モノが売れない時代だと言われます。そんな中で、業界の人たちが口をそろえて「モノからコトへ」と言います。
懐かしい某自動車のCMで「モノより思い出」というコピーが使われていましたが、あれなんかすごく時代を先取りしていたのかも知れません。当時は嫌いでした。結局バブルがはじけて金が回せなくなって、高いモノが買えない、それをうまくごまかしているような気がしたからです。「あのブドウは酸っぱい」というのと同じ。
でも実際、モノからコトへ消費心理はシフトしています。
週に4回は宅急便が届く我が家は、必要なモノ、決まったモノはネットで購入しています(Amazonのプライム会員だったりしますw)。それでも月に一度は巨大なSCを半日以上かけて徘徊するのは、お買い物という体験を楽しんでいるからです。
例えば、使いもしないアウトドアの道具を毎回モンベルで物色する(そして大抵何も買わない)のは、それを使うアウトドアライフを想像して楽しんでいる、というコトなのです。味の差も分からないのに毎回数十種類の豆から、一つ選ぶのは、店員さんから珈琲豆の蘊蓄を聞きながら選ぶというコトを楽しんでいるのだと思います。結果的に手に入れた豆を、自宅で淹れて、どんな味だろうと(わかりもしないのに)ワクワクするコトが楽しいのです。
一方手軽に買えるネットショップでも、作り方ひとつで、コトの体験に変わるのだ、と気がついいたのは
だいぶん昔に、土屋鞄のサイトを見たときでした。メーカーのこだわりを美しい写真とたっぷりのテキストで見せるサイトは、モノを売っているのではなく、丁寧に説明を受けながら鞄工房を見学するのと同じコトなのだ、と。
そういう訴求の仕方だと、実店舗よりサイトのほうが上手くいくのかも知れません。店舗での店員さんの説明より、ずっと大量の情報を読ませることが出来るし、沢山の店員さんを教育するのより手っ取り早いでしょう。
モノからコトへ という切り口でモノを売る場面を見ていくと、気が付くことも多くて面白いですね・・・ああ、そういう風にモノを売る仕掛けを紐解くというコトも、一つの体験になりますねw
追伸:最近は、さらにもう一段進んだモノの売り方もあります・・・が、ここまでで、すでに予想外にテキストが多くなってしまったので、それは、また、今度。
つづく
※写真は
伊豆のガラス工房。一人4000円分のガラス製品を買ってもらうのは難しいけど、4000円での吹きガラス体験なら途切れなくお客さんは来る、ということ。
Posted at 2016/08/05 00:12:54 | |
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