モノが売れない時代、モノを売るのではなく、コトを売るのだ、というお話を
先日UPしました。その先は何か?というお話をある雑誌の編集者から聞いたことがありました。いわく「モノのコト化、コトのワタシ化」だと。
以下は「モノのコト化、コトのワタシ化」を説明する、まったくの作り話です。
長い間有名ブランドのOEMを作っていた鞄メーカーが、工房に併設した小さなショップをオープンします。ショップには大きなガラス窓があり、それ越しにお客さんは、職人さんたちが黙々と鞄を手作りする様子を見ることが出来ます。スタッフが今どんな作業が行われているのか、完成品を指さしながら解説してくれます。商品を説明するのではなく、鞄作りの工程や苦労や、ちょっとしたこだわりを説明するのです。
でも、製作途中の鞄はショップにある完成品とは革の色が違います。「色は何色あるんですか?」とお客さんが聞くと、スタッフは少し困った顔をして、「ええ、色の組み合わせは、相当ありますね」と答えます。「形は3パターンですが、鞄のパーツの色は、お客様のお好きな色の組み合わせでオーダーメイドしています」と。
上の文章のグリーンの部分が「
モノのコト化」で、ブルーの部分が「
コトのワタシ化」ということです。 お客さんは「
ワタシの好きな色で、世界に一つの
ワタシのための鞄を作ってもらうというコト」を買うことになります。
最近これが「モノのコト化とコトのワタシ化」だなぁと思うブランドが
これです。上手な商売をしていらっしゃるなと思います。もちろん、そう思う以前に、欲しくなってじっくり見ていたのですが、クオーツのケースは美しいデザインなのに、自動巻きのケースは比較的凡庸なデザインだったので、思いとどまることが出来ました。
他には
こういうのもあります。いずれもネットショップですが、実店舗でも同じ構造は出来るはずです。
オーダーメイドやカスタムメイドを、大量生産の中で実現する、というのはインダストリー4.0の根幹なのですが、そういうことが出来る時代なっている、というのは少し嬉しいことです。ネットで大量に、しかも、一つ一つが「ワタシが選んだカスタムオーダー」というユニークな製品が発注され、間違いなく作られ一人一人に送られてくる、というのはなかなか楽しい時代になって来たな、と思います。
今まで、マーチャンダイジングという手法で、消費者の好みを予測しそれを売っていた、というのがモノを作って売る、という事でした。大抵は消費者の一番大きなボリュームが好むものを作って売る、という事になります。それが流行やムーブメントとなることもあったし、ブランドが新しいトレンドを発信する、というが可能でした。
今は、モノを作るシステムを提供するだけで、モノのデザインや(時には)機能も、消費者個人個人の好みに任せる、という事になるのかも知れません。勿論、そうはいってもベースとなるクオリティーやイメージはそのブランドやショップの力量に負うという所は変わりません・・・価格帯はブランド価値で決まる、と言ってもいいかも知れません。
というのがモノが売れない時代のモノ売り方、すなわち「モノのコト化、コトのワタシ化」という事です。
※写真は先日の私の誕生日に妻が用意してくれたタカノフルーツパーラーのメロンのショートケーキです。「naka3051ちゃんへ おたんじょうび おめでとう!」と名入れしてもらってました(笑)
これに
高野のメロンへのこだわり、といった小冊子でも付いていれば完璧でした・・・そもそも、誕生日とか記念日用のモノって、こちらの方で「ワタシ化」はほとんど出来てしまいますね。
Posted at 2016/08/09 01:34:41 | |
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