2016年07月14日
漢字の読み間違いは、漢字文化圏では、世の常人の常。プロであるアナウンサーも紅白歌合戦とかの大舞台で、とんでもないミスをするぐらいですので、私のような常人がやらかさない訳がございません。
清楚なOLさんのハプニングエロ失言から始まりましたこのシリーズ(ハプニングセクハラ編、永世言い間違い名人編、ゆとりOL編)、今回の主人公は私です。
いきなり自らの赤っ恥をさらす前に、有名人たちの読み間違いをいくつかご紹介。
かの中島らも氏は、自身のエッセイに、天下の灘高時代「羞恥心」が読めず、ずっと「さちしん」と発音していたと書いており、「塩梅」も表面に塩が結晶化した梅だと思っていたそうです。
アナウンサーでは、「時代の寵児」を「時代のキュウジ」と野球少年にしてしまったり、報道番組でワーキングプア特集をした時など、シリアスな雰囲気漂う中、「貧乏のどん底」と読まなくてはならないのに「貧乏のズンドコ」といきなり下積み時代の氷川きよしにさせたりと、枚挙に暇がありません。
シリーズ2でご紹介した『永世言い間違い名人』を襲名したクライアント先の部長は、新人採用の稟議書に、「性格は大人しい」と書くところを、「性格は音無しい。」とわざわざ謎の変換までして、取締役達を混乱に陥れておりました。
さて、先人たちに勇気をもらったところで、本題です。
高校三年生だった当時。
秋の学校祭が終わり、クラスの女の子と少しいい感じになった(注:嫁も同級生でしたが、告白する前にすでに失恋済みでして、そんな嫁と付き合うのはもう少し先の話です。ただ、その前に、この子に地獄を見せられることになるとはこの時知る由もなかったのでした。。。)のと同時に受験モードに入り、ギターを弾くのをちょっと控え、その代わりに青チャート片手に予備校に通いだした頃のこと。
夕方の予備校での授業が終わり、帰宅しようと名古屋駅改札まで来たところ、授業中からすさまじいアピールを繰り返す腹の虫にどうやっても耐えられなくなり、駅構内にある定食屋入ったのがいけなかった。
肉と白米をガッツリ胃袋に入れてしまいたい欲求が体中を支配し、マック、すがきやの類は全てスルー、選んだ先は、「焼き肉」、「とんかつ」ののぼりが立つ、年季の入った定食屋だったのです。
「とにかく、肉~!!!」と食欲の赴くまま暖簾をくぐると、出来立ての惣菜達の湯気、醤油が焦げるフレバー、炊き立ての白米の香気、受験生っぽく言うところの、アミノカルボニル反応によるタンパク質がうまみへと変化していく空気が店内に充満しておりました。
「やった、この店は当たりだ。」と当時18歳だった腹ペコメタラーは瞬時に直観し、適当な席について周りを見渡してみると、6時前だったこともあり、店内は2、3人の客がまばらに居るだけ。
「はい、どうぞ。」
塩枯声とともにお冷が置かれ、途端にかしこまる学生服姿のシャイな私。
そんな世間慣れしていない私に、おばちゃんは、
「今日のお勧めはあの定食ね。ライス大盛り、おかわり無料だから。」
と紙で大きく貼られたメニューを指差したのでした。
「あ、、、は、はあ。」とうつむいて返事をするのがやっと。
「決まったら、呼んでね。」
太った体を揺らし、だるそうに厨房に戻るおばちゃん。
お勧めと言われて頼まない訳にもいかず、すこぶる押しに弱いことも手伝って、あんなに横暴だった腹の虫もそれでいいと言っている。
「あ、す、す、すいません。」なぜか緊張で噛みまくる私。
「はい、はい。」ドタドタと伝票を持って小走りでやって来るおばちゃんに、
「あのぉ、ひょ、、、お勧めの、、、、あの、、」キョドリついでに途中で裏返える声。
「え?なに?」
私の声が聞きづらいのか、不機嫌そうになるおばちゃん。
テンパった私が発したのは、
