• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ロボ部長のブログ一覧

2013年07月19日 イイね!

New Edge Chronicle#4 デザインの意志と力・・フォーカス

New Edge Chronicle#4  デザインの意志と力・・フォーカスデザインにはつくり手のメッセージが込められている。どれほど経営者やデザイナーが身振り手振りを交えて自らプレゼンテーションに挑んだとしても、大多数の人々は市場に提供される商品やサービスのデザインを通じてしかつくり手の志・誠意を理解できないものだ。
初代フォーカスが現れたとき、人々はそこにフォードの変革への意志を感じたはずである。ライバルが多くさまざまなユーザーを相手にしなければならない厳しいCセグメントにあって、フォードは求められる商品性を過不足なく充たすだけでなく、それ以上の「何か」を自らフォーカスに課した。その「何か」こそデザインである。Ka に始まったニューエッジ・デザインは、フォーカスに至って初めてオールニューのプラットフォームを得たことで、その真価が発揮された。

幅広で上背が低いスタンスが無条件に許されるなら、人々の視線を引き寄せる格好のいいクルマをつくることはたやすい。しかしフォードがフォーカスのために新たに起こしたハードポイントは、スタイルの追求を主目的にするものではなく、居住性や乗降性、積載性、経済性といった実用ハッチバックに必須の要素を高いバランスで成立させるための解だった。それはデザイナーにとっては容易ならざる基本条件である。
ちょっとしたミニバン級の全高と、タンブルフォームを抑え気味にしたスクエアなキャビン形状を持つフォーカスは、下手なデザイナーの手にかかればたちまち鈍重なクルマに堕したところだが、ニューエッジ・デザインの手法の応用が巧みでまったくハンディを感じさせない。

フォーカスで多用された円弧のモティーフは、それ自体が方向性を持ち視線を誘導する特性があるので、フォルムに動感を与えて立体のボリューム感を削いで見せる効果がある。ニューエッジ・デザインの特長のひとつである線と面を交錯させたグラフィカルな処理が活きるポイントだ。
カーデザインの領域では、グラフィックの要素に頼ることに対して「グラフィックに走る」などと揶揄し、立体造形をおろそかにしているとみる傾向もある。しかしフォーカスでは、立体と表層面のグラフィクスが不可分な関係にあり、互いが融合しながら高め合うリッチなデザインが実現されている。

フォーカスのデザインでも特に画期的かつ合理的だと思わされるのが、リアのテールランプである。リアピラー上に置かれたそれは、高い位置であることに加え、三角形という判読しやすく印象に残りやすい図形のため視認性に優れている。しかもハイマウントされた恩恵で、リアハッチゲートがケラレることなく広い開口面が確保された点も見逃せない。

このテールランプに象徴されるような、必要とされる機能をより高めつつ、他とは明らかに違う印象を与えるインパクトを備えた、実に欲張ったディテールを集積させたのが初代フォーカスというクルマだった。デビュー直後はあまりに斬新に映り、むしろ奇異に受け止められないかと感じたほどだった。ほどなく欧州でベストセラーカーの地位を獲得し、フォードの小型車のスタンダードとなって世界各地で親しまれることとなる。デザインに込めた意志と力を多くの人のもとへ届けた偉大な一台である。
Posted at 2013/07/19 22:03:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | Focus | クルマ

プロフィール

「まさしく、日本の景色の中にいるフォード。Viva !」
何シテル?   01/17 15:18
自然体で、気兼ねも気負いもなく付き合えて、けれど愉しいクルマ。フォード車を40年近くにわたって乗り継いでいます。2016年をもってフォードは日本から事業撤退しま...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2013/7 >>

 123456
78910111213
1415161718 1920
2122232425 2627
28293031   

愛車一覧

フォード フォーカス (ハッチバック) フォード フォーカス (ハッチバック)
フォーカスの生産が去る11月14日をもって終了したという。2年前のフィエスタの生産終了時 ...
フォード フィエスタ フォード フィエスタ
2014年に国内80台限定で販売されたレザーパッケージの第一弾、うち20台の割り当てとさ ...
フォード フォーカス (ハッチバック) フォード フォーカス (ハッチバック)
生涯で8台目のフォードとして、2000年式・日本発売極最初期のC170フォーカス 160 ...
フォード フィエスタ フォード フィエスタ
「均整」「端正」「抑制」いまのカーデザインが忘れた3つのSeiを備えた小粋な実用小型車で ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation