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時に西暦２１９９年。
地球は宇宙の彼方の謎の星ガミラスから攻撃を受け、放射能汚染で人類絶滅の危機に瀕していた。
地球のはるか彼方マゼラン星雲のイスカンダルには放射能除去装置がある。
その除去装置を受取るため、１４万８千光年の宇宙の旅に出たのは、我が宇宙戦艦ヤマトであった。

今やヤマトは太陽圏を出て、大銀河系宇宙を一路イスカンダルへ向おうとしていた。



ガミラス大帝国銀河方面軍司令本部の中央作戦室をデスラーが歩いている。

「デスラー総統、バンザーイ」

両脇に並んだ兵士たちがデスラーをたたえて次々と声をあげていた。

「では、始めてくれたまえ」

兵士たちに軽く手を挙げて応え、中央の椅子に座ったデスラーが隣に立つヒス将軍に声をかけた。

「は。ではこれから、ヤマトの愚かな航海ぶりについて、ご説明いたします」

ヒス将軍は慇懃にデスラーに礼をし、話し始めた。

「デスラー紀元１０３年８０１日に地球を出発したヤマトは、同年８０２日、火星空域でワープのテスト。
　地球の宇宙船としては初めて光速を突破する性能を証明いたしました。
　勢いを得たヤマトは、同年８０５日、木星にある我が前線をピストルで撃破・・・」

モニターに映るヤマトの航跡を得意げに話すヒス将軍の話に、デスラーが口を挟んだ。

「ヒス君、ピストルだったかねぇ？」
「は、波動砲とやらですが、私の目にはピストルみたいなもので・・・」
「君の感想はいらん。事実だけを報告しなさい」

ヒス将軍の偉そうな態度が気に入らないデスラーはヒスに強く言った。

「はぁ、申し訳ありません。要するにヤマトは現在調子づいた状態で、太陽圏を出てきた、というところでございます」
「しかしデスラー総統」

ヒス将軍の逆側に立っていたタラン将軍が話を続けた。

「太陽圏を出たヤマトの前には総統の名をいただいたデスラー機雷が、絶対に破れぬ垣根を作っております。
　この封鎖線によって、せっかくの光速突破第一号宇宙船ヤマトが、紙飛行機よりももろく燃え果てる様を、
　夕食後の座興に総統にお楽しみいただきたく、ご連絡申し上げたわけでございます」
「やあ、ありがとうタラン将軍。
　面白いアトラクションを用意してくれて、今宵の酒は一段と味が良いだろう。
　諸君、宇宙戦艦ヤマトの無事を祈って、乾杯しようではないか」

デスラーは侍女にもって来させたグラスを手にとって掲げてみせた。

「ハハハ・・・、ヤマトの無事を祈ってか、これは面白い。総統も相当冗談がお好きで。ハハハ・・・」

こう言って一人大声で笑う太った部下が気に障ったデスラーは肘掛けのスイッチを押した。

「ガミラスに下品な男は不要だ」

床に穴が開き、吸い込まれるように太った部下はいなくなった。

「デスラー総統、バンザーイ」

その場の部下たちが声を合わせた。