からアメリカフォード、ユーロフォードまで、フォードの国際的なリソースを結集させたラインナップでした。多様なライフスタイルのユーザーに向けて、世界中から最適な商品を提供しようという方針は、ある意味フォードならではと言ってよかったでしょう。いまも当時のカタログを開いて、一冊の中にフェスティバとギャラクシーとマスタングが並んでいるのを見ると、そのヒエラルキーの薄いフラットな印象に不思議な爽快感を覚えます。
あらためて思い返せば、日本車・外車といったレッテルに頼らず、ユニバーサルな視点からフォードという価値をユーザーに伝えようとしたオートラマの当初のスタンスは、とても意欲的な試みだったように感じられます。固定観念にとらわれることなく、人とクルマとの関係をもっと近づけたい、フォードならそんな存在になれるという自負が、確かに認められるものでした。


とはいえ、多くの日本のユーザーはやはり輸入車であれば明確なブランド性を求めます。いくら外車のバッジを付けていても、マツダ車がベースならそれはあくまでも国産車という認識です。そして何より、オートラマがなかなか思うような浸透が図れないことに業を煮やしたフォード本体側の姿勢は、つねにぶれを伴っていました。結局、初代のフェスティバやトーラスといったスマッシュヒットはあったものの、「そこにあるのは外車なのか・日本車なのか」無国籍なイメージを人々に抱かせたまま、オートラマは撤退していきました。


時は流れ、すでに成熟したとされる日本市場で、輸入車は以前にも増してブランド力やプレミアム性の高さが成否を占うようになっています。他とは違う、自らの立ち位置を鮮明にしなければ生きてはいけないのです。そしてフォードも紆余曲折の末、ニッチ指向的な立場に自らのポジションを見出そうとしています。ビジネスの成果として顧みれば成功しなかったといえるかもしれませんが、フォードの価値をニュートラルに真正面から訴えた、かつてのオートラマの勇気ある挑戦が、とても尊いものに思えさえします。
Posted at 2011/02/20 15:39:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | Ford | クルマ

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「まさしく、日本の景色の中にいるフォード。Viva !」
何シテル?   01/17 15:18
自然体で、気兼ねも気負いもなく付き合えて、けれど愉しいクルマ。フォードを40年近くにわたって乗り継いでいます。2016年をもってフォードは日本から事業撤退しまし...
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