「いや、その、、、、な、なまむぎ焼き定食お願いします。」
「な、なんだって?」
聞こえなかったのかと更に声を大きくし、
「だから、その、な・ま・む・ぎ・焼・き・定・食、、お勧めの。」
「はあ?」とキョトンとなるおばちゃんに、
「ですから、あそこに貼ってある、定食を、、、」と言いかけた時、
「な、なまむぎ焼き定食って、ちょwwwwwww」
伝票を握りつぶし、その場にうずくまりヒーヒー笑い転げるおばちゃん。
おばちゃんが落ち着くのを待つこと数分。
その間、何がツボに入ったのか全く分からない私。
「あ~、もうやめて、、、うひひひひひひ、、、」とくしゃくしゃになった伝票を持って、すくっと立ち上がったおばちゃんは、そのまま厨房の奥へと入って行くや否や、別のおばちゃんを引き連れ、私のところまで戻ってくるではありませんか。
私の顔を見るなり、「ブフウッ」と吹き出す、先ほどのババア、いや、もとい、おばちゃん。
「ちょっと、、、、S藤さん、私、注文無理、、この子の、、、ぶ、うふふふ、、、聞いてあげて。」
と、一向に事情を呑み込めない私に、
「お兄ちゃん、何にするの?」と別のおばちゃんが微笑みかえてきたのです。
「あの、なまむぎ焼き定食を、、、」
「はい、なm、、、ブフォ、、、、、な、なまむ、、、wwwwwwwwwww」
と一緒になって丸い体をさらに丸めて私のおしぼりで目を拭いながら笑い泣きするババア達。
その騒ぎを聞きつけた別のおばちゃんも加わり、
「え?なまむぎ?wwwwwwひーひひひwwww」
とババアがババアを呼び、人の顔を指差し、笑い転げるのでした。
ババア達の笑いが一段落ついたところで、二人目のおばちゃんが目を真っ赤にしながら、
「あのね、あれ、、、なまむぎ(生麦)焼きじゃなくて、しょうが(生姜)焼きって読むの。」と教えてくれたところで、事態をようやく飲み込めたのでした。
「生姜焼き定食」を「生麦焼き定食」と読み間違ったまま注文し、ババア達を笑いのズンドコに叩き落してしまったのでした。
この後、耳まで真っ赤になる哀れな思春期メタラーを中心に、笑いの第3波が起きる店内。
後ろのサラリーマンから、盛大にお茶を吹く音が聞こえた気がしました。
「で、生姜焼き定食でいいのね?」
「は、、、、はい。」すでに食欲も失せ、家に帰りたいばかりなのに、言いなりになる私。
「あれ、お兄ちゃん、○○高校だがね、進学校なのにね~なま、うぷぷwww私も入れるかな。」
「それよりもセーラー服入るのあんた。」と突き出した大きな腹をパンと叩き、
「そんなに食べたいんだったら、なまむぎ焼けるかどうか聞いてきてあげようか?」
と散々おちょくられた挙句、
「笑い過ぎてごめん。」と言って出てきた生姜焼き定食は、心なしか肉が多く、大変ジューシーな味わいでした。
あれ以来、当然のごとく、今日まで、一度も行ったことございません。
その他、いくつもネタはございますが、可愛らしいアシスタントが困った顔をしていますので今回はここまでということで、、、、
え?なに?「雰囲気」が変換できない?どれ見せてみろ、、、
「ふいんき」って打っているじゃないか!!!ふんいきだ、ふんいき。
ところで、頼んでおいた書類、送ってくれたか?
今度は、クライアントの名刺の住所が分からないだと?
ああここか、焼き物で有名な町だな。
これはな、「万古町」って読むんだ。
って、なんだその顔、おい、セクハラで訴えるってどういうことだ!?
皆様におかれましても、くれぐれも読み間違いにはご注意を。
Posted at 2016/07/14 14:22:48 | |
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